第616回「ジョルダンによる幻想的で美しい《ダフニスとクロエ》とラ・ヴァルス」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃クリスマスまで一週間きりましたね。今年はイルミネーションがあまり行われていない印象で残念ですが、ぜひとも来年は見に行きたいと思っています。そんな本日は幻想的で、美しい世界にピッタリな曲を取り上げます。それはラヴェルの代表作であるバレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲版です。カップリングにはラ・ヴァルスが収録されています。そして、演奏しているのは今ウィーン交響楽団首席指揮者として活躍しているフィリップ・ジョルダンとパリ国立オペラ座管弦楽団です。当盤は第53回レコード・アカデミー賞管弦楽部門にて入賞した名盤です。(2015年時)


「フィリップ・ジョルダン指揮/パリ国立オペラ座管弦楽団」


ラヴェル作曲:
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲版

ラ・ヴァルス



 メインである「ダフクロ」といえば近年では第1組曲、第2組曲とそれぞれ分かれて演奏され、第2組曲は取り分け多くの人々に好んで演奏されている。吹奏楽編曲版も有名で、吹奏楽コンクールでは毎年どこかしらの吹奏楽部もしくは吹奏楽団が演奏している。今回取り上げられている全曲版はその編成の大きさなども含めてあまり演奏されないかもしれないが、2種類の組曲版にはないものを全曲版で味わうことができる。

 まず「ダフクロ」、パリ国立オペラ座管の音色が非常にこの曲に適していることが曲が進んでいくごとに伝わってくる。全曲版を初めて聴いたのはロト&レ・シエクルのコンビによるものが初だったが、今回の演奏は全曲版を初めて聴いた時の衝撃に近いものを感じた。ロトによるものは非常に透明度が高く、ピリオド楽器で演奏されているのにも関わらず古風な印象は一切感じられなかった。ジョルダンによるものはどうだろう、透明度はロトに劣るものの、響きが味方をしている。個人的に若干の苦味をかんじるのだが、それもまたこの曲を上手く引き立てているため邪魔になっていない。ただ美しいだけではないということを見せつけられたともいえる。また、合唱は今回歌詞は一切ないのだが、さすがは普段オペラの合唱を歌っている合唱団なだけあってさながらオペラを聴いているような気にもなってくる。「舞踏交響曲」とも称されたこの曲が、ここまでの変化をしながら演奏されているのはこれまで聴いたことがない。同時にSACDハイブリッド仕様ということもあり、音質も非常に良い。フランス音楽を聴く時は高音質フォーマットで聴くのが一番と再認識した。

 続くラ・ヴァルス、演奏するオーケストラや指揮者によってはその印象が様変わりするこの曲だが、今回の演奏はなんというかシンプルながらどこか邪悪性を秘めた演奏だったと感じている。これは決して悪い意味ではない。よく交響曲の構成で見られる「暗→明」という指示されやすい作りになっているということも含められるのだろうが、フランスのパリにあるオーケストラだからこそ味わえる演奏の一つとしてこれは間違いない名盤である。ラストは圧巻の終わりを迎える。

 ジョルダンのCDは現時点であまり多いとは言えない。私自身最近ようやくいくつかCDを購入した段階なので、まだ勉強段階の指揮者である。ウィーン交響楽団とのベートーヴェン、ブラームス 交響曲全集と今回のラヴェルと同オーケストラによるワーグナーの「ニーベルングの指環」管弦楽曲集を購入し、少しずつ聴こうと思っている。今回の演奏は間違いなく成功だったことは誰もが認めると思う出来栄えなので、上記3種類が楽しみで仕方がない。いずれ当ブログでもご紹介するかもしれない。また、今回のCDは廃盤になりかけているので気になる方は早めの購入をオススメしたい。