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【水田浩一の拳信論】昨日、米カリフォルニア州でWBC世界バンタム級タイトルマッチがあった。
王者ノルディーヌ・ウバーリ(仏)VS挑戦者ノニト・ドネア(比)の一戦だった。
大方の予想ではウバーリの手数の多いアウトボクシングで判定勝ちするであろうという予想だった。対するドネアは今年38歳で一昨年11月にWBSS決勝戦で井上尚弥と対戦し、史上最高試合となったが、そこから約1年半のブランクがあって尚弥戦のポテンシャルを出すのは厳しいというのが大方の予想だった。
いざ試合が始まると予想通りウバーリが手数を出してきたが、驚くことにウバーリのパンチをウィービング、スウェーなどでかわしてしまった。
38歳ともなれば誰がどうではなく動体視力が落ちる。しかし、ドネアは38歳にしてまだまだ進化していたのだ。
ウバーリの手数の多い攻撃をほぼ被弾することもなく、ノーモーションの右ストレートを上手く使ってウバーリの距離にさせなかった。
私が見た感じではドネアは1ラウンド終わったくらいでウバーリの力量を完全に把握してしまった感じに見えた。
2ラウンドも同じようにウバーリは手数を出すが、ほぼ被弾せずノーモーションの右ストレートでウバーリにペースを握らせない。
そして3ラウンド、ドネアは倒すならいつでもいこう!という感じに見えた。ここまで伝家の宝刀の左フックは出していなかったが、左フックを絶妙なポイントでヒットさせて2度のダウンを奪った。
ドネアの左フックは井上尚弥の右目を大きくカットさせて眼窩底骨折まで追い込んだ神の領域の左フックだ。
そしてKOラウンドとなった4ラウンドも締めは左フックと決めていたのか、左フックのタイミングを探って絶妙なところで左フック一閃!!
これで勝負ありとなった。私個人の予想ではウバーリの手数の多いアウトボクシングに苦しみながら後半KO勝ちと予想していたが、まさかの完封劇だった。
被弾したパンチと言えば3ラウンドに1回目のダウンを取って倒しにかかった時にウバーリの左を被弾したくらいだった。
井上尚弥戦からドネアは確実に進化していた。38歳にしてまだ力が伸びるなんて信じられないが、ドネアは昨日の試合で実証してしまった。
これは余談だが、井上尚弥戦の時は「さすがに老けたな」と思ったが、昨日の試合は見た目もファイトスタイルも若返っていたように見えた。
そして勝敗決してからガッツポーズもそこそこにしてからすぐに倒れているウバーリのもとにいって両膝をついて一礼したのには驚いた。
ドネアはスポーツマンシップとしても人格者だ。
昨日の勝利で井上尚弥との再戦の可能性が高まってきたが、昨日のドネアのデキだったら勝敗はどうなるかわからない。
これからドネアがどのように年齢の常識をブチ破っていくのか本当に楽しみだ。