第613回「グールドによるベートーヴェンの悲愴、月光、熱情ソナタをSACDで」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃雪でも降りそうなくらいに寒い日々が続きます。本日は20世紀後半に活躍した作曲家であり、ピアニストであったグレン・グールドによるベートーヴェンピアノ・ソナタをご紹介します。取り上げるのは3曲で、8番「悲愴」、14番「月光」、23番「熱情」。ベートーヴェン作品を取り上げるのは本日で3日目のことですが、当分はベートーヴェン生誕250年の余韻に浸ると共に珍盤や名盤を取り上げていきたいと思います。今回の演奏いずれも2014年に発売されたSACDハイブリッド仕様となっています。


グレン・グールド(ピアノ)



 バッハのピアノ曲を多く取り上げ、演奏を残してきたバッハのスペシャリストととして知られるグールド、全集も発売されているがそのディスク枚数には驚くほどの枚数が同梱されている。今回はバッハのピアノ曲やブラームス、ベートーヴェン、モーツァルトやワーグナーなどのピアノ曲をSACD化した際のものを取り上げる。これらは私が以前ホロヴィッツの「ホロヴィッツ・オン・テレヴィジョン1968アルティメイト・エディション」を聴いた際に同時代に活躍した演奏家のCDを購入した際にグールドのCDも一部購入していた。その後中々当ブログで紹介するタイミングを見失っていたということは余談である。

 今回ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中でも比較的よく演奏される3曲が取り上げられている。私自身ピアノ・ソナタに関してはそこまで聴き込んでいるわけではないが、今回のグールドによる「悲愴」、「月光」、「熱情」の3曲はいずれとしても他のピアニストによる演奏とは全く違う演奏スタイルであると言えると思う。クラシック音楽におけるものとはまた違うような気もする。「悲愴」、「月光」は演奏時間も比較的短く、気づいたら終わっている。第3楽章では非常にエネルギッシュな演奏で幕を閉じる。暗く重い場面や美しい場面においてはゆったりと芯のある音で表現されている。そんなこともあり、ただ悲しいだけというわけでもないし、ただ美しいだけに終わるということはない。気づいたら演奏を繰り返して聴いているなんてこともある。最後の「熱情」においては第1楽章から重々しいテンポで始まることで有名で、多くの批判を受けた演奏とされている。グールド自身「なぜこの曲に人気があるのかわからない」とも残している。「伝統破壊」という言葉がよくグールドには使われるようだが、今こうして聴いてみると他の演奏家たちにはない解釈がされており、非常に面白い。最近でいえばクルレンツィスとムジカエテルナのような存在というのが近いかもしれない。

 グールドはベートーヴェンのピアノ・ソナタを完成させることはなかったが、ピアノ協奏曲は5曲録音している。こちらもSACD化されているのだが、凄まじい人気によって廃盤にしてなおかつ市場には出回らない。中古CDショップでも見かければ運が良いほうだろう。私自身まだグールドの世界には片足を突っ込んだだけだが、もっと彼の演奏を聴いてみたいと思う。