第383回「1955年の演奏とは思えない!カイルベルト伝説のバイロイト祝祭、ニーベルングの指環」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



みなさんこんにちは😃
ゴールデンウィークが始まりましたね。
と言っても今年は出掛けるということ自体は難しいので仕事の日以外は自宅にこもる形となっています。
自宅にいてすることは以前と何ら変わらないのですが、いつもより多くいる分たくさんのことをすることができます。
今回ご紹介していくものもこんな時だからこそ聴けた名盤かもしれません。

さて、その名盤とは?
数あるワーグナー・オペラの中でも大作とされる楽劇「ニーベルングの指環」。
当ブログでも「指環」に関しては前回ヤノフスキとベルリン放送響のワーグナー・オペラ全集の中で、全集の最後を飾るオペラとしてご紹介した。
この時は「4日間を使って本編は演奏されるのだから、同じ形をとってブログでも投稿しよう。」という考えの元更新したが、今回は一日に凝縮してご紹介する。
また、当時は今のように空いた時間がたくさんあったわけではなく、詰め込んで詰め込んでほぼ一日で「指環」を聴きおえた。
それによって、疲れが出てしまい「当分は聴くことないだろう…」と思っていたのだが…
今回は思いの外空いている時間が多かったため、何日かに分けて一日一曲ずつ聴いていったところ、疲れが出ることもなく「指環」を楽しむことができた。
そして今回名盤が多い中で誰の演奏を聴いたのか?


「ヨーゼフ・カイルベルト指揮/バイロイト祝祭管弦楽団」


ワーグナー作曲:
楽劇「ニーベルングの指環」



「指環」の録音が盛んに残っているのは戦後直後の1950年代。
クナッパーツブッシュやフルトヴェングラー、ケンペ、クラウス、そしてショルティの録音が存在している。50年代を過ぎるとベーム、カラヤン、ドホナーニらによる録音が誕生した。最近の録音としてはブーレーズやティーレマンそして前回ご紹介したヤノフスキによるものが該当する。その中でもショルティの録音は世界初のセッション録音によるもので、現在においてもその録音、演奏共に半世紀以上頂点に立ち続けている名盤である。
くしくもフルトヴェングラーが「指環」のセッション録音を同年代に開始しようとしていたが、「ワルキューレ」のみを録音して未完成に終わっている。(前回のブログを参照)
そして「指環」をご紹介していく中で、今回のカイルベルト指揮による演奏は重要な歴史的録音である。

なにが重要かと言うと、全編ステレオ録音された「指環」はこのカイルベルトとバイロイト祝祭管による演奏が世界初なのだ。録音されたのは1955年の8月とされている。
私自身「指環」についてはショルティ、ヤノフスキと聴いてきて今回のカイルベルトによるもので3種類目となるわけだが、
この演奏は想像以上に素晴らしいものだった。
先日ご紹介したヤノフスキとベルリン放送響の演奏はベルリンフィルハーモニーによるライヴ演奏。そして今回のカイルベルトによるものも同様なのだが、録音状態が非常に良いものとなっている。
ステレオ録音ということもあるのだろうが、ライヴ演奏によるものを録音していることを忘れてはならない。
それに、ノイズが激しいかと聞かれればそうではない。観衆の咳、拍手は録音されてしまっているもののノイズはほとんど感じられない。
おそらく同じ時期の「指環」の演奏を探してもここまで良い録音状態のものは類を見ないだろう。
そして、歌手の歌声には芯があり何を言っているかもはっきりと聴き取ることができる。
HMV等のレビューを見てもあまり良い評価は見受けられないのだが、現在でもこうして楽しむことができる演奏の一つとして間違いはないのだから決して悪い演奏というわけではない。むしろ個人的には良い意味で期待を裏切られた結果になっているので、非常に満足しているところ。
そして何よりオーケストラの音も悪くない。まさに「指環」を演奏するべくしてきたオーケストラと言っても良いだろう。
バイロイト祝祭管自体「指環」は長いこと演奏してきているわけだし、その都度指揮者が変わるため解釈の違いはあれど「指環」を含むその他のワーグナー・オペラのスペシャリストであることは明白だ。
カイルベルトは1953年にも「指環」をバイロイト祝祭管と残している。1953年時のものはステレオ録音ではなくモノラル録音となっている。値段も今回のものと比べても3000円代で購入できるということを考えると非常にお得だ。
こちらはまた後日聴き比べたいと思う。

今回のレーベルに関してはクラシックファンにとっても馴染みのある「テスタメント」からの発売。
同時にいえば2006年度のレコード・アカデミー賞の大賞を受賞している。
「テスタメント」からの発売ということで、当たり外れが非常に激しいわけだが、今回の「指環」は間違いなく当たりなのでご安心いただきたい。
ただ値段に関しては20000円に近いため中々手に取りづらいかもしれない。
私は今回運良くAmazonにて13000円ほどで手に入れることができた。(購入したのは2月)
同時に今回の「指環」に関してはすでに廃盤となっているので、手に入れるのが難しい部類にある。
おまけにこの時期だから余計なのだが…
しかし、手に入れる価値は充分あるので売っているところを見たらぜひ購入することをオススメする。