貧しい父子家庭の子は,駄菓子屋の(強欲)ばあさんが売っている一文笛が買えない。スリのはやぶさの七は一文笛を盗んでその子供の懐に入れてやる。このことを兄貴分に話すと,その後どうなったか聞かされる。「子供は何も知らずその笛を吹いていると,ばあさんに『盗んだ』と言われて父親に引っ立てられる。武士の父は許さない。子供は井戸に身を投げる。何とか助け上げられるが,意識が戻らない。強欲な医者は『治すには高い薬が必要。出せないだろう』と見放された」という話だ。七は反省して,「もうスリはしない」と右手の指を落としてしまう。その後,七は医者から財布をすって来て,兄貴分に「薬代として渡してほしい」と渡す。「お前,指を切ったのによくすれたな」と言うと,「俺,ぎっちょだ」と言うのがオチ。

 この噺はこれまで録音で聴いたことがありますが,今回はビデオで観ました。落語は音だけでも楽しめますが,しぐさにも重要な部分があるのだと感じました。指を落とした後,包帯代わりに手拭いをうまく使っていました。