ポルシェ912 点検整備 その2 車検編(エンジン編) | AUTOBAHN MOTOR&KLUB909BLOG

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外車専門自動車屋の活動日記

ポルシェ912のエンジン整備です。

充電不良とオイル漏れがメインです。とりあえずエンジンは降ろしました。

 

912の整備も久しぶりなので整備書を探してきました。ちゃんと保管してありました。

 

ダイナモやキャブ、ファンとシェラウドを外してみて、簡単には行かなそうなので

 

エンジンスタンドに取り付け。

 

オイルクーラーの取り付け辺りから一番漏れがひどそうです。

 

オイルクーラーは漏れがあったのか溶接加工されていました。

そして何故か全体的にへこみや傷が多いです。

 

漏れはここのシールからでしたが取り付け方が間違いというか・・シールが密着するように

付いていませんでした。

 

新品のクーラーを取り付け。

 

プッシュロッドパイプのシールからも漏れ有り。

 

交換するにはヘッドを外さないと出来ませんが、社外品のヘッドを外さずに交換できるものを使いました。ロッカーアームとプッシュロッドは外します。

縮めた状態で挿してから伸ばすタイプです。

 

元のプッシュロッドチューブはそのままでは外せないので

折ります。

 

パイプを外したらシール面を綺麗にします。

シリンダーカバーの固定する物はノーマルパイプの形状に合わせてあるので使えなくなります。

ワイヤーで固定します。元々純正の物は付いていませんでしたが・・

 

調整式パイプの取り付け完了です。今度もれたときは外してシール交換できます。

 

ファンシェラウドですがこれも傷やへこみなどが多いです。冷却能力を上げる大型のファンが付いていましたが、大きすぎて穴から取出しが出来ません。

下側のステーを一旦切り離してから入れて溶接したようです。

整備性が悪くなるのでファンはノーマルへ戻します。

 

シェラウドは程度の良い中古へ交換します。普通こんな感じだと思います。

何故あそこまで汚くするのか謎ですね。

 

シェラウドに付くヒーターバルブを動かすダイヤフラム?を点検。

温まると伸びるのでOKです。

 

エンジン周りのカバーを洗浄しました。

錆落としをした後にシリコンオフで綺麗にしたらミッチャクロンを塗ります。

耐熱黒色で塗装しました。

 

 

マフラーを外す時にエキマニのボルトが折れてしまいました。

 

どんなに温めても外れません。

仕方ないので削ってからドリルで穴を開けて

 

タップでネジ穴を切りなおしました。

折れてないほうもタップでネジ穴を綺麗にしました。

ステンレス製のボルトへ交換。

 

Fクランクシールを交換。

 

オイルポンプのカバーパッキンを交換。

 

Rのクランクシール周りは液体パッキンを塗りまくってます。

外から液体パッキンを塗っても漏れは止まりません。

その後整備する人への嫌がらせにしかならないので止めて欲しいですね。

とりあえずシールを外して

きれいに掃除しました。フライホイールが付く所のピンが2個無くなってます。

新品を2個取り付け。

シールも交換しました。

 

よく分からない所まで液体パッキンを塗ってます。

こちらも綺麗にしました。

フライホイールは接触面を紙やすりで磨いてから取り付け。

ディスクは減っていないので再使用です。センター出しをしてカバーを付けました。

レリーズベアリングは新品です。

 

クランクプーリーにクラックを発見しました。

シールにあたる部分なのでオイル漏れしてしまいます。

アルミ製へ交換しました。

 

次はデスビです。

ノーマルのポイント式です。メンテナンスが大変なのでパルス式にします。

その前に中を見ると錆だらけ・・

シャフトを取り出しました。

錆てはいましたが機能はしていました。なるべく錆を落として給油してから組みなおします。

ポイントレスKITに交換。

スパークプラグも交換します。デスビキャップ・ローター・プラグコードも新品へ替えました。

ポイントレスにするとコイルも対応した物に交換です。ボッシュのブルーコイルにしました。

 

オイルフィルターケースの中身を掃除しているとセンターパイプの途中(工具が刺さっている所)に穴があるのですが液体パッキンの塗りすぎで剥がれた物が詰まってました。

このエンジンですと穴が詰まると循環しなくなります。

いままでフィルターは意味が無かったということになります。

ふたのボルトにまで液体パッキンを塗ってます。

塗装の汚いヘッドカバーとオイルフィルターケースは

塗装しなおしました。色は私の趣味です。ボディ色に合わせました。

 

ヘッドに付くメクラ蓋やパイプのゴムも硬化してボロボロなので交換します。

 

ダイナモの土台部分のパッキンを交換して

磨いた土台をつけます。

 

充電不良はダイナモ自体の故障でした。カラーなどを外して

ダイナモを交換します。

オルタネータにするか迷いましたがノーマルっぽさを残す為に元のダイナモのままにしました。

裏側にノーマルサイズのファンをつけて

取り付け完了ですが・・

交換したファンですがよーく見ると歪んでますね。

最安値の物を選んだ結果です・・エンジン回転を上げるとすごい振動が出てしまいました。

信頼できるメーカーの物を取りなおしました。やはり作りが違いますね。

 

シェラウド裏側のスロットルリンケージを組んでいきます。

リンケージのジョイントは全て交換しました。

 

オイルの給油口&オイルセパレーターも塗装してから取り付け。

パッキンも交換してあります。

 

前回交換したヘッドカバーパッキンですが漏れが止まらず今回も交換します。

これはコルクの間にアルミプレートが入っています。

組む時に形が崩れないのと剛性が高いです。

 

固定したらカバーに傷が・・後で塗りなおしました。

 

オイルフィルターケースを取り付けました。

 

ケースから出るホースも交換です。

このホースのカシメは針金で巻いて締められていました。謎整備が多い車です。

 

周りのカバーやマウントステーなどを取り付けました。

 

ブローバイガスがカクテルシェーカーをタンク代わりにして付けてありましたが

エアフィルターの蓋に穴を開けて

純正に似た感じでホースを取り付け。

 

ヒートエクスチェンジャーのヒーターフラップのワイヤーが入るパイプが

片側なくなっていたので

同じ太さのパイプを溶接しました。この後黒く塗装しました。

 

エンジンはほぼ完成しました。

 

ミッションは

 

サイドシールを交換しました。

 

エンジンを載せる前に

エンジンルームの錆を添加剤を塗った後に黒く塗装しました。

インシュレーターを貼り付けました。

 

エンジンが載りました。

見た目だけでも最初と比べるとだいぶ良くなったと思います。

 

エンジンを載せた後にヒーターワイヤーを組みつけていきます。

ワイヤーの固定ボルトも新品にしました。

 

フラップが引っかかったりしないように微調整します。

今まで全く効かなかったヒーターから温風が出てくるようになりました。

 

点火時期調整してキャブの同調をしてましたがどうもしっくりきません。

キャブのロッドが角度がおかしく干渉したり引っかかったりします。

ロッドも新品にしました。この長さが正解でした。

 

エンジン調整後、車検持込み検査して無事に通りました。

これで車検整備全て完了です。