クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。


尚美学園大学/芸術情報学部/音楽表現学科/音楽メディアコース卒業、トランペット、作曲、編曲、DTM


 みなさんこんにちは😃本日10月29日は、「takt op. 真紅き旋律の街を」にて登場するキャラクタードン・ジョヴァンニの初戦日です。ドン・ジョヴァンニはその名前の通りモーツァルトの代表的なオペラ作品「ドン・ジョヴァンニ」の力を宿したムジカートです。そんな今回取り上げていくのは、「ドン・ジョヴァンニ」ですが、テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナによる名盤を聴いていきたいと思います。


「テオドール・クルレンツィス指揮/ムジカエテルナ」

モーツァルト作曲:
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527



 ドン・ジョヴァンニは男装の麗人、ナルシストであり、行く先々で多くのムジカートを口説いている。まさに外見から見ても宝塚に出てきてもおかしくはない。そんな中でもスマートな対応と冷静さがある気品さと余裕に溢れたムジカートである。声優は髙橋ミナミさんが演じている。代表作は「小林さんちのメイドラゴン」よりルコア(ケツァルコアトル)役、「ウマ娘プリティーダービー」よりエルコンドルパサー役、「食戟のソーマ」より田所恵役。


・モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

録音:2015年11月23日〜12月7日

 モーツァルトが1787年に作曲したオペラ作品であり、モーツァルトを代表とする作品の一つである。全2幕で演奏時間は約2時間50分。ドン・ジョヴァンニはスペインに伝わる伝説の放蕩者ドン・ファン物語の主人公。モーツァルトは作品を「ドラマ・ジョコーソ」と呼んでいる。ドラマが正調の悲劇を表しているのに対して、ジョコーソは喜劇的な意味となる。悲喜劇両方の要素を込めたという解釈もありつつ、喜劇のみであるという解釈をしたりするという二手に分かれている。



 物語は明け方のセビーリャ市内の騎士長邸宅の前からはじまり、従者レポレッロがこんな主人に仕えるのはいやだとぼやいている。ドン・ジョヴァンニは騎士長の娘であるドンナ・アンナの部屋に忍び込んでいたところ、アンナに騒がれてしまったため逃げようとする。そんな中騎士長が登場し、ドン・ジョヴァンニに斬りかかるものの逆に殺されてしまう。悲しみに暮れたアンナは許嫁のオッターヴィオに復讐を果たしてほしいと求めるというのがオペラ冒頭である。



・ドン・ジョヴァンニ:ディミトリス・ティリアコス(バリトン)

・レポレッロ:ヴィート・プリアンテ(バリトン)

・騎士長:ミカ・カレス(バス)

・ドンナ・アンナ:ミルト・パパタナシュ(ソプラノ)

・ドン・オッターヴィオ:ケネス・ターヴァー(テノール)

・ドンナ・エルヴィーラ:カリーナ・ゴーヴィン(ソプラノ)

・マゼット:グイード・ロコンソロ(バリトン)

・ツェルリーナ:クリスティーナ・ガンシュ(ソプラノ)



 ムジカエテルナの演奏を話す前に、オーケストラで使用しているピリオド楽器について記載する。20世紀ごろから現在における標準的に使われている楽器を「モダン楽器」と呼び、作曲当時に使われていた楽器をそのまま用いたり、それを元として制作したモデルを「オリジナル楽器」、「古楽器」、「ピリオド楽器」と呼ぶ。それによって楽器の調律も違い、時代ごとに異なるピッチが求められる。また、モダン楽器では表現することができないようなアーティキレーションや音色の違いを楽しむことができるようになる。その際「古楽奏法」という作曲当時の慣習にもとづいた演奏をする技法が今日は多くの演奏家によって行われている。


