メソッド <메소드> | 韓国映画ひくほどLOVE ~時々ぴょんて

<LOVE・LGBT>

  監督:パン・ウンジン

  出演:パク・ソンウン、オ・スンフン

 

 

なかなか良い作品でございます。

 

舞台で共演する事になったベテラン俳優と新人俳優が、現実でも惹かれ合ってしまうという内容なのですが。

LGBTがどうのと言うよりも、実際のベテラン俳優であるソンウンさんと、新人俳優のスンフンさんとの間の溝と緊張感がリアルに伝わって。スタートから妙なドキドキ感があるのがチョアでした。

そのドキドキが徐々に、惹かれ合う二人のドキドキに変わっていく流れが、とても心地良かったんだよね。

 

ソンウンさんがスンフンさんに詰め寄るシーンがあるんだけど。

舞台なんてやりたくなくて腐りまくってるアイドルちゃんなのに、随分早い段階で静かに涙を流すの。

少し違和感があったんだけど。。。撮影を開始したばかりで緊張したスンフンさんが、(台本には無いのに)涙を流してしまったと知り納得。それをNGにせずに使ったって事ですね。

アクシデントではあるけれど、その涙で一気に新人俳優の固い心がほどける感じで。それによって、短期間で相手役俳優に惹かれていく現実味が増したかも。

 

個人的に、男女&男男の三角関係、つまり男の浮気相手が男の場合、見ている方の感情が大分違っちゃう気がするんだわ。

まぁ、奥さん(や彼女)の立場からしたら、「浮気された」事実に変わりはなく。しかも相手が男だったら、逆にショックが大きいのかも知れないけれど。

外野からするとなんだか、「切なさ」みたいなものを感じて。単なる浮気より感情移入してしまうところがあるんだよね。

 

元々ゲイなのに、それを隠して異性と付き合ってきたのか。ゲイではないのに、たまたま同性であるその人に惹かれてしまったのか。。。どちらの場合もあるでしょうが。

どちらにしても、ずっと植え付けられてきた価値観を越えてまで、一人の人間に心を持っていかれてしまうんだから。例えそれが短い期間であったとしても、かなり激しい感情だと思うのよ。

 

私も、アメリカに住んでいた20代の頃、女性にキスをしたいと思った瞬間があって。実際にしても大丈夫な場面だったのにしなかったのはやはり、心底染み付いた「タブー感」だった気がする。

それが単なる肉体的欲求だったのか、心惹かれる前兆だったのかは、もはや分からないけれど。


クラスメイトや先生さえも、ゲイであると公言していた環境の私がそうなんだから。

保守的な国や地域で生まれ育った人間なら尚更。越えるべき壁はかなり厚くて高いはず。

 

男女でも同性同士でも組み合わせはともかく。純愛や激愛や気の迷いや永遠の愛や・・・色んな感情があって。

私達が勝手に引いたラインや常識で固められている壁の中で穏やかに過ごすのも、その壁を越えて自分なりの人生を進むのも、どちらも個人の自由であるべきだけど。。。結局、どちらも自信満々とはいかないものよね。

 

突き進んでも引き下がっても、泣いたり後悔したり。。。人生ままならぬ、ね。

それは映画も現実も、似たようなものかも知れません。