みなさんこんにちは😃本日12月28日は、指揮者朝比奈隆の命日です。今年で没後24年になります。そんな本日ご紹介していくのは、朝比奈隆が2000年に行った「20世紀最後のベートーヴェン・チクルス」と題したベートーヴェン交響曲全集の完全限定盤が2021年にタワーレコード限定でSACDハイブリッド仕様の高音質盤として復刻されていました。中々取り上げるタイミングを見失っていましたが、今回ついに取り上げていきます。12枚のCDに収録された朝比奈隆&大阪フィルハーモニー交響楽団による数多くの名演をみていきましょう。
「朝比奈隆指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団」
ベートーヴェン作曲:
交響曲第1番 ハ長調作品21
(2000年7月8日、21日、23日の3種類)
交響曲第2番 ニ長調作品36
(2000年3月10日、12日の2種類)
交響曲第3番 変ホ長調作品55「英雄」
(2000年7月8日、23日の2種類)
交響曲第4番 変ロ長調作品60
(2000年5月3日、10日の2種類)
交響曲第5番 ハ短調作品67
(2000年5月3日、10日の2種類)
交響曲第6番 ヘ長調作品68
(2000年3月10日、12日の2種類)
交響曲第7番 イ長調作品92
交響曲第8番 ヘ長調作品93
交響曲第9番 ニ短調作品125「合唱付き」
(2000年12月29日、30日の2種類)
蛍の光(スコットランド民謡)
朝比奈隆によるベートーヴェン交響曲全集。当ブログでもこれまでに何種類か取り上げているが、その絶大なまでの人気は今でもなお健在である。今回取り上げていくのは、2021年11月26日にタワーレコードとオクタヴィアレコードとの企画で復刻されたSACDハイブリッド仕様の高音質盤である。すでに6枚組の交響曲全集として発売されていましたが、セット発売される以外にはその中に含まれていない録音があった。それを含めて完全限定盤となったのが今回取り上げていく全集である。
[Disc 1]
・ベートーヴェン:交響曲第1番
録音:2000年7月8日(ライヴ)
弦楽器の研ぎ澄まされた音色が非常に素晴らしい演奏で、伸びやかでありながらもテンポが想像していた以上に遅くないため、比較的にパワフルなダイナミクス変化を中心として聴くことができるようになっている。2021年最新マスタリングが施されているため、ダイナミック・レンジの幅広さや深みのある響きを軸としても楽しめるようになっている。ここまで瞬発力と深みのあるサウンドも明確になった演奏は中々聴くことができないだろう。
[Disc 2]
・交響曲第1番
録音:2000年7月21日(ライヴ)
やや8日の演奏と比べると、多少テンポに重みが加わり奥深いサウンドが加えられた印象を受ける。ダイナミック・レンジの幅広さが増しているのはわからず、ヴァイオリンをはじめとする弦楽器の迫ってくるような臨場感やオーケストラ全体のバランスの良さが非常に素晴らしい。テンポの緩急が明確になっているかと言われるとその点は8日の演奏の方が多少なりともスピーディな印象はあったかもしれない。
・交響曲第1番
録音:20007月23日(ライヴ)
最終的に溜める場面ではしっかりと溜め、テンポの緩急も含めた瞬発力をあわせ持つ非常に素晴らしい交響曲第1番演奏として仕上がったのがよくわかる。オーケストラ全体における一体感に加えて、ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによるスケール、各楽章ごとに明確であり明瞭さの増した透明度の高い音色からなる演奏を聴くことができる。
[Disc 3]
・交響曲第2番
録音:2000年3月10日(ライヴ)
テンポは基本一定な落ち着きを感じさせる安定感を演奏から通して聴くことができるようになっている。極端にテンポが遅かったり、速かったりするわけではないので、まとまりあるサウンドからなる弦楽器を中心としている。楽章によっては厳格かつやや固さのあるアプローチからなる演奏のようにも聴こえなくはない。細かいダイナミクス変化には度肝を抜かされるライヴだ。
・交響曲第2番
録音:2000年3月12日(ライヴ)
テンポの緩急もありつつ、瞬発力からなる躍動感溢れる演奏が展開されている12日のライヴ。固すぎたり筋肉質すぎていない分近年における古楽奏法の演奏に少々近いものを感じる。オーケストラ全体が奏でる音色に関してもまとまりのある豊かなサウンドを聴くことができ、ティンパニと金管楽器の音色はどちらかといえばまろやかな印象にも思えなくはない。
[Disc 4]
・交響曲第3番「英雄」
録音:2000年7月8日(ライヴ)
ややテンポの重さからなるスケールによる長大な演奏をダイナミック・レンジの幅広さからなる演奏をもって楽しむことができる「英雄」のライヴとなっている。テンポの重さからなるゆったり感もそうだが、分厚めなスケールによる演奏を楽しむことができるのは非常に素晴らしいポイントとも言える。特に弦楽器や木管楽器がそのアプローチの強さを明確に受けている印象が強く、緩やかなテンポの緩急含めて非常に濃厚なサウンドによる素晴らしいライヴを聴くことができる。
[Disc 5]
・交響曲第3番「英雄」
録音:2000年7月23日(ライヴ)
テンポ自体も落ち着いたゆったりとしたアプローチによる感覚となっており、伸びやかな木管楽器、弦楽器による演奏が非常に功を奏するサウンドを聞くことができるようになっている。ダイナミック・レンジの幅広さも充分にあるため、オーケストラ全体の演奏的にパワー型ではなくゆったりとした演奏となっていたとしても、分厚いスケールをセットで楽しめる名演である。
[Disc 6]
・交響曲第4番
録音:2000年5月3日(ライヴ)