 クルレンツィスはモーツァルト・オペラを「ドン・ジョヴァンニ」以外に「フィガロの結婚」、「コジ・ファン・トゥッテ」を録音している。「ドン・ジョヴァンニ」については過去に一度当ブログでも取り上げているためその時以来である。序曲から強烈なサウンドで演奏が始まるため、その時点でまず圧倒される。ピリオド楽器を使用した近年におけるモーツァルト像を軸として、それをさらに尖った音色、響きとしているようなインパクトのある演奏が展開される。それを伴奏として歌い上げる歌手の歌声もどこか引き締まって聴こえ、伸びやかであり存在感もある場面は多数存在している。ムジカエテルナによる演奏によって、より狂気的かつ鬼気迫る展開を味わえる名盤となっているので、聴き手によっては聴きづらいかもしれないが新鮮味を与えてくれる「ドン・ジョヴァンニ」であることは間違いない。


 10月も早いもので今日を含めたら残り3日。あっという間だった。11月に初戦日を迎えるムジカートは5人。それについてはまた後日取り上げていく予定だ。ひとまず、今日はもう一回くらい「ドン・ジョヴァンニ」を聴きたいと思う。これまで何種類か録音を聴いているが、やはり個人的には今回取り上げたクルレンツィス盤が強く印象に残っている。はじめて聴く人にとっては衝撃を与える演奏となるかもしれないが、一度ぜひ聴いてみてほしい。


https://tower.jp/item/4342996?srsltid=AfmBOopSW0MS-W2d8l5nBfszctcyz37K18jxP9idgbP84jUO6taZExXR












 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、ヘルベルト・ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンによるベートーヴェン交響曲全集です。2019年に発売されたタワーレコード限定のSACDハイブリッド仕様の高音質盤となっています。ブロムシュテットによるベートーヴェンの中でも人気の名盤で、後に録音されたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との交響曲全集も含めて非常に人気を博しています。今回購入してから久しぶりになってしまいましたが、ついに取り上げていきます。


「ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/シュターツカペレ・ドレスデン」

ベートーヴェン作曲:
交響曲第1番 ハ長調作品21

交響曲第2番 ニ長調作品36

交響曲第3番 変ホ長調作品55「英雄」

交響曲第4番 ロ長調作品60

交響曲第5番 ハ短調作品67

交響曲第6番 ヘ長調作品68「田園」

交響曲第7番 イ長調作品92

交響曲第8番 ヘ長調作品93

交響曲第9番 ニ短調作品125「合唱付き」



 ブロムシュテットによるベートーヴェン交響曲全集は2種類所有しており、今回2019年に発売され同年における最新マスタリングが施されたSACDハイブリッド盤の名盤を取り上げていく。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による交響曲全集もありますが、まずはSKD(シュターツカペレ・ドレスデン)によるベートーヴェンの交響曲を取り上げていきたい。


・ベートーヴェン:交響曲第1番

録音:1979年12月19〜21日

 奥深い音色からなる安定感も感じ取ることができるサウンドが功を奏する演奏となっている。SACDハイブリッド仕様のマスタリングを施していることによるダイナミック・レンジの幅広さも含めて、抜群の伸びやかな演奏。楽章によってはテンポの緩急も含めた伸びやかで細部まで細かく演奏され尽くされた美しい演奏が展開されている。


・交響曲第2番

録音:1979年12月17〜19日

 楽章によってはやや遅めのテンポ設定のようにも聴こえなくはないアプローチからなる非常に安定感を感じ取ることのできるサウンドが展開されている。そのため、第3楽章→第4楽章が特にその傾向にあるかもしれないが、落ち着きのある印象が優っており瞬発力はそこまで感じることができない。ただその分弦楽器を中心として透き通るような美しさ溢れる音色が展開されているため、幾分か聴きやすい交響曲第2番となっているのは良いポイントと言えるだろう。


・交響曲第3番「英雄」

録音:1979年3月17〜21日

 細部まで細かく演奏され尽くされた俊敏な「英雄」である。ダイナミック・レンジの幅広さがマスタリングによってさらに美しさを増し、細かいダイナミクス変化を持って演奏を楽しめるようになっている。ここまでに第1番〜第3番まで聴いてきたが、その中でもやはり深みのある安定感も含めて聴きやすいベートーヴェンとなっていたのは間違いないだろう。テンポ設定もベストであり、伸びやかかつ豊かなサウンドを聴くことができた。


