<ヒューマン>
監督:ポン・ジュノ
出演:アン・ソヒョン、ピョン・ヒボン
『豚がいた教室』ってあったでしょ。ちょっとあんな感じのモヤモヤ感。
あちらは実話という事で。その教育方法に賛否両論ございましたが。
私は否定派です。正直。世の中で知らなくて良い事もたくさんあるのよ。直視しないで、グレーゾーンのまま一生いけるなら、その方が幸せな事もたくさんあるのよと。常に思っているので。
何でも突き詰めれば良いと言うものでもないでしょ。
好奇心旺盛、なんでも知りたがりの私が言うんだから、間違いないわ。
特に、純粋な心に裏側を見せるのは慎重にしないと。
現実を受け止めるには、見て見ぬフリが出来る小ズルさと、途中で考えるのを止めるテキトーさが必要なので。
大体、なんでもかんでも直視してたら、直ぐに精神がおかしくなるじゃん。この世の中。汚い事も矛盾も、そこら中にゴロゴロ転がってるんだから。
作品中でも、動物愛護運動家の人が何も食べずにフラフラになってた。。。だよね。突き詰めたらそうならざるを得なくなっちゃう。だから逆に、その辺はグレーゾーンにしときたい訳で。
命の大切さは勿論、食の安全だの流通だのに意識を向ける事は必要でしょうけど。なんだか、この作品は自分の偽善的な部分を見せつけられているようで。実に気持ちが悪いです。
私、肉食べるよ。けど、自分で解体しないし。スーパーで買った塊を焼くだけだから。どんな動物を食べているのか、知っていながらも直視しないようにしているところ、あると思うのよ。
答えの出ない疑問があるでしょ?
どうして食べて良い動物と悪い動物があるの?誰が決めるの?って。
いつの間にか、自分なりのラインも出来ていたりして。。。個人的には、豚牛鶏は食べるけど、馬羊クジラは食べないとか。(一部地域で食べている)イルカとか、どうかしてるねと。本気で思っちゃうし。
それはでも、自分勝手なラインだから。他人の食を批判しようなどとは一切思っていませんが。
豚を食べるの、どうかしてる。って言う国の人もいる訳だしさ。
作品中では一応、遺伝子組み換えとか絡めて薄めてはいるけど。オクジャはダメだけど普通の豚なら良いの?とか。オクジャは友達だけど、他の同種の子達は?とか。運動家の人達の行動もそうだし。
ひたすら矛盾と葛藤に溢れているんですよ。
ニューヨークに住んでる時、ちょうどミニブタブームがあってさ。
お洒落なお姉さん達がみんなミニブタ連れてセントラルパークを歩いてたのよ。
みんなベジタリアンかね?とか思って見てたけど。
まぁ、可愛がるなら何をペットにしたって良いのでしょうが。
3ヶ月程でいなくなりまして。次はみんなプードル連れて。。。ってちょっ、ちょっと待てよ。ミニブタどこいった?って話ですよ。
彼らにしたら、ただのファッション。靴を変えるみたいにペットを変えちゃうんだわ。
そんな人達だから、食に対する葛藤なんて、1ミリも感じ無いのかも知れませんね。
動物愛護も、ブームっぽくなった時があったな。
毛皮着た人達に卵ぶつけてるのも良く見ました。「恥を知れ!」と騒いでいる人達が何を食べてるのか、知りませんけど。
かくいう私も肉を食べるくせに、「毛皮は必要ない。フェイクにしとけ」と思っちゃう派です。それもまた、矛盾ですよね。
アザラシだかを守る為、白熊をバンバン撃ってるのも見た事あるし。
もうグチャグチャだ。人間のやる事って。
そんな訳で。
あれこれと思い出したり。色々、食の事を考えだしては否定したり。これを見た後は暫く気持ち悪かったんですよ。えぇ。
いつもながら、子役ちゃんは素晴らしい演技だったし。
ジェイク・ギレンホールさんなんて、『オレの獲物はビンラディン』のニコラス・ケイジさん並みの役作りで。凄いのに。
そんな事よりも、このモヤモヤ感をなんとかしてくれよ~!と。叫びたくなっちゃうんだから。
この手の作品って言うのはほんと、困ったもんなんだわ。
結果。
映画を楽しむ、というには程遠い気分で観終わりました。
穏やかに日々を過ごすなら、直視しない方が良い矛盾と偽善が山ほど詰まった作品だと言う事だけは、ハッキリと言っておきますわ。