まちがいさがし【悪魔の仇討ち】後編
アンニョンハセヨ~

イラストレーターのmiryonです★
前回の記事
まちがいさがし【悪魔の仇討ち】前編
…の続き、後編です
* * * * *
まもなく王のもとへ
盲目の占い師が召し抱えられました。
王は言いました。
「よく来た。
そちのうわさは聞いておるぞ。
その功をたたえ、
そちをこの城で雇いたいと思う。
…だがまずは
その力が本物かどうか
試させてもらうぞ。」
王が合図すると
召使いが四角い箱を
占い師の前に置きました。
「さあ!目の前にあるもの、
それは何か言うてみよ!」
すると占い師はこう答えました。
「これはネズミでございます。」
王を含め、その場にいた
家臣たちもどよめきました。
確かにその箱の中には
ネズミが一匹入っていたのです。
王は続けました。
「して、ネズミは何匹おるか?」
占い師は見えぬ目を
箱に向けながらこう言いました。
「二…いや、三…。
王様、ネズミは三匹でございます。」
王はがっかりしました。
「やれやれ…
そちは朝鮮に並びもない
占い師だと聞いたが
とるに足らんな!
その箱にネズミは一匹しかおらぬ。
わしがこの手で入れたのだ。
まあしかし…惜しかったな。」
そう言って笑い飛ばす
王と家臣たちに向かって、
占い師ははっきりと言いました。
「しかし王様、
ネズミは三匹入っております。」
びっくりしたのは家臣たちです。
「おい貴様!身分をわきまえろ!」
「王自ら一匹とおっしゃるのに
たてつく気か!!」
しかし占い師は
静かに続けました。
「たてつくなどめっそうもない。
わたくしめはただ、真実を
申し上げているだけです。」
その言葉を聞いて王は激高しました。
「よろしい!
この無礼者を首切りの刑に処せ!」
占い師はあっと言う間に
東小門(トンソムン)の
刑場へと連れて行かれました。
それでも王は怒りがおさまらず
玉座の前をうろうろしておりましたが、
ふと思いなおしました。
(待てよ…
わしは確かに一匹入れたが
よもや増えてはいまいな?)
ちょうど家臣が
ネズミの入った箱を
片づけようとしていたので、
王は中身を確認するよう命じました。
すると…
なんと!!
ネズミが子を二匹産んで
三匹に増えておりました。
その場にいた誰もが言葉を失いました。
しかし王はすぐに命令しました。
「誰か!刑場へ伝えーい!!
即刻死刑を止めるのだ!!
これ程の占い師を殺してはならん!
中止の旗を振るのだ!
いそげーっっ!!!」
「は、はーっっ!!!」
このような時に
死刑の中止を知らせる為の
合図があらかじめ決まっていました。
城の物見台から
白い大きな旗を「右」に振るのです。
「右」ならば中止…
「左」ならばそのまま刑を実行…
「右だ!!お許しが出た!!
旗を右に…右にっっ!!」
全速力で駆け上がってきた
兵士の剣幕に驚きながらも、
物見台の役人は旗を右に振ろうとした…
その時。
(ヒヒヒ…風よ吹け…黒い風
悪魔の風…どうと吹け!)
ゴォォオオオ!!!
突然怪しい風が吹き荒れて
旗が「左」に
振られてしまいました。
それを見た処刑人は
占い師の首を切り落としたのでした。
王は占い師を悼んで
立派な墓を作らせました。
その墓の上で
悪魔が「ケケケ」と
笑っていたことは
誰も知りませんでした…
…というお話です。
今までで一番長かったお話…
最後まで読んでくださった皆さま、
本当にありがとうございますっ


イラストレーターのmiryonです★
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まちがいさがし【悪魔の仇討ち】前編
…の続き、後編です

* * * * *
まもなく王のもとへ
盲目の占い師が召し抱えられました。
王は言いました。
「よく来た。
そちのうわさは聞いておるぞ。
その功をたたえ、
そちをこの城で雇いたいと思う。
…だがまずは
その力が本物かどうか
試させてもらうぞ。」
王が合図すると
召使いが四角い箱を
占い師の前に置きました。
「さあ!目の前にあるもの、
それは何か言うてみよ!」
すると占い師はこう答えました。
「これはネズミでございます。」
王を含め、その場にいた
家臣たちもどよめきました。
確かにその箱の中には
ネズミが一匹入っていたのです。
王は続けました。
「して、ネズミは何匹おるか?」
占い師は見えぬ目を
箱に向けながらこう言いました。
「二…いや、三…。
王様、ネズミは三匹でございます。」
王はがっかりしました。
「やれやれ…
そちは朝鮮に並びもない
占い師だと聞いたが
とるに足らんな!
その箱にネズミは一匹しかおらぬ。
わしがこの手で入れたのだ。
まあしかし…惜しかったな。」
そう言って笑い飛ばす
王と家臣たちに向かって、
占い師ははっきりと言いました。
「しかし王様、
ネズミは三匹入っております。」
びっくりしたのは家臣たちです。
「おい貴様!身分をわきまえろ!」
「王自ら一匹とおっしゃるのに
たてつく気か!!」
しかし占い師は
静かに続けました。
「たてつくなどめっそうもない。
わたくしめはただ、真実を
申し上げているだけです。」
その言葉を聞いて王は激高しました。
「よろしい!
この無礼者を首切りの刑に処せ!」
占い師はあっと言う間に
東小門(トンソムン)の
刑場へと連れて行かれました。
それでも王は怒りがおさまらず
玉座の前をうろうろしておりましたが、
ふと思いなおしました。
(待てよ…
わしは確かに一匹入れたが
よもや増えてはいまいな?)
ちょうど家臣が
ネズミの入った箱を
片づけようとしていたので、
王は中身を確認するよう命じました。
すると…
なんと!!
ネズミが子を二匹産んで
三匹に増えておりました。
その場にいた誰もが言葉を失いました。
しかし王はすぐに命令しました。
「誰か!刑場へ伝えーい!!
即刻死刑を止めるのだ!!
これ程の占い師を殺してはならん!
中止の旗を振るのだ!
いそげーっっ!!!」
「は、はーっっ!!!」
このような時に
死刑の中止を知らせる為の
合図があらかじめ決まっていました。
城の物見台から
白い大きな旗を「右」に振るのです。
「右」ならば中止…
「左」ならばそのまま刑を実行…
「右だ!!お許しが出た!!
旗を右に…右にっっ!!」
全速力で駆け上がってきた
兵士の剣幕に驚きながらも、
物見台の役人は旗を右に振ろうとした…
その時。
(ヒヒヒ…風よ吹け…黒い風
悪魔の風…どうと吹け!)
ゴォォオオオ!!!
突然怪しい風が吹き荒れて
旗が「左」に
振られてしまいました。
それを見た処刑人は
占い師の首を切り落としたのでした。
王は占い師を悼んで
立派な墓を作らせました。
その墓の上で
悪魔が「ケケケ」と
笑っていたことは
誰も知りませんでした…
…というお話です。

今までで一番長かったお話…
最後まで読んでくださった皆さま、
本当にありがとうございますっ