・交響曲第4番

録音:1978年8月21〜24日

 多少控えめに、かつコンパクトに聴こえなくもないが、その分エネルギーの凝縮も含めてテンポの緩急からなるダイナミクス変化が抜群の効果をもたらしている。特にこの交響曲第4番は室内楽寄りのアプローチを演奏となっているかもしれないが、個々の楽器における個性的な音色と響きを余すことなく味わえるようになっているので、聴きやすさもある。


・交響曲第5番

録音:1977年3月14〜18日

 一音一音確かに奏でながらも豊かに美しいベートーヴェンの交響曲第5番が展開されている。勢いの良さも楽章によっては聴くことができるが、基本となる軸としては冷静かつ細部にわたってこだわり抜かれたアンサンブルとなっている。SKD全体で音色の統一がされている分、弦楽器が主体となって美しさとしての音楽の美を聴くことができる。これもマスタリングが施されたSACDハイブリッド盤であるということが大きいのかもしれない。第3楽章から第4楽章へとアタッカするダイナミクス変化の盛り上がりは絶妙なバランスによって展開されているので、聴きやすさも抜群だ。


・交響曲第6番「田園」

録音:1977年6月6〜9日

 重厚的で分厚いスケールからなる重量級の「田園」である。そのため、テンポの緩急はそこまで大きく感じられないかもしれないが、一音一音濃厚かつ太い音を聴くことができる。その点がここまでに聴いてきたベートーヴェン演奏とは違う要素と言えるかもしれない。ダイナミック・レンジの幅広さが増したからこそ味わえる圧倒的なスケール感は、特に第5楽章で低弦が余すことなく奏でているので、じっくり聴いていただきたい。


・交響曲第7番

録音:1975年2月24〜28日

 テンポの緩急に大きな差があるわけではないのだが、「急→緩」や「緩→急」における変化にそれぞれを生かすアプローチが施された状態で演奏が展開されているのがよくわかる。それぞれの場面で推進力溢れる楽章ではエネルギッシュに演奏を行い、重量感ある重々しいサウンドで奏でる瞬間もある。今回の演奏は特にそこが明確に演奏されていた。軽やかでありながらも金管楽器のキレ味を見事に味方とした交響曲第7番と言える。


・交響曲第8番

録音:1978年2月14〜16日

 穏やかに、豊かな音色と共に演奏が展開されていく交響曲第8番。キレ味のあるテンポの緩急は感じられないが、室内楽を感じさせるようなアンサンブルの世界観が非常に美しい。木管楽器の牧歌的な音色も、弦楽器による一音一音明確な演奏も聴きごたえ抜群である。


・交響曲第9番「合唱付き」

録音:1979年4月9〜11日、1980年3月31日

 まさにここまでに聴いてきたベートーヴェンの交響曲の締めくくりにふさわしい演奏というべき壮大なるスケールを味わうことができる。豊かな音色と響きを軸とした安定感のあるサウンド作りが非常に素晴らしい。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによって細部まで細かく聴き込みやすくなったのも素晴らしいポイントで、第4楽章で加わる歌手と合唱とオーケストラとのバランスも絶妙に良い。


 ブロムシュテット&SKDによる名盤といえば、タワーレコード限定でSACDハイブリッド仕様の高音質盤がいくつか復刻されている。今回取り上げたベートーヴェン交響曲全集ははじめて聴いたが非常に面白い演奏であり、久しぶりに聴いたベートーヴェン交響曲全集としても楽しむことができた。この流れでライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との交響曲全集も取り上げていきたいと思う。


https://tower.jp/item/4898934









 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、オトマール・スウィトナー&NHK交響楽団によるモーツァルト交響曲第38番「プラハ」、第36番「リンツ」です。スウィトナー没後15年企画としてタワーレコード限定でSACDハイブリッド仕様の高音質盤として復刻されました。もちろん世界初SACD化。スウィトナーとN響によるモーツァルトの交響曲録音は以前別のライヴも取り上げていますが、今回は1979年に荒川区民会館での両者初録音時の演奏となっています。


