・・・・・・「エルピス」とは、「希望」或いは「災い」と意味のようだけでなく、「女神」という意味も育むようだ。知らなくていいことと知るべきことの境界線はいつも曖昧なのだが、どうせ最後には知ることになるのなら、「希望」でも「災い」でも知るべきなのだろうか?このドラマのヒロインは、パンドラの箱を開けて「希望」でも「災い」でも暴き立て、その「社会性」を「個人性?」のエサにすることも辞さない女子アナウンサーである。

 

このドラマのヒロイン・浅川恵那(長澤まさみ)は、路チュー写真で一線の場所を失って、深夜番組へと追いやられた女子アナウンサーである。彼女の女子アナならではの不夜城のような日常を観ていたら、以下のようなイメージが私の中で浮かんでは消えて、そして最後に残った。

 

 報われぬ情念・・・消耗の光に溶かしてみる・・・やってみよう・・・でも、溶けない。

・・・そのうちに厭になること

・・・もう、止めればいいのに?

・・・それでも今日も夜が明ける。

 

壊れた鍵・・・開かない部屋・・・花はもういらない。

葬り去ろうとしても出来ない過去

・・・土に塗れながらそれになれないのは?

・・・わだかまりの部屋・・・そのドアの重さ・・・両手で持ち上げているのに

・・・「お前はまだわからないのか?」・・・蝶番が囁く

・・・その囁きやけにうるさいのは何故?

・・・バカに元気なのは何故?

 

報われぬ情念・・・消し忘れたガス焜炉の匂い?・・・蒼い炎

・・・私の夜明けの色か?・・・始まらなくてもいい今日という日

・・・それでも今日も夜が明ける

 

風化したはずでは?・・・勘違いするな

・・・風化とは野ざらしであって、風に溶けることではないから。

 

ヒロイン・浅川恵那は、蒼い炎を灯すともなく燻らせていた。

吐き出す毎日・・・この日常をもうこれ以上体内に留めることは出来ない・・・だから吐く

 

そんな毎日の繰り返し。しかし、ある日出来事が彼女を襲う。

 

アナウンサー恵那の担当番組の若手ディレクター・岸本拓朗(眞栄田郷敦)。彼は、毎日の軽い日常を泳ぐように過ごしている。ある日ヘアメイク・さくら(三浦透子)に脅される。その内容は?・・・彼がカバーガールの女の子を彼が口説いていたこと。証拠の録音データで彼を脅す・。・・・見返りは・・・冤罪事件の再調査とは?・・・連続殺人事件・・・そして、さくら自身がその冤罪の死刑囚と暮らしていたとは?・・・さくらの手のひらには親から受けた傷害の痕が・・・「軽い」日常に「重い」何かの痕・・・いや、痕ではない・・・今も「重さ」は少しも薄れてはいない。・・・冤罪死刑囚は今も抑留されている、のだから・・・拓朗は、アナウンサー恵那に相談することになる。

 

・・・・・・・・・不夜城で隕石の衝突が起きることがある

・・・そう天文学の知識はなくとも・・・期せずして起きる衝撃?

何かの偶然で、不思議な”crash”で化学反応が起きることがある。

 

アナウンサー恵那の報われぬ情念に再び、火が付く。

 

・・・盲亀の浮木もうきのふぼく)・・・そんな言葉を思い出した。めったにない幸運に会うことである

 

このドラマのアナウンサー・恵那に起きたことは、隕石の衝突のように起きた「盲亀の浮木」である。

 

吐き下してた毎日・・・この日常をもうこれ以上体内に溜めることは出来なかった・・・だから吐いていた。・・・「変化」が来た・・・もう、ないと思ってた「変化」が来た。

 

ペットボトルの水を喉にたっぷりと流し込む、恵那。新しい「日常」の扉とその「重さ」?

確かめるように。盲亀の浮木ではあるが、彼女の眼は見開かれている。ウミガメはウミガメでも狼のように飢えている。

 

社会性」を「個人性」のエサにすること活劇の炎が音を立て始める。

ケミカル塗れの浪費される「軽さ」よ、サヨウナラだ。「重さ」よ、待ってた、だ。

 

拓朗もまた、さくらの無惨な手のひらをみて何かを思い出す・・・酷く「重い」こと?

彼の頭に過去がよぎる・・・いや、その過去はよぎらない過去、だ・・・・まだ過ぎていないのだから・・・それは、「現在」と同じなのだ・・・噓をついてはいけない・・・あなたの頭にずっと住んでいたのだから?