第235回「伝説的公演!カンブルランと読響による日本演奏史に残る大作アッシジの聖フランチェスコ」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



みなさんこんにちは😃
2017年に話題を呼んだ演奏会形式として全曲を演奏したのは初とされるオリヴィエ・メシアンの歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」。
本日は日本の演奏史にその名を残した伝説的な公演が2018年にCD化されていましたのでご紹介をしていきます。


「シルヴァン・カンブルラン指揮/読売日本交響楽団」


メシアン作曲:歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」



1983年にパリのオペラ座にて小澤征爾指揮のもと初演。その後日本では1986年に同じく小澤征爾指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団によってオラトリオ形式で部分的に初演。
そして今回カンブルランと読売日本交響楽団が演奏会形式での全曲を演奏することとなり日本での全曲初演が2017年に行われました。
この演奏会は日本の演奏史に対し大きな功績を残すこととなったもので多くの人々がCD化を望んでいたまさに名作。

20世紀現代音楽のオペラとしてシュトックハウゼンの歌劇「光」やリゲティの歌劇「グラン・マカーブル」と並ぶ名曲。
その演奏時間も4時間から4時間半と非常に長くワーグナーやモーツァルトのオペラにより近いもとなっており、作曲期間も約8年。曲と一緒に台本も制作をメシアンが手掛けました。
メシアンの作品にある「トゥーランガリラ交響曲」も大編成でしたが、今回の「アッシジの聖フランチェスコ」はそれ以上に大編成で「トゥーランガリラ交響曲」の時にはソロ楽器という立ち位置だったオンド・マルトノも今回は3台演奏で使用します。
他にも打楽器をこれでもかと言うくらいにたくさん使用したりと演奏する時点でも大分手間がかかります。

題名の通りキリスト教にまつわる作品で、アッシジの聖フランチェスコの人生を3幕に分けて演奏を行います。
3幕の中でも8場に分かれおり

1幕は「十字」、「賛歌」、「レプラ患者への接吻」
2幕は「旅する天使」、「音楽家たる天使」、「鳥への説教」
3幕は「聖痕」、「死と新しい生命」

をそれぞれ表しています。

演奏はサントリーホールにてライヴ録音で行われましたが4時間半に及ぶオペラのため休憩を挟んだそうですが5時間半に及んだそう。
正直言ってワーグナー超えしている気もしますが演奏する側も聴く側も大変なのが十分伝わってきます。
CDとしても非常に貴重なもので、全曲版のものはほとんどないです。
あったとしてもその中でも群を抜いて高音質で、なおかつ大迫力と、メシアン作品をよく取り上げるカンブルランの力が遺憾となく発揮されています。
9人の歌手も非常に素晴らしいのですが、あくまでも現代音楽というジャンルでのオペラ作品。
モーツァルトやヴェルディ、ウェーバー、ワーグナーらのようなオペラ作品とは全く作風も違います。
特大編成と化したオーケストラのクオリティが高くこれを日本のオーケストラが演奏しているとは到底思えないくらいです。

美しくどこか異形的な作品。しかし、日本、いや世界的にその名を残す功績を残したと言えます。
滅多に聴くことのできない貴重な全曲演奏。
素晴らしさがにじみ出ているのでぜひお聴きください。