「オトマール・スウィトナー指揮/NHK交響楽団」

モーツァルト作曲:
交響曲第38番 ニ長調 K.504「プラハ」

交響曲第36番 ハ長調 K.425「リンツ」



 スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンによるモーツァルトはタワーレコード限定でSACDハイブリッド盤として聴くことができるくらいに人気を博した名盤だ。今回取り上げるのはスウィトナー&N響が初録音となった際の貴重なモーツァルトである。スウィトナーはN響と1971年に初共演しており、1973年には「名誉指揮者」の称号を贈られている。


・モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」

録音:1979年1月6,7日(ライヴ)

 より厳格であり、固さを多少感じ取ることのできる音色、響きをN響が奏でている。2025年最新マスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの幅広さが功を奏する演奏を聴くことができ、芯の強さもあるがやや暗めなサウンド作りが非常に美しさ溢れるアプローチとなっているのが面白い。全楽章を通してもスッキリとしていてしつこさがあまりないため、透き通るように美しい「プラハ」となっているのは間違いない。


・モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」

録音:1979年1月6,7日(ライヴ)

 安定感と落ち着きを演奏から聴くことのできる美しい音色がまとまりあっている美しさを感じる。奥行きを感じながら聴くことのできる豊かな音色、深みのあるサウンドが抜群に良い。テンポの緩急も各楽章によって感じ取ることができるわけだが、その際のスッキリとした透き通るような美しさ溢れる音色の良さが功を奏する形となっている。古楽奏法による強烈で筋肉質な固さのある演奏はないかもしれないが、まとまりのある豊かな「リンツ」をスウィトナー&N響による演奏で聴くことができるのは面白かった。


 スウィトナーによるモーツァルト演奏はやはり何度聴いても面白い。N響とのモーツァルト録音は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」があるので、それについては引き続き探したいと思う。N響のCDについても少しずつまた探し始めたいと考えているので、ほとんど廃盤であることはわかっているがディスクユニオンやブックオフでの情報を収集していきたいと思う。


https://tower.jp/item/6927905









 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、井上道義&新日本フィルハーモニー交響楽団によるマーラー交響曲第7番「夜の歌」です。こちらは2000年に両者が行ったマーラー・ツィクルス第7回目のライヴから登場した録音。初出とのことで、これはマニア必見と言えるでしょう。SACDハイブリッド仕様の高音質盤で聴く井上さんのマーラーを取り上げていきます。


「井上道義指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団」

マーラー作曲:
交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」



 井上さんと新日本フィルによるマーラーは、交響曲第1番、第6番、第9番の3種類がすでに発売されている。ツィクルスではあるが残念ながら全ての録音が発売されていない。そんな中25年ぶりに登場したのが今回取り上げる第7番である。この流れに乗って他の交響曲録音も登場してほしいのだが、それは今後の情報を待ちたいと思う。


・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

録音:2000年4月8日(ライヴ)

 おそらく今回の発売に合わせてマスタリングを改めて施した結果、非常に素晴らしいマーラー演奏が聴けるようになっている。「Exton」ではこれまでロイヤル・フィルと新日本フィルそれぞれによる井上さんのマーラー演奏を聴くことができるようになっているが、その中でも群を抜いた高音質っぷりが大きなポイントであると言っても良い。ダイナミック・レンジの幅広さも功を奏する展開となっており、全楽章を細部まで細かく聴き込むことができるため、難解なこの曲のイメージを払拭してくれるような役割がこの演奏にはある。同時にテンポの緩急からなるダイナミクス変化が非常に明確で、爆発力も非常に素晴らしい。ずっと聴いていたくなるような明瞭さが演奏に備わっているため、「怪演」ではなく「快演」という記載がCD紹介文に記載があったのも納得した。


 井上さんが引退されてから今回の音源が発売されおり、今後同じような録音が発売されていくのであればぜひこの時に録音されたであろうマーラー・ツィクルスや2024年に演奏されたライヴの数々をストリーミング配信でもいいので発売して欲しい。その時はぜひ聴きに行くことができなかったショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」をお願いしたい。


https://tower.jp/item/6977085












 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、サントゥ=マティアス・ロウヴァリ&フィルハーモニア管弦楽団によるリヒャルト・シュトラウス交響詩「英雄の生涯」です。すでに両者によるリヒャルト・シュトラウス作品は、2023年に交響詩集として「ドン・ファン」、「アルプス交響曲」、「ツァラトゥストラはかく語りき」、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」をCD化しています。その中に収録されていなかった「英雄の生涯」が今回フィルハーモニア管弦楽団創立80周年記念盤として発売されました。今回はこちらを取り上げていきます。


「サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮/フィルハーモニア管弦楽団」

リヒャルト・シュトラウス作曲:
交響詩「英雄の生涯」作品40



 ここまでロウヴァリはリヒャルト・シュトラウス、マーラー、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチとフィルハーモニア管弦楽団と録音を行ってきたが、このタイミングでリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」が登場するとは思いもしなかった。個人的にはリヒャルト・シュトラウス作品の中でも特に好きな作品であるので、非常に嬉しい録音である。


・リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

録音:2023年6月8日

 ややテンポの重さが感じられる重量級な演奏で、「英雄の戦場」が終わり、「英雄の業績」へと場面が転換された際の一歩一歩過去を振り返るかのような感覚は、これまでに聴いてきたどの録音よりも明確なものを感じる。「英雄の伴侶」にて演奏される独奏ヴァイオリンの演奏も技量を確かに感じ取ることができる美しさと、伸びやかさを聴くことができる。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによってオーケストラ全体を見渡せるような感覚があり、それによる卓越されたアンサンブルと伸びやかなサウンド、テンポの緩急がわかりやすく作り込まれているのが今回の演奏の良さとも言えるかもしれない。はじめに申し上げたように、テンポがやや遅めとなっている分、機動力や推進力には大きく反映されていないかもしれないが、たっぷりと濃厚な「英雄の生涯」を味わえる名盤であることは間違いない。


 今回の「英雄の生涯」も非常に素晴らしい演奏となっていた。期待を裏切ることのない名盤という形で、すでに発売されている他のリヒャルト・シュトラウス作品の録音も改めて聴き直したくなるような素晴らしい仕上がりとなっていたのは言うまでもない。それらに関してはまた後日聴き直したいと思う。ひとまず、今回取り上げた「英雄の生涯」は繰り返し聴きたいので、今日の残りは「英雄の生涯」をたっぷりと楽しみたい。


https://tower.jp/item/6933674











 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、エルネスト・アンセルメ&スイス・ロマンド管弦楽団によるベルリオーズの「幻想交響曲」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」です。最晩年のアンセルメが来日した際の1968年東京文化会館ライヴとなっています。今回使用されている音源は元メンバーのご遺族から提供されたステレオ録音。それを最新マスタリングが施されたUHQCD × MQA-CDで復刻しています。


「エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団」

ベルリオーズ作曲:
幻想交響曲 作品14

ラヴェル作曲:
ラ・ヴァルス



 アンセルメのライヴといえば、N響との「火の鳥」を思い出すが、スイス・ロマンド管を退任した後のライヴがまだ残されているとは思ってもいなかった。「ATS」ではMQACDによる高音質盤がここ最近復刻される傾向にあり、安価で高音質というコストパフォーマンスにも良い往年の時代における名演を楽しめるということでマニアとしては嬉しい代物ばかりとなっている。


・ベルリオーズ:幻想交響曲

録音:1968年6月24日(ライヴ)

 演奏が多少遠いのは少し気になるが、透き通るような透明度の高さからなる美しさ溢れるスイス・ロマンド管による音色の良さが功を奏する形となっている。そういう意味では非常にバランスの取れた安定感のある演奏というように考えられる。第5楽章の鐘の音は想像している以上に低いため聴こえるかギリギリの感覚を味わえるようになっている。ダイナミック・レンジの幅広さや奥行きの良さ、神秘的にすら聴こえる幻想的な世界観はアンセルメだからこそ創り上げることのできる「幻想交響曲」である。


・ラヴェル:ラ・ヴァルス

録音:1968年6月24日(ライヴ)

 パワー型ではなく、細部までこだわり抜かれた美しい音色と卓越された響きが功を奏する演奏となっている「ラ・ヴァルス」。細かいテンポの揺らぎや緩急にもこだわりを強く感じられる演奏で、木管楽器と弦楽器が創り上げる世界観には非常に強い魅力を感じ取ることができるようになっている。ライヴであると同時にマスタリングが施されたことによってより美しさに特化した演奏を楽しめるようになっているのは非常に素晴らしいと言える。


