ドン・ジョヴァンニは男装の麗人、ナルシストであり、行く先々で多くのムジカートを口説いている。まさに外見から見ても宝塚に出てきてもおかしくはない。そんな中でもスマートな対応と冷静さがある気品さと余裕に溢れたムジカートである。声優は髙橋ミナミさんが演じている。代表作は「小林さんちのメイドラゴン」よりルコア(ケツァルコアトル)役、「ウマ娘プリティーダービー」よりエルコンドルパサー役、「食戟のソーマ」より田所恵役。
・モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
録音:2015年11月23日〜12月7日
モーツァルトが1787年に作曲したオペラ作品であり、モーツァルトを代表とする作品の一つである。全2幕で演奏時間は約2時間50分。ドン・ジョヴァンニはスペインに伝わる伝説の放蕩者ドン・ファン物語の主人公。モーツァルトは作品を「ドラマ・ジョコーソ」と呼んでいる。ドラマが正調の悲劇を表しているのに対して、ジョコーソは喜劇的な意味となる。悲喜劇両方の要素を込めたという解釈もありつつ、喜劇のみであるという解釈をしたりするという二手に分かれている。
物語は明け方のセビーリャ市内の騎士長邸宅の前からはじまり、従者レポレッロがこんな主人に仕えるのはいやだとぼやいている。ドン・ジョヴァンニは騎士長の娘であるドンナ・アンナの部屋に忍び込んでいたところ、アンナに騒がれてしまったため逃げようとする。そんな中騎士長が登場し、ドン・ジョヴァンニに斬りかかるものの逆に殺されてしまう。悲しみに暮れたアンナは許嫁のオッターヴィオに復讐を果たしてほしいと求めるというのがオペラ冒頭である。
・ドン・ジョヴァンニ:ディミトリス・ティリアコス(バリトン)
・レポレッロ:ヴィート・プリアンテ(バリトン)
・騎士長:ミカ・カレス(バス)
・ドンナ・アンナ:ミルト・パパタナシュ(ソプラノ)
・ドン・オッターヴィオ:ケネス・ターヴァー(テノール)
・ドンナ・エルヴィーラ:カリーナ・ゴーヴィン(ソプラノ)
・マゼット:グイード・ロコンソロ(バリトン)
・ツェルリーナ:クリスティーナ・ガンシュ(ソプラノ)
ムジカエテルナの演奏を話す前に、オーケストラで使用しているピリオド楽器について記載する。20世紀ごろから現在における標準的に使われている楽器を「モダン楽器」と呼び、作曲当時に使われていた楽器をそのまま用いたり、それを元として制作したモデルを「オリジナル楽器」、「古楽器」、「ピリオド楽器」と呼ぶ。それによって楽器の調律も違い、時代ごとに異なるピッチが求められる。また、モダン楽器では表現することができないようなアーティキレーションや音色の違いを楽しむことができるようになる。その際「古楽奏法」という作曲当時の慣習にもとづいた演奏をする技法が今日は多くの演奏家によって行われている。
クルレンツィスはモーツァルト・オペラを「ドン・ジョヴァンニ」以外に「フィガロの結婚」、「コジ・ファン・トゥッテ」を録音している。「ドン・ジョヴァンニ」については過去に一度当ブログでも取り上げているためその時以来である。序曲から強烈なサウンドで演奏が始まるため、その時点でまず圧倒される。ピリオド楽器を使用した近年におけるモーツァルト像を軸として、それをさらに尖った音色、響きとしているようなインパクトのある演奏が展開される。それを伴奏として歌い上げる歌手の歌声もどこか引き締まって聴こえ、伸びやかであり存在感もある場面は多数存在している。ムジカエテルナによる演奏によって、より狂気的かつ鬼気迫る展開を味わえる名盤となっているので、聴き手によっては聴きづらいかもしれないが新鮮味を与えてくれる「ドン・ジョヴァンニ」であることは間違いない。
10月も早いもので今日を含めたら残り3日。あっという間だった。11月に初戦日を迎えるムジカートは5人。それについてはまた後日取り上げていく予定だ。ひとまず、今日はもう一回くらい「ドン・ジョヴァンニ」を聴きたいと思う。これまで何種類か録音を聴いているが、やはり個人的には今回取り上げたクルレンツィス盤が強く印象に残っている。はじめて聴く人にとっては衝撃を与える演奏となるかもしれないが、一度ぜひ聴いてみてほしい。
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