真山仁さんの小説です。

 

緻密で洞察力の鋭い小説を書いているイメージだったのですが、この小説はそこまで緻密という感じではなかったです。

 

日本がデフォルトに陥ることを防ぐために歳出削減をするためのプロジェクトチームを立ち上げる。

 

小説では、円安と株価暴落が同時に起きるとなっていましたが、最近の株価を見てみると、円安は輸出企業の多い日本にとって大きな利益をもたらし、日経平均4万円を超える状況となりました。なので今の現状を見ると、違和感を感じます。

 

財務省を舞台にした小説で検索したら、この本に辿り着いたのですが、財務省の緻密な洞察が小説内にでてくるという訳でもなく、その点でも期待を裏切られました。

 

ただ、小説を読んで日本の歳出と歳入を示した円グラフを見直し、こういう風に財政が構成されているのかと感じるいい機会になりました。

 

また財務省は、日本の借金が何兆円になったという情報をよく出しますが、これについても個人的に疑問を持っています。

 

通常、企業の決算書などには、貸借対照表と損益計算書とキャッシュフロー計算書などが開示されていますが、企業の資産状況を見るときに、負債だけ見るということはないにも関わらず、いつも負債だけをクローズアップしています。この情報だけに左右されて国の財政を考えるのはどうかと思います。日本は対外純資産も400兆くらいあるので、単純に債務の額だけみるのはどうなのでしょう。偏った情報だけでなく、有価証券報告書のようなものを見て、冷静に判断してみたいです。

 

ちょうど令和7年度予算の概算請求というのが行われていて、来年の通常国会で予算案が成立するのでしょう。

 

興味を持ったので、いつもは財政のニュースはあまり気にしていないのですが、今年からは気にして見てみようと思います。

 

国の財政について、堅苦しくない小説のような物を読みながら学びたいところですが、他には検索してもでてこないのが残念です。