 アンセルメのライヴはそこまで手元にないため、少しずつ聴いても良いように思えた。また、「デッカ・レコーディングス〜フランス音楽集」もまだほとんど聴くことができていないので、そこから何種類か聴いて取り上げていくのも良いかもしれない。その中にはベルリオーズの「幻想交響曲」もあるし、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」も収録されている。ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」が2種類あるので、そちらも聴いてみたいと思う。


https://tower.jp/item/6953154












 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、ピエール・ブーレーズ&シカゴ交響楽団によるマーラー交響曲第1番「巨人」です。ブーレーズによるマーラー交響曲全集の一部である当盤は、これまでに聴いてきた新鮮味のある「巨人」とはまた違うブーレーズが創り上げる独特な世界観からなる「巨人」であると言えるでしょう。


「ピエール・ブーレーズ指揮/シカゴ交響楽団」

マーラー作曲:
交響曲第1番 ニ長調「巨人」



 ブーレーズによるマーラー交響曲全集は、マーラーの交響曲録音を集め始めた当初に早い段階で購入している。購入当日は繰り返し聴いてはこなかったが、何年か経過してから聴いてみるとよく聴く名盤になりつつあった。作曲家としての面がブーレーズとしては強かったのかもしれないが、それによる独特なアプローチを存分に楽しめる演奏であると後からよくわかってきた。それはブーレーズによるストラヴィンスキーやドビュッシー、ラヴェル作品の録音を聴いたこともあるだろう。当ブログではこれまでに第6番と第8番を取り上げている。


・マーラー:交響曲第1番「巨人」

録音:1998年5月

 テンポの緩急はそのままに、各楽章ごとに細かい溜めや加速が演奏から聴くことができる。それはブーレーズによる指揮だからこそという要素が非常に強い。作曲家であるブーレーズのアプローチもあるのだろう。そして金管楽器の強烈なサウンドや木管楽器の軽快でありながらも第4楽章では叫び続けている。過去にこれほどの演奏は聴いたことはない。そして、弦楽器によるまとまりあるサウンドからなるしっかりとした土台があるからこその美しさであると感じた。他の交響曲と比べると演奏時間も比較的に短いので、聴きやすい印象は受けるがブーレーズによる「巨人」は独特な溜めが一部分含まれているため、いつもより多少は長く感じた。しかし、これはこれで普段味わえないようなマーラーを聴くことができた気がしていて満足している。


 ブーレーズによるマーラー録音は交響曲全集以外にライヴ録音がいくつかのレーベルから発売されている。現在では手に入れづらい録音が多数存在しているわけだが、その一つ一つは非常に貴重な演奏ばかりだ。全てを手に入れているわけではないが、何種類かディスクユニオン等で購入することができたCDがあるので、それらも少しずつ取り上げていけたらと考えている。ブーレーズのマーラーも聴き続けていけば聴くほどに印象が変わってくる名盤となっている。


https://tower.jp/item/4601473












 みなさんこんにちは😃本日10月22日は、フランツ・リストの誕生日です。今年で生誕214年となります。そんな本日ご紹介していくのは、リストの代表作であるピアノ・ソナタロ短調のピアノ版とヴェイネル・レオーによる管弦楽版です。リストによるピアノ・ソナタロ短調は私自身一番好きな作品で、大学3年の時に出会ってから今でも好きなピアノ曲です。そんなピアノ・ソナタロ短調に管弦楽版がある。これは聴かないわけにはいかないでしょう。


「オルガ・コズローヴァ(ピアノ)」

リスト作曲:
ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178


「ニコラス・パスケ指揮/ワイマール・フランツ・リスト音楽大学オーケストラ」

リスト作曲:
ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178(ヴェイネル編)



 1852年から1853年にかけてリストによって作曲されたピアノ・ソナタロ短調は1854年に出版されており、「幻想曲 ハ長調」の返礼としてロベルト・シューマンに献呈されている。初演は1857年1月27日にハンス・フォン・ビューローによって行われた。ピアノ・ソナタではあるが、単一楽章で演奏されているというのも大きな特徴である。


