(53)第6篇超過利潤の地代への転化 第39章、差額地代Ⅰの1 | kmhamのブログ

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『資本論』学習会レポート 『資本論』・第3巻・第6篇・超過利潤の地代への転化
第39章、差額地代の第一形態(差額地代Ⅰ)の1(⑪p64~
(資本論学習会 2014.3.19開催分)
・(前提)

超過利潤は、流通過程での偶然ではなく、正常に生み出される限り、常に2つの等量の資本及び労働の生産物の間の差額として生産されるのであって、この超過利潤は、2つの等量の資本及び労働が等面積の土地で用いられて不等な結果を生む場合には、地代に転化される。(⑪p64)
 
・超過利潤が生まれる仕組み(学習会資料)
            費用価格/平均利潤率/利潤/生産価格/超過利潤
蒸気機関の標準企業 100   15%     15   115    -
落流利用の特別企業  90   15%    13.5  103.5   11.5
 
※ここで、費用価格=(消費された)c+v   
生産価格=費用価格+平均利潤
利潤率=剰余価値/前貸総資本 = m/C = m/(c+V)
 
・生産物の不等を生み出す原因のうちには、一般的な原因(豊度と位置)だけではなく、次のような種々の原因がある。(1)租税賦課の均等性。(中央集権的か否か、又土地課税か地代課税かによる不均等作用)(2)地方によって農業の発展度の相違(製造工業に比べて水平化が行われにくい)(3)借地農業者間の資本配分の不等。(資本主義的生産様式による農業の占領、自営農民の賃金労働者への転化は、・・・これらの不等を他のどの産業部面でよりも大きくする。)(⑪p66)
・(リカード達とは違うマルクスの展開の特徴)(⑪p66)
・第一に、同じ面積のいろいろな土地に充用された等量の資本の不等な結果について
・不等な結果の、資本には関わりのない2つの一般的原因は、(1)土地の豊度と(2)土地の位置。この位置は、植民地の場合には決定的であり、又一般に、いろいろな土地が次々に耕作されて行く場合の順序にとって決定的である。さらに差額地代のこの2つの別々の原因である豊度と位置とが反対の方向に作用する事もありうるという事は明らかである。(⑪p67)
・最後に、社会的生産一般の進歩は、一方では、地方的諸市場をつくりだし、又交通運輸機関の建設によって位置をつくりだす事によって、差額地代の原因としての位置を平等にする方向に作用するとともに、他方では、一面から見れば農業を製造工業から分離する事や生産の大きな中心を形成する事により、他面から見れば農村を相対的に孤立化する事によって、いろいろな土地の地方的な位置の相違を甚だしくするという事である。(⑪p67)
(さしあたり、この位置という点は無視して、ただ自然的豊度だけを考察する)
・気候やその他の契機を別にすれば、自然的豊度の相違は、いろいろな地面の化学的組成の相違、即ち、それらに含まれる植物栄養成分の相違にある。しかし、2つの土地の自然的豊度が同じとしても、これらの栄養素が植物の栄養にとって直接に利用されやすい形になっているか否かによって、現実の有効な豊度は違っているであろう。(⑪p67)
・それ故、豊度は土地の客体的属性であるとはいえ、経済的には常に関係を、即ち、農業の与えられた化学的及び機械的発展状態に対する関係を含んでいるのであり、従ってこの発展状態につれて変化するのである。(同じ豊度の土地を実際にはより不生産的にしていた障害を、例えば排水や土壌改良や農耕方法の変更等により除去する事もできる。)
・土地の豊度に関するこれらの影響は全て結局次のような事になる。即ち、経済的豊度として見れば、労働の生産力の状態も、即ち、ここでは土地の自然的豊度をすぐに利用可能とする農業力-発展段階の相違により違ってくる能力-も、土地の化学的組成や自然的な属性と同様に、いわゆる土地の自然的豊度の1つの契機だという事である。(⑪p69)
・そこで我々は農業のある与えられた発展段階を前提する。更に、いろいろな土地種類の等級は、この発展段階に関連して評価されているという事を前提する。)(⑪p69)
「表1⑪p70」(単位:q=クオーター、s=シリング、p=ポンド) (「資本論体系7・地代・収入」p17)
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※4つの土地種類A,B,C,Dを想定。小麦1qの価格を3p(60s)とする。この1q当たり60sという価格は、最劣等地では、生産費、即ち、資本・プラス・平均利潤に等しい。Aは最劣等地であり50sの投下で1q=60sをあげるとする。