第4楽章が意外にもテンポが遅いというのが意外に感じられる交響曲第4番。優美であり、伸びやかな親しみやすい音色と響きが重視されている印象で、ダイナミック・レンジの幅広さも演奏から聞くことができるため、普段聴き慣れた俊敏さよりも拍車がかる形で壮大なる演奏を聴くことができるようになっている。ここまでたっぷりと聴くことができた交響曲第4番も中々ない気がしている。
・交響曲第4番
録音:2000年5月10日(ライヴ)
3日のライヴと同じく、テンポの緩急が非常に緩やかな演奏となっている交響曲第4番。どっしりとした安定感からなる重心の低さをたっぷりと演奏から聴くことができる。演奏として、キレ味がある演奏ではないが、これまでに聴いたことがないほどのスケール感を味わえる演奏であることは間違いない。濃厚な朝比奈隆のベートーヴェンを聴きたい時に最適なライヴと言える。
[Disc 7]
・交響曲第5番
録音:2000年5月3日(ライヴ)
テンポの緩急というよりも、どっしりとした重みのある分厚いスケール感をたっぷり演奏から通して聴くことができる名演である。特に第3楽章から第4楽章へと向かっていくクレッシェンドの中で軽快なファンファーレではないとしても、重量感のある分厚いサウンドをきかせた金管楽器によるファンファーレを聴くことができた際の衝撃は非常に大きなものである。
・交響曲第5番
録音:2000年5月10日(ライヴ)
個人的には3日のライヴと比べると多少透明度の高い音色によって演奏が行われているようにも聴こえた交響曲第5番だった。ダイナミック・レンジの幅広さも壮大なるスケールによって展開されているため、伸びやかな大阪フィルの美しい音色と響きを楽しむことができた。弦楽器による演奏もしなやかで伸び伸びとした音を奏でているため、その音色をベースとした美しさをたっぷり味わえるベートーヴェン演奏となっているので、最後まで聴き入ってしまう名演だ。
[Disc 8]
・交響曲第6番「田園」
録音:2000年3月10日(ライヴ)
一音一音における分厚いスケール感が非常に素晴らしい「田園」となっており、第5楽章が始まった時にはその伸びやかさと濃厚さに驚かされる。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによって、弦楽器の伸びやかで豊かな音色と響きを余すことなく堪能することができる。弦楽器と木管楽器の自然豊かで牧歌的な世界観をここまで堪能することができるのも中々ない。
[Disc 9]
・交響曲第6番「田園」
録音:2000年3月12日(ライヴ)
緩やかであり、豊かな音色からなる演奏を聞くことができた10日と比べてみると、多少ばかりメリハリも演奏から通して聴くことができるようになった12日ライヴ。テンポの緩急が非常に濃厚な演奏で、速さが味わえるわけではない。しかし、美しさ溢れる世界観に関しては演奏を通して聴くことができる。木管楽器と弦楽器が奏でる調和的な美しい音色による演奏を余すことなく楽しむことができる。
[Disc 10]
・交響曲第7番
録音:2000年9月24日(ライヴ)
ダイナミック・レンジの幅広さからなる分厚いスケールが展開されていることによって、これまでに聴いたことがないような分厚いスケールを今回の演奏で聴くことができる。この曲における新しいイメージを与えてくれたと言っても過言ではないスケール感を明確に堪能することができる演奏となっている。テンポ自体も遅すぎるわけではないので、普段から聴き慣れた推進力溢れる演奏も含めて熱狂的な交響曲第7番演奏と言える。演奏が終わった後のブラボーもこの点に関しては納得がいく。
・交響曲第8番
録音:2000年9月24日(ライヴ)
やや遅めのテンポかつゆったりとした姿勢による演奏は変わらず貫かれており、第4楽章は想像していた以上にやや遅めだったので驚かされた。交響曲第7番と同日の演奏ということも関係してくるのだろうか、アプローチは近い印象である。ティンパニによる打撃も加わり、その一音一音における太めな衝撃が非常に深みある音をきかせてくれるようになっている。
[Disc 11]
・交響曲第9番「合唱付き」
録音:2000年12月29日(ライヴ)
ダイナミック・レンジの幅広さがあることによって、優雅で伸び伸びとした美しい世界観が特徴的な演奏となっている。合唱が加わる第4楽章ではやや遅めのテンポによって演奏が行われていることで、分厚いスケールと共に緩やかな「第九」を聞くことができる。ライヴならではの臨場感も加わったことにより、古楽奏法での強固な演奏とは違うゆとりのある美しさを重視した名演を終始楽しめた。歌手の歌い方も少々こだわりがあり、個性的ながらもバランスの良さを楽しむことができる。
[Disc 12]
・交響曲第9番「合唱付き」
録音:2000年12月30日(ライヴ)
ゆとりがあり、長大なスケールを含めて伸びやかな演奏による「第九」となっているのは29日の演奏と同様に思える。強いて言えばまとまりの良さやオーケストラと合唱の創り上げる世界観が非常に美しさを増しているのは聴いているだけでよくわかる。2021年最新マスタリングによるダイナミック・レンジの幅広さによって、強烈なまでのテンポの緩急を演奏から聴くことができるようになっているわけではないが、緩やかでここまでのベートーヴェンを聴いてきたことを考えれば全集の最後としてふさわしい。
ベートーヴェンの交響曲全集で12枚のCDにまで及んだものは聴いたことがない。しかも全てSACDハイブリッド盤というのだからそれも含めて驚きだ。「第九」を聴き終えた後には「蛍の光」が収録されている。「第九」の後に収録されているため、どこか感動するものがある。朝比奈隆のベートーヴェン自体聴いたのは大分久しぶりだったので、今日までに素晴らしい名演を聴くことができて今はただ満足している。
https://tower.jp/item/5273549