・リスト:ピアノ・ソナタロ短調

録音:2006年7月17日

 2006年にフランツ・リスト国際ピアノ・コンクールで優勝したロシアのピアニスト、オルガ・コズローヴァによる演奏を収録している。テンポの緩急が鋭い多少シャープなピアノタッチからなる演奏を聴くことができるというのも面白いポイントとも言える。それに加えて怒涛の音の連続が非常に印象的である。しかし、「急→緩」になった際の音色は伸びやかで非常に繊細に描かれている。細部まで細かく展開されていく。歯切れ良い演奏でもあるが、壮大なるピアノ・ソナタの世界を楽しむことができる演奏となっている。


・リスト:ピアノ・ソナタロ短調(管弦楽版)

録音:2007年10月22日(ライヴ)

 私が管弦楽版の存在を知ったのは大学時代の頃。学生の特権でナクソスを無料で聴くことができた私はCDを集めつつ、図書館にはないCDをナクソスで片っ端から聴いていた。その中にこの管弦楽版があったのである。その時の録音がどこのオーケストラによるものかは覚えていないが、調べた限り管弦楽版の録音は少ないので、当盤だった可能性もあるだろう。1956年リスト没後70年記念、編曲したヴァイネルが70歳を迎えたこともあって管弦楽版が誕生した。今回演奏しているのは、リストの後押しで誕生したフランツ・リスト音楽大学オーケストラ。


 演奏は確かに若々しく、エネルギーに満ち溢れている演奏となっているのは間違いない。ライヴであることもあって壮大なるスケール感がたっぷり味わえる。弦楽器群の高音域と金管楽器によるサウンドが非常にぴたりと当てはまるかのようなキレ味の良さが個人的に注目したいポイントで、テンポの緩急からなる緩やかなサウンドが絶妙な美しさを味合わせてくれる。


 ピアノ・ソナタロ短調はほとんどピアノ演奏でのもか録音がないかもしれないが、たまに今回のような管弦楽版を聴いてみるとどこか燃えたぎるような何かがあると言えるだろう。大学生以来に聴くということなのだから約9年ぶり。これは熱い時間だった。Apple Music Classicalには感謝仕切れない。リストの管弦楽作品はまだまだ聴いたことがない作品が多数あるので、今後少しずつ聴いていこうと思う。


https://www.hmv.co.jp/artist_リスト(1811-1886)_000000000020537/item_ピアノ・ソナタ(オーケストラ編曲版&ピアノ原曲)-パスケ&リスト音楽大学オーケストラ、コズローヴァ(p)_2727561











 みなさんこんにちは😃本日10月21日は指揮者、ピアニストであるサー・ゲオルグ・ショルティの誕生日です。今年で生誕113年となります。そんな本日ご紹介していくのは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と録音を行ったリヒャルト・シュトラウスの歌劇「エレクトラ」です。ショルティは管弦楽作品だけでなく、オペラ作品も数多く録音を行いました。「エレクトラ」はそのうちの1曲、「サロメ」も後日取り上げていきますが、まずは「エレクトラ」をみていきましょう。


「サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

リヒャルト・シュトラウス作曲:
歌劇「エレクトラ」



 ショルティはリヒャルト・シュトラウス、リヒャルト・ワーグナー含めて多くのオペラ作品を録音、演奏している。特に有名な録音は間違いなく「ニーベルングの指環」だろう。これもいつか取り上げたいのだがまだそのタイミングを逃している。リヒャルト・シュトラウスでは「ばらの騎士」、「サロメ」、「影のない女」、「ナクソス島のアリアドネ」、「アラベラ」などを録音している。その中で今回は「エレクトラ」を取り上げる。というのも、まだ「エレクトラ」を聴いたことがないというのも理由にある。


