まちがいさがし【悪魔の仇討ち】前編
アンニョンハセヨ~

イラストレーターのmiryonです★
朝鮮新報社が発行している
月刊이어(イオ)という雑誌の
8月号まちがいさがしイラストを
描かせて頂きました
月刊이어(イオ)という雑誌の
8月号まちがいさがしイラストを
描かせて頂きました

テーマは『朝鮮の民話』で
8月号のお話は「悪魔の仇討ち」
昔むかし、朝鮮の都に
一人の盲目の占い師がおりました。
ある日のこと、木陰で休んでいた
彼の閉じた目の中に
一匹の悪魔が現れました。
悪魔は「ケケケ」と笑いながら
人が行き交う大通りを
飛び回っていましたが、
飴売りの手かごの中へ
すっと入り込みました。
(ははぁ~ん…
菓子に紛れて誰かに取り憑く気だな。)
大きなお屋敷の女中が
菓子を買うのを眺めながら
占い師はしばらく様子を伺いました。
すると、程なくして
屋敷の中から
「きゃー!!お嬢さま!?」
「し…死んでいる!!」
「アイゴー!!」
という悲鳴が聞こえてきました。
嘆き悲しむ主人のもとへ
盲目の占い師がやってきました。
「ご令嬢の死に心当たりがあります。
先程召し上がられた菓子に
悪魔が入っていたのです。
その悪魔を退治すれば
ご令嬢は生き返るでしょう。」
見るからにうさんくさい、と
屋敷の主人は思いましたが
娘が生き返るなら
わらにもすがる思いでした。
「ではあなたはその悪魔を
退治できると言うのかね?!」
占い師は言いました。
「はい。ですがそれには
私の全力を尽くさねばなりません。
そして、術をかける間、
何があろうと決して部屋の中を
のぞいてはなりません。
部屋のすき間というすき間を
全て塞いでくだされ。
さもなくば…全てがムダになります。
約束するならば
お助けいたしましょう。」
主人は二つ返事で
すぐに召使いたちに
部屋の準備をさせました。
すき間を全て塞いだ部屋の中に
娘の亡きがらと
二人だけになったのを確認し、
占い師は静かに呪文を
唱え始めました。
すると…
「うぅ…くっ、くるしい…」
強烈な呪文に耐えられなくなり
娘の身体の中から悪魔が
出てきました。
「おのれ…やられてたまるか!
これでもくらえっ!!」
悪魔が腕を振りおろすと
部屋の中に波が押し寄せ
占い師に襲いかかりました。
しかし占い師は顔色一つ変えず、
呪文を続けます。
慌てた悪魔は
「な、なに?!
ではこれでどうだー!!」
と腕を振り上げると
部屋の中は火の海となりました。
しかし占い師の呪文は止まりません。
悪魔は狂ったように
のたうち叫びました。
「ギェェエエエエ!!!
やめろーーー!!!」
部屋の外で待っていた主人や
屋敷のもの達はびっくり仰天。
激しい水の音が聞こえたと思ったら
今度は勢いよく燃えさかる炎の音と
こげ臭いにおい…
そして世にも恐ろしい
断末魔の叫び声…
(あぁ…
お嬢さまは本当に大丈夫なの?!
もう我慢できないわ!!)
その時、あろうことか
娘の乳母が不安に耐えかねて
障子にのぞき穴を
あけてしまいました。
「何?!」
「しめた!!」
悪魔はこの好機を逃すはずもなく、
のぞいた乳母の片目をつぶして
虚空へと逃げてゆきました。
しばらくして、
娘は息を吹き返しました。
主人の喜びは言葉では
言いつくせない程でした。
山ほど金を出し
厚く礼を述べましたが、
占い師は受け取りませんでした。
「お礼などいりません。
私は悪魔の息の根を
止めることができませんでした。
私の命は長くないでしょう。
やつは必ずこの仇討ちに
やってくるに違いありませんから…」
そう言い残して
占い師は去っていきました。
こうして、死人を生き返らせた
盲目の占い師のうわさは
たちまち国中に広がり、
ついには王の耳にも入りました。
「おもしろいな。
本当にうわさ通りなら
宮廷に仕えさせてみたいものだ。
その男をここへ招き
彼の実力を試すとしようではないか。」
その様子を
窓からじっと見つめる
黒いカラスが一羽…
目をきらりと光らせたと思うと
音もなく飛び去さってゆきました。
…はい!今日はここまで!
(ちょっと長すぎるので
)
続きはまた明日~
お楽しみに~
8月号のお話は「悪魔の仇討ち」

