立春が終わり、二十四節気の雨水に入る。このところ立春に入り、東京で発氷が観測され、また暖かくなり四月中旬の気候になり、また再び寒気に襲われる。新型コロナウイルスの問題などで、人気の多いところに行く事は避けている。免疫抑制剤を使用している私にとっては脅威の事であるが、従来通りマスクとうがい、そして手を洗う事が最大の自分にできる予防法である。手を洗う際に出来れば衣服を袖口まで上げ、ハンディーソープで洗う事が大切になる。眼鏡や帽子も有効だが、あまり神経質にならず、自分のできる事を確実に行うことが大切だと思う。
この二十四節気を記載させていただき、季節の移り変わりを楽しんで頂きたいが、この状況では、なかなか難しい。特にこの雨水という時期が毎年微妙に季節感を不明瞭にする。旧暦の為、ほぼ一月後を指す。三月に菜種梅雨や冷たい雨が降り続くことがあり、その季節を表しているのだろう。雨水とは降る雪が雨へと変わり、氷が溶けだす頃を言い、農作業を始める目安とされ、五穀豊穣を祈る儀式は春分の間に初午祭、祈年祭が行われる。
雨水の初候は土脈潤い起こる(どみゃくうるおいおこる)で二月十九日から二十三日である。早春の暖かな雨が降り注ぎ、大地が潤い目覚める頃の事を言う。以前に記載させて頂いたように二十四節気は中国から伝来し暦で、獺(かわうそ)を祀る季節ともされている。雨水の初候は獺祭魚あったと言われ、獺はこの時期に魚を捕えるものの、魚を岸に並べ、なかなか食べようとしない。先祖の祭りごとをしているようで、捕らえた魚を供え物の様にみえたことから伝えられた。
次候は霞初めて靆くで(かすみはじめてたなびき)で二月二十四日から二十八日で春霞がたなびき、山野の情景に趣が加わる頃を指す。鎌倉からの富士山も晴れの日でも、かすみがかってくる。関西では奈良の若草山、京都の大原では野焼きが行われ、京と北野神社では菜種御供(なたねごく)が行われたが、現在は梅花祭で親しまれている。
末候は草木もえ動く(くさきもえうごく)で二月三十一日から三月五日である。次第に和らいでくる陽光の下で草木が芽吹きする頃である。まだ私が三十代後半の時、京都の料亭で頂いた、潮汁に蛤と菜花(なばな)が入れられ、格別美味しかったことを思い出す。
旬の魚は飛び魚、白魚、蛤(はまぐり)。旬の野菜は春キャベツ、辛子菜、菜花である。
三月に入ると鎌倉の寺社の行事も少なくなる。ゆっくりと落ち着いて季節を感じたいものだが、先日、鎌倉の若宮大路の西側を歩いていると、二三の本桜の木が咲いていた。やっと梅が咲き始め、趣を感じ始めた頃、桜がと言うと少し興ざめしてしまう。これも異常気象のせいなのだろうか、と思いしや月に一度行く病院の看護婦さんに教えて頂いた。ソメイヨシノの早咲きのさくらを大船フラワー園で育て、玉縄桜と呼ぶそうだ。今が満開らしい。