<スリラー>
監督:ホン・ウォンチャン
出演:ぺ・ソンウ、コ・アソン
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20180729/09/kmov/03/b1/j/o0810108014237561124.jpg?caw=800)
怖いよ。怖いんだよ。
一番怖かったのはね。
オフィスのみんなが恐ろしい目に合う訳なんですが。そこじゃなくて。
いつもなら、復讐系ストーリーを見ている時、どうしても心の中で「やっちゃえ!」的な、悪魔が囁くのですよ。主人公に感情移入していて、応援しちゃうと言うか。
でもね。
今回は、「そんな目に合う程か?」と思ってしまったんですよ。
だって。
不条理な上司とか、意地悪な先輩とか。普通にいたもん。
特に私は派遣社員として生きてきたので。いくつかのオフィスで、色んな人達を見て来た、と言うのもあるけれど。
あの程度の人間をいちいち成敗していたら、オフィスには誰もいなくなっちゃうわよと。そう思ったのが一番怖いとこだったわ。
ほんと、なんと恐ろしい世界で、長い時間を過ごして来たことか。
コ・アソンさん演じる女性が、「あなたは真面目過ぎて要領が悪い。もっと流れに身をまかせるべき」なんて。したり顔の先輩に言われてしまうんだけど。
結局、要領の良い奴の勝ち。大概の場合はね。悲しいかな、それは事実かと。
ほんと。
オフィスって。集団活動って。そういうとこあるんだよね。
流されている奴が。上手く立ち回れる奴が。生き残っていって。
真面目過ぎて人付き合いがヘタだったり。不正やズルを許せずに立ち向かったり。そんなタイプの人達は、「付き合いにくい」とか「輪を乱す」と。疎まれ、排除されてしまう。
私も要領の良い方ではないのだけれど。人が好きなので。必ずどんな場所でも「味方」が出来る。
1人でも2人でも味方ががいれば。頑張れるので。何があっても。潰れないで済むので。
今までそれなりに楽しくやってこれたのかなと。思います。
主人公は2人は、共に流れに乗れない。味方も出来ない。それでも一生懸命頑張って。真面目に生きて。。。けれど認められず。それでも頑張って。。。でもダメで。ついに、極限まで追い詰められていく。
恐ろしいですね。
あり得るなぁと思って。この映画みたいにはならないまでも。辞職とか。病気になっちゃうとか。実際に起こっている事だもんね。
普通の人・・・いえ、普通より頑張ってる真面目な人が、オフィスという集団の中で徐々に追い込まれ壊れていく様子を、ホラーテイストでしっかりと見せてくれる。
色んな意味で恐ろしい作品なのですわ。
たくさん直接的に「怖い」とこはあるのだけれど。
コーヒー入れてる場面とか。「怖い」のよ。撮り方と効果音でしょうか。
そういう、細かい「怖い」挿入が、一番良かったかな。
あと。
ソンウンさんはやっぱり刑事より、サイコパスの方がいいなぁ(by 『鬼はさまよう』)。