チョン・ミョンフン&フランス放送フィルによるストラヴィンスキー&ムソルグスキー作品が収録されている当盤。いずれもチョン・ミョンフンが得意とするレパートリーであることに間違いはないが、独特なアプローチによる演奏が展開されているので聴きごたえがある。どちらの演奏でも驚かされる要素が盛りだくさんとなっているので、良い意味で一瞬も気が抜けないというのはこのことである。
・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
録音:2007年3月
テンポの緩急や細かい溜め、ダイナミクス変化が他の演奏では聴くことのできない刺激に満ち溢れた演奏である。それがあったとしてもその演奏からなる音色と響きは、なおのこと色彩感溢れる美しいアプローチを保っている。部分的に間髪入れず演奏が進められていく場面もあるが、それによる強烈なサウンドからなる演奏はオーケストラ全体がパワー型ではないとしても十二分に楽しめるテンションの高さである。勢いの良さ、躍動感などを味わいたい時にぴったりな「春の祭典」となっている。
・ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
録音:2008年12月
しつこさをあまり感じることのないどこかさっぱりとした演奏で、曲によっては骨太な低音、弦楽器の鋭さからなるスケールが功を奏する場面も少なからず見受けられる。「キーウの大門」になった瞬間の音の広がりは非常に美しく、テンポが落ちた後の重心の低さもより作品の世界観を明確なものとするアプローチへ繋がっている。溜めがあまりないこともあってあっさりとした演奏に聴こえなくもないが、最初から最後までソロ、オーケストラ全体含めて一貫性が貫かれているのも、この曲を聴く上で非常に素晴らしい点と言えるだろう。
チョン・ミョンフンの名盤、特にフランス音楽は得意なレパートリーということもあって素晴らしい演奏ばかり。以前取り上げた「ダフニスとクロエ」も非常に素晴らしい名盤だった。また近いうちに取り上げたいので、そちらについてはまた聴こうと思う。


