・リヒャルト・シュトラウス:歌劇「エレクトラ」

録音:1966〜1967年

 「サロメ」は繰り返し聴くくらい好きな作品だったが、「エレクトラ」はまだ聴いたことがないリヒャルト・シュトラウス作品のオペラだった。エレクトラ和音が駆使された強烈な演奏を聴くことができる。歌手、オーケストラそれぞれ演奏難易度が非常に高いオペラ作品ということで、録音の数も多くない。その中でも特に人気がある演奏がこのショルティ&ウィーン・フィルによる「エレクトラ」である。ダイナミック・レンジの幅広さや左右に音が振り分けられているバランスも含めた効果も非常に素晴らしい。ウィーン・フィルが演奏しているとは思えないような強烈な音色からなる響き、思わず叫んでいるような感情を聴くことができる演奏には多少の今日を覚えたが、同時に先日久しぶりに聴いた「マクベス」のようにその魅力に魅了されたとも言えるかもしれない。「ばらの騎士」ほど演奏時間は長くなく、「サロメ」と比較的に演奏時間が同じくらいのため、一幕のオペラで聴きやすい。



・エレクトラ:ビルギット・ニルソン(ソプラノ)

・クリテムネストラ:レジーナ・レズニック(メゾ・ソプラノ)

・クリソテミス:マリー・コリアー(ソプラノ)

・エギスト:ゲルハルト・シュトルツェ(テノール)

・オレスト:トム・クラウゼ(バリトン)

ウィーン国立歌劇場合唱団



 ショルティによるオペラ録音はまだまだ聴いたことがない演奏が多数となっているが、今回の「エレクトラ」や「ニーベルングの指環」としても非常に素晴らしい演奏ばかり。マーラーの交響曲全集も取り上げつつ、時間がある時はワーグナーやリヒャルト・シュトラウスのオペラ作品も聴きたいと思う。年内に伝説的な「ニーベルングの指環」を聴ければ良いのだが…予定を調整してみたい。


https://tower.jp/item/4491134











 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、マリス・ヤンソンス&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団によるストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)、バレエ音楽「春の祭典」です。2007年のライヴを収録したもので、SACDハイブリッド、UHQCDと高音質盤で聴くことができるというのも特徴の一つと言えるでしょう。


「マリス・ヤンソンス指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」

ストラヴィンスキー作曲:
バレエ組曲「火の鳥」1919年版

バレエ音楽「春の祭典」



 ヤンソンスによるストラヴィンスキーはバイエルン放送交響楽団ともCDを発売しているが、それよりも前にコンセルトヘボウ管とも演奏を行っている。今回は取り上げていないが、「ペトルーシュカ」も録音を行っているのでストラヴィンスキーにおける三大バレエ音楽はすでに録音して終えている。


・ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

録音:2007年6月&12月

 SACDハイブリッド盤であることによるダイナミック・レンジの幅広さからなる空間的な音の広がりが功を奏する演奏となっており、聴き手の心を見事に掴んでいると言える。細かいテンポの揺れやテンポの緩急を各曲から聴くことができ、その際個々の楽器が非常に生き生きとしたサウンドを奏でているため、抜群に楽しめるようになっているのは間違いない。終曲以降の感動は群を抜いており、スケールも含めたダイナミクス変化は全てを味方にしているので、聴いているだけでその世界観をたっぷりと楽しめるのは間違いない。


・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

録音:2006年6月&11月

 一音一音における音の重みが全くと言っていて良いくらいに違う「春の祭典」。特に「緩→急」へとテンポの緩急が変化した際のダイナミクス変化の爆発力が非常に素晴らしい。一部ズレている場面もあるが、それこそライヴの醍醐味であると言えるだろう。ダイナミック・レンジの幅広さが他の演奏と比べかも大きく増していることが功を奏しており、打楽器の躍動感と強烈な打撃が、より原始的なイメージからなるアプローチを彷彿とさせる。


 ヤンソンス&コンセルトヘボウ管による自主制作のCDはどの演奏も高音質盤で聴くことができるようになっているので、聴いていて非常に面白い演奏ばかりである。その中にはマーラーの交響曲もあるので、少しずつそれらも取り上げたい。また、「ペトルーシュカ」についても後日取り上げて、ヤンソンスがコンセルトヘボウ管と録音を行ったストラヴィンスキーの三大バレエ音楽をたっぷり味わいたいと思う。


https://tower.jp/item/2413088