昔むかし、朝鮮の都に
一人の盲目の占い師がおりました。
ある日のこと、木陰で休んでいた
彼の閉じた目の中に
一匹の悪魔が現れました。
悪魔は「ケケケ」と笑いながら
人が行き交う大通りを
飛び回っていましたが、
飴売りの手かごの中へ
すっと入り込みました。
(ははぁ~ん…
菓子に紛れて誰かに取り憑く気だな。)
大きなお屋敷の女中が
菓子を買うのを眺めながら
占い師はしばらく様子を伺いました。
すると、程なくして
屋敷の中から
「きゃー!!お嬢さま!?」
「し…死んでいる!!」
「アイゴー!!」
という悲鳴が聞こえてきました。
嘆き悲しむ主人のもとへ
盲目の占い師がやってきました。
「ご令嬢の死に心当たりがあります。
先程召し上がられた菓子に
悪魔が入っていたのです。
その悪魔を退治すれば
ご令嬢は生き返るでしょう。」
見るからにうさんくさい、と
屋敷の主人は思いましたが
娘が生き返るなら
わらにもすがる思いでした。
「ではあなたはその悪魔を
退治できると言うのかね?!」
占い師は言いました。
「はい。ですがそれには
私の全力を尽くさねばなりません。
そして、術をかける間、
何があろうと決して部屋の中を
のぞいてはなりません。
部屋のすき間というすき間を
全て塞いでくだされ。
さもなくば…全てがムダになります。
約束するならば
お助けいたしましょう。」
主人は二つ返事で
すぐに召使いたちに
部屋の準備をさせました。
すき間を全て塞いだ部屋の中に
娘の亡きがらと
二人だけになったのを確認し、
占い師は静かに呪文を
唱え始めました。
すると…
「うぅ…くっ、くるしい…」
強烈な呪文に耐えられなくなり
娘の身体の中から悪魔が
出てきました。
「おのれ…やられてたまるか!
これでもくらえっ!!」
悪魔が腕を振りおろすと
部屋の中に波が押し寄せ
占い師に襲いかかりました。
しかし占い師は顔色一つ変えず、
呪文を続けます。
慌てた悪魔は
「な、なに?!
ではこれでどうだー!!」
と腕を振り上げると
部屋の中は火の海となりました。
しかし占い師の呪文は止まりません。
悪魔は狂ったように
のたうち叫びました。
「ギェェエエエエ!!!
やめろーーー!!!」
部屋の外で待っていた主人や
屋敷のもの達はびっくり仰天。
激しい水の音が聞こえたと思ったら
今度は勢いよく燃えさかる炎の音と
こげ臭いにおい…
そして世にも恐ろしい
断末魔の叫び声…
(あぁ…
お嬢さまは本当に大丈夫なの?!
もう我慢できないわ!!)
その時、あろうことか
娘の乳母が不安に耐えかねて
障子にのぞき穴を
あけてしまいました。
「何?!」
「しめた!!」
悪魔はこの好機を逃すはずもなく、
のぞいた乳母の片目をつぶして
虚空へと逃げてゆきました。
しばらくして、
娘は息を吹き返しました。
主人の喜びは言葉では
言いつくせない程でした。
山ほど金を出し
厚く礼を述べましたが、
占い師は受け取りませんでした。
「お礼などいりません。
私は悪魔の息の根を
止めることができませんでした。
私の命は長くないでしょう。
やつは必ずこの仇討ちに
やってくるに違いありませんから…」
そう言い残して
占い師は去っていきました。
こうして、死人を生き返らせた
盲目の占い師のうわさは
たちまち国中に広がり、
ついには王の耳にも入りました。
「おもしろいな。
本当にうわさ通りなら
宮廷に仕えさせてみたいものだ。
その男をここへ招き
彼の実力を試すとしようではないか。」
その様子を
窓からじっと見つめる
黒いカラスが一羽…
目をきらりと光らせたと思うと
音もなく飛び去さってゆきました。
…はい!今日はここまで!

(ちょっと長すぎるので

続きはまた明日~

お楽しみに~
