第385回「ラヴェル管弦楽曲集の決定盤!!クリュイタンスによるボレロ、ラ・ヴァルス他」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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みなさんこんにちは😃
まるで夏のように暑い日になってきました…
職場ではクールビズとなり、ノーネクタイという形になったのでとりあえずジャケットだけ着ましたが…
中々の暑さ…
夏休みがなくなった代わりにもう夏が来たようなこの熱気には冷たいものを欲してしまいますね…
季節的には早いですがかき氷が食べたくなります。

さて今回ご紹介していくのはクリュイタンスとパリ音楽院管による代表作「ラヴェル管弦楽曲集」。前回はバレエ音楽「ダフニスとクロエ」をご紹介したが、今回は第二弾となるボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルスをご紹介していこう。


「アンドレ・クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団」


ラヴェル作曲:
ボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス



今でもなお人気度は高いこの曲集。
今回はボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルスの三曲だ。
録音されたのは1961年。
時代が時代のためノイズは多少残ってしまうものの、美しいフランス音楽であることに関しては変わらない。
ラヴェルの管弦楽曲集の有名なものとしては他にデュトワのものもあるが、クリュイタンスによる演奏のものが今日において決定盤としてその位置を保っているのはどういうところにあるのか?

演奏技術難易度においてもボレロとラ・ヴァルスは特に高い作品。
テンポとしては三曲ともに重めとなっている。また、金管楽器や木管楽器は特によく鳴らされている傾向を受けるのでこれも前回ご紹介したビゼーの「アルルの女」や「カルメン」組曲と同じように熱演であるといえる。
もちろん弦楽器群もまとまりを見せていて、クリュイタンスの力による統一感は強い。
ただ、ボレロの時にも一部感じられたのだが多少のばらつきがある点や、技術的に劣っている部分も今回の演奏では見受けられる。
なので、近年の演奏や今回の演奏70年代以降のものと比べてしまうとその点で差がつけられてしまう。
ただし、ラヴェルの管弦楽曲をこれだけ集めた上で全曲通しての芯がぶれていないので今日においてもその名が頂点に来るのだろう。

フランス音楽は近年ロトとレ・シエクルによるピリオド楽器によるより初演当時作曲家たちが思い描いた曲へと再現されている。
ちょうど最近ロトとレ・シエクルの最新作となった「展覧会の絵」とラ・ヴァルスの2曲が登場した。
ロトはもうすでにほとんどのラヴェル作品をピリオド楽器で演奏し尽くしており、今後どのような形で誰の作品を再現していくのか気になるところではあるが、こうしてフランス音楽の普及の影としてクリュイタンスの存在も大きいものになっていたことは間違い無いだろう。

この60年代としてはクリュイタンスが特に活躍した時代。その前後ではベルリンフィルとして初の1人の指揮者によるベートーヴェンの交響曲全集を完成させたのもクリュイタンスだ。
フランス音楽のスペシャリストとして今後もその地位を保持してほしい気持ちもあるし、そろそろ歴史的録音の部類に組み込まれることを望む気持ちもあるためやや複雑なところであるが、フランス音楽の演奏史において必ず通らねばならないラヴェルの作品。それを手軽に聴きやすいものとしてはやはりクリュイタンスの演奏こそがふさわしいと思われるので、まだ聴いていない方はぜひ聴いていただきたい。