BMW750 F01 エンジン不調、水漏れ、オイル漏れ修理 | AUTOBAHN MOTOR&KLUB909BLOG

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外車専門自動車屋の活動日記

BMW750 F01 がエンジン不調と水漏れとオイル漏れ修理で入庫しました。

まずはエンジン不調から。

 

ちなみにこのエンジンはV8のバンク内にツインターボのタービンが配置されています。

タービンとインタークーラー、さらにDMEのユニットまで水冷です。

更に直噴インジェクターなので構造がやたらと複雑です。

 

テスターにて点検すると5~8番シリンダーミスファイヤと燃調不良系がメモリーされていました。

確かにアイドリングでもエンジンがばらついていて、白煙も出ています。

 

まずはスパークプラグから点検。

走行距離12万Kmですが一度も交換してないような感じです。

スパークプラグは新品に交換しましたが症状は改善しません。

IGコイルの入れ替えをしてみましたがまったく変わらず。



インジェクターかなと思いつつテスターで点検しているとセルが回らなくなりました。
バッテリーが上がったかなと思いブースターを繋いでも回りません。
まさか・・・と思いクランクを手動で回そうとしてもびくともしません・・・
エンジンがロックした・・・???
チェーンでも飛んだのかと思い、フロント回りをばらして確認しましたがタイミングはずれてなさそうです。
エンジンの回転方向には回りませんが逆回転はできました。しかし一回転すると止まってしまいます。

とにかくエンジンをばらさないとこれ以上は分からないので降ろします。
降ろす前に水漏れとオイル漏れの点検をしておきます。
エンジンとATの繋ぎ目から水漏れ跡があります。


オイル漏れは右側のヘッドカバー辺りから垂れていました。

エンジンを降ろす前にオイルを抜きましたが粘度が無くさらさらでガソリン臭がすごかったです。

Fバンパーやラジエターをごっそり外してからエンジンとATを外しました。


クランクが回せないためトルコンが外せず、ATごと降ろしました。


マフラーあたりから排気漏れしてますね。


ヘッドカバーからオイル漏れ


水漏れはタービン下にあるウォーターホースの三つ又パイプが折れてました。


左側のインタークーラーも内部で水漏れしています。


ATを外すとバンク内に漏れた水が回ってたれていました。漏れはかなりひどいようです。


ばらしながらエンジンロックの原因を探します。
ヘッドカバーを外しましたがカムタイミングに狂いはなさそうです。


プラグやインジェクターを外している時は気が付きませんでしたが、この状態でクランクを逆回転させたら
どこからか液体が噴出してきました。調べてみると8番シリンダーに液体が溜まっています。
真っ黒ですがガソリンのようです。
まさかガソリンによるウォーターハンマー??


オイルパンを外してコンロッドを見てみると予想通り曲がっていました。
コンロッドの曲がりによりピストンとクランクシャフトのカウンターウェイトが当たってしまいロックしたようです。
8番インジェクターの不良によりガソリンが多量に噴射してしまいシリンダー内がガソリンで圧縮できなくなりコンロッドが曲がったようです。
従来のインジェクターなら壊れてもこんな量を吹くことはありえません。
今回の感じでは一行程の間に圧縮できないほどのガソリンを吹かないとこうはなりません。
高圧インジェクター恐るべしです。


こうなってしまうとこのエンジンを治すより中古のエンジンに乗せ変えたほうが安くて早いです。
というわけで同じぐらいの走行距離のエンジンをゲット!
補記類無しなので全部移植です。


このエンジンも同じような水漏れとオイル漏れをしていたようです。



タービンを見ても大分ガソリンが回ったのが分かります。左側はガソリンで綺麗になっています。


タービン下側にはオイル漏れの跡がひどいです。左側の排気はガソリンが回ってしまいガスケットがやられてしまったようです。前の方で出した排気漏れの後はガソリンが漏れて燃えた後かもしれません。
正直、火災寸前だったと思うとぞっとします。


外に比べて中身は綺麗でした。
綺麗なのはオイル管理ではなくガソリンがオイルに混ざっているからかな・・・
ヘッドカバーパッキンは新品に交換。
パワステポンプやエアコンコンプレッサー、インマニを移植。
インマニを外した時も、逆回転させたからなのか大量のガソリンが出てきました。


掃除をしながらダメなパーツは交換して移植していきます。


逆さまにしてオイルパンパッキンを交換。


インジェクターは7・8番のみ交換。
残りの補記類を全部組み付けて、


載せる時はエンジンだけで載せられたので少し楽でした。



ATをつけてマフラーやプロペラシャフトをつけます。


ラジエターなどを戻してエンジンがようやく掛かるようになりましたが・・・
セルの回りがなんかおかしいです。バッテリーはフル充電去れているのに回りが弱々しい。
エンジンロック状態で回そうとしていたのでダメになってしまったようです。


狭い所から引きずり出してセルモーター交換。


ようやく修理完了しました。最初はマフラー内に残っていたガソリンで煙がすごく工場が火事のようでした。しばらくして白煙が無くなるとミスファイヤもなくなり、水漏れとオイル漏れが無いのを確認して終了です。

作業日数1ヶ月、150万コースです。
ただし入庫時に起きた故障のためクレーム処理されました・・・
当社で壊したわけではないんですけどね。