大家(たいけ)の若旦那の具合が悪い。親には理由を言わない。番頭に聞き出してもらうと,「みかんが食べたい」と思い悩んでいたことが分かる。番頭は「それならすぐにみかんを持ってくる」と答えるが,夏の季節には手に入らないことが分かる。番頭は,主人に「みかんを見つけてこなければ,息子は死ぬ。息子が死んだら死罪にしてやる。」と言われ一生懸命で探し回る。みかん屋の蔵の中から腐っていないものが1つだけ見つかる。みかん屋は,「こういう時のためにたくさん保管している。そうすれば1つくらい残るだろうから。だから千両。」と言う。主人は「息子のためなら安い」と言い,みかんを手に入れる。それで若旦那は元気になる。若旦那は,みかんの10個の房のうち3個を「両親と,番頭に1房ずつあげる」と,番頭に手渡す。番頭は,「それを持ち逃げすれば300両」と思い,持ち逃げしてしまう。落語のオチは,「持ち逃げしても金にはならないのに」と思わせる所にあると思います。

 日本の昔話では,何故か,番頭が若旦那にみかんを渡すところから始まりました。どうなっているかと思ったら,その後で「今朝のこと」として,若旦那がみかんが食べたくて病気になったことや,番頭がみかんを探し回る場面がでてきました。最近のテレビドラマでも,「××日前」の様に時間をさかのぼる手法が良く使われます。私はこんがらかるので,こういう話の進め方は苦手です。

 ちなみに,落語では上方の豪商,“こうのいけ”がよく出ます。このアニメの店の看板は“いけこうの”になっていました。ちょっとひねったのでしょう。