第518回「ゲルギエフ&手兵マリインスキー劇場管の伝説のチャイコフスキー後期交響曲集パリライヴ」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃先日ゲルギエフとロンドン響が録音したチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」、2番「小ロシア」、3番「ポーランド」を合わせた初期交響曲集を取り上げました。今回もゲルギエフによるチャイコフスキーをご紹介します。今回は後期交響曲集です。内容としては交響曲第4番、5番、6番「悲愴」の3曲、どれもチャイコフスキーを代表する作品であることには変わりありません。ゲルギエフは過去にウィーンフィルともこの3曲の録音を残していますが、今回はマリインスキー劇場管とのパリライヴ映像をCD化したまさに名演です。かつては鬼才とも言われましたが、今ではクラシック音楽界を代表する巨匠の1人。ゲルギエフが奏でる21世紀のチャイコフスキーをみていきましょう。

 

 

「ワレリー・ゲルギエフ指揮/マリインスキー劇場管弦楽団」

 

 

チャイコフスキー作曲:

交響曲第4番、5番、6番「悲愴」

 

 

 

 ストラヴィンキー、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフなどロシア人作曲家の名演を多く残してきたゲルギエフ。そのほとんどはライヴ録音であり、音質も良いものばかり。今回のマリインスキー劇場管との演奏も2010年1月にパリでのライヴ時のものだ。マリインスキー劇場管とはこれまでに多くの名演を残しており、その圧倒的な演奏にはいつも惚れ惚れする。まさに聴くだけでストレス発散できるとはこのことだ。

 

 冒頭のファンファーレが印象的な交響曲第4番、破壊力的には今回の録音の中でも一番ある演奏だ。寸分の狂いのない弦楽器の波に対し上手くのり演奏する金管楽器群はまさに圧巻である。4楽章は特にテンポも速くなりやすいが抜群の安定感をみせる。より巨匠らしい演奏であると個人的には感じた。

 

 交響曲第5番、3曲の中で最も人気があると言っても過言では無い交響曲。カラヤンやムラヴィンスキーなど往年の指揮者たちがこぞって演奏した名曲でもある。今回の演奏の中で個人的に一番印象に残った演奏でもある。これまでのゲルギエフのイメージとしてはテンポも速く、奏者目線で聴くと苦しいように思えるのだが、その痺れる音にはいつ聴いても「カッコいい」と思っていた。私はまだウィーンフィルとの演奏を聴いていないためなんとも言えないが、前回のロンドン響との初期交響曲集同様に意外な演奏だったとも感じられる。これまでの違いとしてはテンポも速くなく、他の同曲の録音とたいして変わらない。しかし、オーケストラとの息はピッタリで美しい音色を奏でながら時に、攻撃的な一面をみせる。また2楽章のホルンソロも素晴らしい。全体的に素晴らしい演奏となっている。

 

 交響曲第6番「悲愴」、6つの交響曲の中で最も美しい終わり方を迎える作品、よく3楽章が終わると拍手が起こってしまいがちなのだがその後の4楽章は非常に濃厚で美しい。近年でいえばクルレンツィスによるより攻撃的な演奏が話題となったが、ゲルギエフとマリインスキー劇場管の演奏はどちらかといえばクルレンツィス寄りの演奏ではない。攻撃的な面をみせたとしてもクルレンツィスほど強すぎず、美しさのヴェールを纏った演奏となっている。聴きどころとしては1楽章の弱奏部と4楽章、悲しげてはかなくも聴こえるかもしれないがそれに対して鮮やかな木管楽器、活気のある金管楽器が味付けを行いより一層オーケストラの風格が一段とあがっている。これは必聴盤になること間違いない。

 

 さて、今回はマリインスキー劇場管とのチャイコフスキー後期交響曲を取り上げたが、後日ウィーンフィル盤も購入してみて比較してみたいと思う。しかし、すでに廃盤のため手に入れるのは少々難しいかもしれないが、それなりの価値はあるはずだ。また、ゲルギエフはチャイコフスキーのバレエ音楽もいくつか録音を残している。それらの演奏も今後は聴ければと思っている。ちなみに今回のUHQCD盤は割と人気だったのかタワーレコードでもお取り寄せ商品となっている。気になった方は早めに手に入れていただくことをオススメする。

 

https://tower.jp/item/4768302/チャイコフスキー:後期交響曲集

 

 

 

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