K熱電対(クロメルアルメル)の代わりにR熱電対(白金ロジウム13%)に替えると1000℃以上の制御に用いることができます。K熱電対の場合,使用温度が低いので,フレキシビリティーのある金属のシース(さや)が付いた形で使え,細いOリングを通して外部からチャンバー内に引き入れることができます。R熱電対はフレキシビリティーのあるシースがないので,そのようにはできません。そのため,別のゲージポートなどの穴にハーメチックシールを付けて,そこから測定点まで熱電対を引くことになります。また,K熱電対用の補償導線(青の被覆)は使えません。R熱電対用の補償導線は黒い被覆ですので,別に用意する必要があります。
保護管を付けたR熱電対の先が露出している場合は,グラファイトダイの温測用の穴に差し込んではいけません。高温で白金と炭素が反応してしまいます。
このR熱電対は別の使い方ができます。放射温度計での制御の際,下の写真のように熱電対の先端をダイの近くにセットしておきます(もちろん,白金とグラファイトが接触しないようにしましょう)。放射温度計の場合,SPS終了後,冷却する際600℃以下になると温度がわかりません。こんなとき,温調器の入力設定をR熱電対に切り替えると,ダイの近くにセットしたR熱電対の温度を見ることができ,真空を解除してチャンバーを開くタイミングを知るのに便利です。