「私と戦争」についての訂正原稿324 | kmhamのブログ

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資本主義的生産様式の現状と資本論を中心にブログに掲載します。
また、ウオーキングの歩数の記録を継続して掲載します。

2024/03/24
宮崎さんから「私と戦争」というテーマで原稿の依頼を受けたのは、尾西9条の会の例会
(3.10)で、DVD鑑賞「きけわだつみの声」を見た後でした。
その時、私は、戦争体験などない戦後生まれ(S21年)なので、お断りしようかと思った
のですが、考え直して引き受ける事にしました。DVDの「きけわだつみの声」が「日本
戦没学生の手記」などを基にして映画化されたものであり、私の戦争体験といえば、同じ
”学生時代”の「ベトナム反戦」であったからです。
新版「きけわだつみのこえ」(岩波文庫)には、74人の戦没者の手記が掲載されている。
岩波文庫旧版あとがきで、中村克郎氏は小田切秀雄さんの解説を引用して次のように述べ
ている。「日本軍隊とその侵略戦争という『死の家』に投げ込まれて、やりばのない苦悩
で傷ついている若い魂とその破壊された生活とがなまなましく裸身をさらしている」・・・
個人であれ、国家であれ、暴力、武器によって古来平和が保たれたためしがあるか。癌と
軍隊は似ていて、癌は人間の個体を滅ぼし、軍隊は人類を滅ぼす。これは真理である。
不信は不信をよびおこし、暴力は暴力を生み、怨みは怨みを買い、核兵器を含めて一切の
軍備は相手を制圧しようとしてお互いにとどまるところを知らない。」(p493)と。
私は、特に日本の「戦争」を考えるとき、1945年を境にして「戦前・戦後」を区分する
事が重要だと考えています。日本は、明治維新(1868)から第二次世界大戦終結(1945)
までの77年間と戦後の77年間を比較してみれば分かるように、「戦前」では大日本帝国
憲法の下に、文字通り戦争に次ぐ戦争が行われており、「戦後」では日本国憲法の下に、
一度も戦争に出かけたことがないという鮮明な好対照を示しているからです。
いま、簡単な年表をみると、明治維新(1868)、西南戦争(1877)、大日本帝国憲法(1889)
日清戦争(1894~95)、日露戦争(1904~5)、韓国併合(1910)、第一次世界大戦

(1914~18)、ロシア革命(1917)、パリ講和会議(1919)、国際連盟(1920)、

関東大震災(23)、政党内閣成立(普通選挙法と治安維持法制定1925(28,41年に改悪))

、29年世界恐慌、31年9.18満州事変、32年満州国建国、5.15事件、33年国際連盟脱退、

36年2.26事件、37年日華事変、38年国家総動員法、39年8.23独ソ不可侵条約、9.1(~45)

第二次世界大戦、40年日独伊3国同盟、10.12大政翼賛会、41年4.13日ソ中立条約、12.8

太平洋戦争(~45)、42年6.5ミッドウエー海戦、43年10.21神宮外苑競技場で出陣学徒壮行

大会(10.2「在学徴集延期臨時特例」(徴収猶予停止)公布)、45年2.4ヤルタ会談、4.25

国際連合憲章成立、7.26ポツダム宣言、8.6広島原爆投下、8.9長崎原爆投下、8.14ポツダム

宣言受諾、8.15無条件降伏、9.2降伏文書調印。
(ここまでを戦前とし、これ以降を戦後として区分します。)
46年5.3極東国際軍事裁判、11.3日本国憲法公布、47年5.3新憲法施行、49年10.1中華
人民共和国成立、50年6.25朝鮮戦争、7.8警察予備隊創設、51年9.8サンフランシスコ

対日講和条約・日米安全保障条約調印・・・。
他方、国民主権と反戦平和の旗を掲げて闘った日本共産党(創立1922年)の岩田義道
や小林多喜二は、治安維持法によって弾圧され特別高等警察(特高)により虐殺された。
(岩田32年、小林33年)。京都大学では滝川事件(33年)、35年には美濃部達吉の天皇
機関説が政治問題化した。さらに39年には国民徴用令を公布し、文部省は大学の軍事教
練を必修化した。映画に出てくる与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」という反戦詩
の授業中に、校庭では竹槍訓練が行われるというシーンには、強烈な違和感を覚えた次第
です。 時代は降って、・・・主に安倍政権以降の政治状況を振り返ってみます。
第一次安倍政権(2006~07)以降の政権与党の動きをみると、日米安保条約を日本国憲
法の上に置く無責任で国家主義的な軍事優先の政治状況の相似形に驚かされます。
こちらも年表形式で追ってみます。
第一次安倍政権下では、2006年教育基本法改正、防衛庁・省昇格法、2007年国民投票法
教育改革関連3法、国家公務員法改正など。第二次安倍政権(2012.12.26~2020.9.16)
では、「政治(官邸)主導」が強化され、「戦争と格差・貧困を生みだす資本主義」を
顕在化させたと言っても過言ではない。アベノミクスによる貧困と格差拡大、消費税
増税による大衆収奪強化、非正規雇用拡大による格差拡大と社会保障費削減、それらに
伴う少子高齢化の進展、気候危機、原発事故と再稼働による地球汚染、などが顕在化する

