ポルシェ912 点検整備 その1 | AUTOBAHN MOTOR&KLUB909BLOG

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外車専門自動車屋の活動日記

ポルシェ912の点検整備です。

当社には初めての入庫です。

 

1968y式です。フェンダーに膨らみのない本当のナローですね。

 

エンジンは4気筒です。見た目からも結構痛んでいる感じです。

ガソリン臭がしているので点検してみると

 

燃料ポンプへ行くホースが漏れているので交換しました。

 

ついでに燃料フィルターも交換しておきます。

ホースバンドも錆でボロボロなので交換。

 

タイプの違う透明な物へ。

 

試運転してみましたが色々と調子がいいとは言えない状態です。

まずはリフトアップしてみるとフロアの錆がひどい!

 

ペダルの位置もおかしいですね。年式的に仕方ないのでしょうがカーペット類の痛みが激しいです。

フロアマットを外しました。

 

ペダルボードもボロボロです。

 

ボードを外すとペダルの元が錆だらけでした。

 

さらにカーペットを剥がしてみると

錆がひどい!

 

ペダル周り取り外し。

助手席側も同様です。

 

丸い部分は取れてしまいました。

 

リアシート足元には金属の板が引いてありましたが

外すと穴が開いていました。

 

シートを外すとフロア全体が錆びて穴が開いています。

 

 

リアシートの座面も錆がひどいです。

 

浮いている錆は掃除機で吸い取りました。

 

何故こうなったかの原因ですが、エアコンの吸気口から入った水を室外へ排出するホースがありますが、フードの中から

パイプが室内を通って外へ出るはずが途中で錆びて穴が開いてしまい

 

ペダル周りやセンタートンネルの穴を通って助手席側にも周り

 

フロア全体を水浸しにしたようです。カーペットの下へ入り込んだ水分は蒸発せずにフロアを錆びさせたようです。

 

洗濯機のホースのような物も途中で切れていて漏れていました。

 

ここも錆びて穴が開いています。

 

穴が開いたパイプを取り替えるのは大変なので、パイプの中に細いホースを通して太いホースと繋げました。ちゃんと流れるか確認しやすいように透明なパイプにしてあります。

問題なければ後で黒いホースにでも交換しようと思います。

錆びて穴が開いていたところはガラスウールを貼って錆転換剤を塗りました。

いつも使っている錆転換剤は、液体タイプのさらさらな物なのでそのまま黒錆になるだけです。

今回は厚塗りできて強度が出せそうなPOR15を使いました。

 

フロアは本来ですと交換したほうがいいです。ですがその作業は時間もお金も掛かります。

外注作業になりますがすぐには取り掛かれないとのこと。

このまま乗れないで放置するよりは、応急処置をして順番が来るまで乗ったほうがいいかな。

 

フロアもPOR15を厚塗りとガラスウールで穴埋めしていきます。

黒い物が在庫が無くシルバーのPOR15で塗り固めました。後で黒く塗っておきます。

リアシート座面も全体的に大きなガラスウールを貼って固めていきます。

 

パテタイプのPOR15で更に厚塗りします。

 

上から塗った分が染み出した分と下からも錆にPORを塗りました。

この後、全体に黒い塗料で塗ります。

 

今までフロアに乗ると今にも底抜けそうでしたが、かなり剛性が出てビクともしなくなりました。

走ってみても剛性があがったのが分かります。

フロア交換しなくても大丈夫な感じにまでなりました。

 

サイドもカーペットを剥がすと錆びていました。ここもPOR15を塗っておきます。

 

フロアが一段楽したのでペダル周りを点検します。

 

水分が溜まっていたようで錆がひどいです。

 

 

錆を磨いて塗装してブッシュ類は金属製へ交換しました。

アクセルペダルも交換したかったですが使えてはいるので今回はそのまま。

ペダルボードもパーツが見つからずそのままです。

 

感触が良くないシフト周りも点検します。

 

シフトレバーを外すとなんかおかしい・・

 

リンク部分も何かおかしなことになってます。

 

ブッシュが割れて何とかしようとしたんですね。丸ごと新品に交換します。

 

シフトレバーはばらしてから掃除してグリスアップ後に組みつけます。

 

ここは異常なしです。

 

レバーが刺さる所のブッシュとロッドの抑えの部分がオリジナル?になってました。

 

シフトレバーブッシュは金属のパイプで代用してますがサイズが合ってません。ガタガタです。

 

右側が本来のブッシュです。

 

ロッド押さえはカラーの替わりに金属ワッシャーが溶接してありました。

これもサイズがあっていないのでガタがあります。

 

本来は樹脂製のカラーが付きます。

 

溶接部分を切り落として

 

樹脂製のカラーを付けました。

 

このブッシュはレバーのボール部分にはめます。

 

樹脂性カラーを付けたステーにロッドを通して

 

レバーを組み付けます。これでだいぶガタが無くなりました。

 

ミッション横のスロットルリンケージの

ブッシュも金属パイプになっていたので樹脂製ブッシュに交換。

 

オイル漏れしているヘッドカバーは液体パッキンがてんこ盛りでした。

 

新品パッキンへ交換しておきます。

 

オイルパンのオイルの吸い込み口のフィルター部分も

オイル漏れしていたのでパッキンを交換しました。

 

キャブレターリンケージが謎の延長?短縮?されていました。

 

長いほうが良さそうなので切って溶接して取り付け。

キャブは同調だけ取りました。

 

ブーツもボロボロですがその上の燃料ホースからもにじみがありました。

燃料漏れは怖いですね。少しでも漏れがあれば交換したほうがいいです。

ホースとバンドを新品に交換しました。

 

 

ボロボロのカーペットは新品へ交換しました。

912の右ハンドル用を探しまくって見つけ出しました。

フロアマットは探しても右ハンドル用が見つからないので作成することになりました。

今回は間に合わず次回に交換します。

 

他にも色々整備したい所がありますがお使いになる予定があるとのことで一旦お返ししました。

次ページでは再入庫後の車検整備の様子になります。