この放射温度計は汎用のもので,手に持って測定するときのために電池でも動作します。電池での動作の際,切り忘れても電池を使い切らないように一定時間何の操作もないと自動的にOFFになる機能があります。SPSの温度測定では先に述べましたように,電源アダプタを通して電気を供給しています。その場合は自動OFFの機能は不要ですが,この温調器は,それでも自動OFF機能が働いてしまいます。自動OFFの機能を止めるには,放射温度計をONにするとき,MEASUREのボタンを押しながらON/OFFスイッチを押して行います。
あるとき,上記のようにしながら放射温度計をONにしたにも関わらず自動OFF機能が働いてしまいました。これは大変好ましくないことです。例えば1000℃でコントロールされているところで自動OFF機能が働くと,温調器は6百なにがしの温度になったと判断します(不感領域では570℃くらいですが,OFFのときは600℃ちょっとの温度と検知されます)。すると温調器は「温度が低すぎる」と判断して大電流を流させます。これは装置に悪影響を及ぼします。
最初は「放射温度計をONにする際,MEASUREボタンを押しながらするのを忘れた」のかと思いました。しかし,何度か同じことが起こりました。原因はMEASUREボタンの接触不良でした。強く押すと大丈夫のようでした。温調器も古くなってくるとこのようなトラブルも起こすことを記しておきたいと思います。