密度測定  | 技術日誌

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ここでは,電子工作,木工などの趣味での記録を書いています。
なお当初はKMK研究所のメインテーマであるSPSのノウハウを書いてきましたが,順次SPSノウハウのページに複製を作っていきます。

 SPSで焼結した試料の密度は研究者にとって一番興味のあるものです。一般に密度はアルキメデス法により測定されます。浮力は試料の体積と同じ体積の媒体の重量に等しいことから,試料の浮力を測定すれば密度が求められます。
 私が作成したYoutube記事(下記)では,小さな恵比寿大黒の像が金か塗装したものか調べています。
https://www.youtube.com/watch?v=9iv_qEp_ap8

 

 

ここでは,試料皿を懸垂してある形の天秤を用いました。試料皿を吊す部分から線を垂らして,水中に試料を載せる部分を作りました。
 しかし,最近の電子天秤の多くは皿形であり,線を吊すことができません。そこで,皿形の電子天秤で水中重量を量るための工夫をしました。ここで紹介させていただきます。

 先ず,細いスズメッキ(銅)線を下の写真の様に加工します。スズメッキ線を長方形に折り,始点と終点を半田付けしました。もう一つスズメッキ線を長方形に折ります。この時,一辺は一部欠損している形になります。その両端点を最初の長方形のスズメッキ線の長い方の辺の中点に半田付けします。


 これを電子天秤の上に載せます。


 次に木材など(木材でなければならないことはありません)で橋をかけます。橋の部分は天秤とスズメッキ線から浮いている必要があります。


 橋の上に水を入れた容器を載せます。


 スズメッキ線をらせん状に巻き試料が載る様にします。外側の端は上側で引っかけられる様にフック状に曲げます。


 らせん状の試料載せを吊す部分をつくります。水面を横切るところでは表面張力が働きます。吊している線と水との表面張力は濡れ方により変動します。それは誤差の要因となります。表面張力の影響を小さくするには水面を横切る部分の線はできる限り細くします。ここでは髪の毛を用いました。その他の部分はフック状に加工する必要があるため,スズメッキ線を用いました。髪の毛とスズメッキ線とは接着剤で付けました。


 吊す部分の下方のフックを試料載せのフックに引っかけ,上方を,最初に天秤皿に載せたスズメッキ線部品の上部の水平な部分に引っかけます。


 この状態で風袋除去ボタンを押して,0 gに設定します。次に,試料を試料載せに載せて重量を測定します。別に試料の空気中の重量を量っておけば,その差から浮力(厳密には重量差〔g〕)が求められます。媒体が水の場合,浮力は体積〔mL〕となります。厳密には浮力をその温度での水の密度〔g/mL〕で割って体積を求めます。空気中の試料の重量〔g〕を体積〔mL〕で割れば密度〔g/mL〕が求まります。