一方、日本を戦争する国へと誤らせる改憲策動と国民の暮らしを破壊する軍事費増大等、

そして最近の自民党パーティー券を巡る裏金問題などは、自民党政治ではもはや外交・

統治能力が無くなっている現実を直視しなければなりません。
ここでは、主に戦争に関わる自民党政権の動きを見ていきます。
2013年秘密保護法、2015年集団的自衛権行使容認の戦争法、2016年盗聴法拡大、2017年
共謀罪法成立、これは戦争法と一体となって市民監視を行うもので、現代版治安維持法と
も言われています。さらに、土地利用規制法は、軍事的安全保障の観点から国民の私権を
制限しようとするもので違憲立法とされています(2021年成立)。
安倍政権以降の自民党政権は、日本国憲法特に戦争放棄を明記した九条を変えて戦争でき
る国家にし、併せて緊急事態条項を導入して人権制約を強化しようとしています。
自民党の「日本国憲法改正草案」は、政府の行為によって再び戦争の惨禍を繰り返さない
と決意し、人権尊重と民主主義の理念を唱い、これを「人類普遍の原理」と明記した日本
国憲法を根底から否定し、戦前の体制に歴史を逆流させ日本を再び戦争する国に変えよう
としていることは明白です。安倍政権以降の管(2020.9~21.10)、岸田政権(2021.10~)
の政策は安倍政権の継承であることも明らかです。ちなみに、管政権は日本学術会議への
政治介入を行い、自民党政府は学術会議の委員6人の任命拒否を継続しています。岸田政
権は、安保3文書の閣議決定(2022.12.16)で、5年間で43兆円もの敵基地攻撃能力を
持つ大軍拡を推進しています。また、沖縄県の総意に反した辺野古の米軍基地建設の続行
や南西諸島の軍事基地化が既に強行されています。私たちは、戦前の侵略戦争の反省の上
に立って出来た日本国憲法を守り生かす事で、戦争に突き進む自民党政治を一刻も早く終
わらせなければならないと深く自覚する次第です。また、ロシアによるウクライナ侵攻は
既に2年経過しており、昨年10月に始まったイスラエルのガザ攻撃は今でも続いています。

それは、パレスチナ人の大虐殺(ジェノサイド)ともいえる惨劇を呈しています。
我々は、世界の人々と一緒に、”国連憲章を守れ”の一点で、こうした戦争の惨禍を止め
なければならないと思います。決して我々の21世紀に、”学徒出陣”など世界に再現させ
てはなりません。21世紀にはマルクスが資本論で言うように、資本主義的生産関係に代
わる「より高度な経済的社会的構成」を創出しなければならないと思います。マルクスは
資本論で次のように述べています。「およそ権利をつくりだしたものは(資本主義的)生
産関係である。この生産関係が或る一点に達して脱皮せざるをえなくなれば、権利とそれ
に基づくいっさいの取引との物質的な源泉、その経済的歴史的に正当化された源泉、その
社会的な生命生産の過程から発する源泉は、なくなってしまう。より高度な経済的社会的
構成の立場から見れば、地球に対する個々人の私有は、ちょうど他の人間に対するある人
間の私有のようにばかげたものとして現れるであろう。1つの社会全体でも、1つの国で
も、じつにすべての同時代の社会を一緒にしたものでさえも、土地の所有者ではないので
ある。それらはただ土地の占有者であり、土地の用益者であるだけであって、それらは、
よき家父として、土地を改良して次の世代に伝えなければならないのである。」と。
(資本論第3巻第6篇第46章国民文庫⑪P267)
また、わが日本国憲法前文では、「われらはいづれの国家も、自国のことのみに専念して
他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は普遍的なものであり、この法則
に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると
信ずる。」と述べています。ましてや他国を無視し侵略戦争を行うことなどは、この政治
道徳の法則を踏み破るものであり、戦前の日本と同様に、破滅(自滅)への道に繋がる蛮
行であると考える次第です。