つまり、10s又は20%の利潤である。Bは同じ投下で2q=120sをあげるとする。これは70sの利潤又は60sの超過利潤(地代)となる。Cは3q=180sをあげる。総利潤=130s。超過利潤=120s。Dは4q=240s=180sの超過利潤をあげるとする。(表1参照)(⑪p70)
それぞれの地代は、Dでは190sマイナス10s(即ち、DとAとの利潤の差額)であり、以下同様。
B,C,Dの総地代は、6q=360sで、DとA、CとA、BとAの各差額の合計に等しい。(⑪p71)
・下降順序(DからAに豊度の高い土地から低い土地に耕作される順序)の場合は、1qの価格が例えば15sから
60sまで次第に上がって行くことだった。Dにより生産されていた4qでは足りなくなると、小麦価格は不足分がCによって供給されうる点まで上がった。小麦価格が1q当たり30sに上がった時にはBが、60sに上がった時にはAが、利潤率20%で耕作されうるようになった。(⑪p71)
・こうしてDについては、最初まず4qで20sの地代が形成され、次には4qで60s、又次には4qで180sの地代が形成されたのである。(⑪p72)第一の(下降順序)では、価格が高くなるにつれて地代は上がり利潤率は下がる事になるであろう。この低下は反対に作用する事情によって、阻止されることもありうる。忘れてならないのは、一般的利潤率は剰余価値によって全ての生産部面で一様に規定されているのではないという事である。農業利潤が工業利潤を規定するのではなく、その逆である。(⑪p73)
・今度は穀物の需要が最初の10qから17qに増えると仮定する。さらに最劣等地Aが別の土地Aにより押しのけられ、このA地は60sの生産費(50sの費用・プラス・20%で10sの利潤)で、4/3qを供給し、従ってその1q当たり生産価格は45sとする。あるいは又、古いA地が改良されたとか又は例えばクローバの採用等で、元のままの費用でより生産的に耕作されるようになったとかで、その生産物が元のままの資本前貸で4/3qに増加するとしよう。さらに土地種類B,C,Dは相変わらず同じ生産物を供給するが、AとBとの中間の豊度をもつ新たな土地種類A’と、さらにBとCとの中間の豊度をもつB’とB”とが耕作されるようになったと仮定しよう。(⑪p74)
・この場合には次のような現象が起きるであろう。(新しい順序の表Ⅱ参照)(⑪p75~p76)
(「資本論体系7・地代・収入」p21)
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第一に。小麦1qの生産価格は、60sから45sに、25%下がる。
第二に。豊度の高い土地から低い土地への進行と、その逆への進行とが同時に行われた。故に進行の順序は入り組んだものであろう。
第三に。Bでの地代は減少したであろう。(CやDの地代も同様)しかし、穀物で表した地代総額は6qから
(7+2/3)に増えた。耕作地が増し、生産物量も10qから17qに増したであろう。
・最後に土地種類A,B,C,Dだけが耕作されたが、それらの収益力が上がった場合。
(A:1q→2q、B:2q→4q、C:3q→7q、D:4q→10q)つまり同じ原因がそれぞれの土地種類に別々に作用したとすれば、総生産は10qから23qに上がったことになる。人口増加と価格低下の為に需要がこの23qを吸収したと仮定すれば、次のような結果になるであろう。(表3)(⑪p77) (「資本論体系7・地代・収入」p22)
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(※仮定・前提)
第一、農業改良が各土地種類に不均等に作用する。従って等額投資での生産物の差額の増大、従って又差額地代の増大が前提。第二、総生産物の増大に総需要が歩調を合わせるという事。第三、穀物の一部分はブランデーやビールとして消費されうる。(⑪p78)
第四、事柄が人口増大にかかっていることもあり、需要が1国だけの消費の限界によって調節されてはいないという事もありうる。最後に、小麦の増産により安くなった結果、それが国民大衆の主食となり、従って小麦市場が拡大されるという事もありうる。(⑪p79)
・これらの前提の下では表3の順序では次のような結果になる。(⑪p79)
1q当たり価格は60s→30s(50%下落)、生産は表1の順序に比べて10q→23q(130%)に増加。地代は土地Bで不変、Cで2倍、Dでは2倍より多くなり、地代総額は18p→22pに増加する。(⑪p79)
・以上3つの表は、ある与えられた社会状態での与えられた等級-例えば3つの違った国に並んで現れるものと考えてもよいし、あるいは、同じ国の違った発展期に順次現れるものと考えてもよい。(⑪p79)
この3つの表の比較は次回に検討する。
以上、第6篇超過利潤の地代への転化 第39章、差額地代Ⅰの1 了。