清水一行さんの著書です。

 

裏社会と表社会の間を描いている作品が多い清水さんですが、これもその一つ。

 

新株予約権を発行し、引受先から役員が送り込まれ、会社に影響を与えていく。

 

その役員がパワハラや横領三昧で、会社が蝕まれていく。

 

業績の良かったころには、冷静に判断していても、追い込まれると、適格な判断能力がなくなり、新株予約権付転換社債を評判の悪い証券会社を主幹事にして発行してしまう。

 

時々上場会社を見ていると、業績の悪化から新株予約権を発行し、かつての幹部の意に反する経営が行われ、いわくつきのビジネスを展開しようとする動きがする。

 

いくつかそういう会社をこの時代にも見ています。

 

行き着くところは特別背任で逮捕者がでてくる。

 

なんだかありますね。

 

今回の主人公は、乗っ取れる側の社員が、会社の危機に直面し、巻き込まれていく。

 

なんだか閉塞感のある物語ですが、これも一つの物語としてあるんだなと思います。

 

上場会社と言っても、グロース市場などは条件はプライム市場よりから厳しくないでしょうから、上場後に業績が悪化し、循環取引や特別背任や粉飾決算などに落ちいるところもあるでしょう。

 

そういう会社への投資は避けたいと思います。

 

上場企業だからと言って、順風満帆な会社ばかりではないということも理解しておくべきなのだと感じさせてくれる小説でした。