はっとして顔を上げた。
窓の向こうは、暗い空と明るい街並みが見える。
気付かぬうちに眠ってしまっていたようだ。
(ここは補修会場となっている教室の机・・・だったら良かったのにな。)
途切れ途切れに、懐かしい夢を見た。
あの頃に戻れたら・・・やり残した事は沢山あるように思える。
ぼんやりと夢の事を思い出していると、不意に声が掛けられた。
「お。やっと起きたか。」
その声を聞いて、自然と笑顔になる。
肩には毛布が掛かっていた。その毛布が嬉しくて、更に笑顔になりそうだ。
「むー・・・お!帰ってきてたのか、お帰り!」
「ただいま、お寝坊さん。」
「あはは・・・部屋は暖かいし、毛布まで掛けてもらってたから良く眠ってしまったんだな!」
「疲れてたか?」
「そんな事は無いぞ!――でも、懐かしい夢を見たな!」
「ふむ――?」
どんな夢?と訊ねるような拓未の目は、とても優しいように見えた。
「それよりも、腹が減ったな!」
私がそう言うと、拓未は笑いながら言った。
「あー、じゃあラーメンでも食べに行きますか!」
「おう!」
私が外套を羽織ると、拓未が言った。
「風邪引くなよ。」
「あぁ、大丈夫だぞ!本来、私はマフラーだけでも大丈夫なんだぞ!」
「いつからだったっけか、あんたが防寒に外套を着るようになったの?」
「着た方が良いってお前が言ったからだぞ!」
「そんな事言ったっけ?」
「風邪引くぞ、って言ったぞ!」
「へー・・・。」
「お前に心配されたら、これはもう着ない訳には行かないだろう!心配してくれるなんて、嬉しくて仕方ないじゃないか!」
「はいはい、分かったから早く行くぞ。」
「むー。」
さっさと歩き始めた拓未は、ふと振り返って私に言った。
「あー、この年で“くん”付けは止してくれよ。」
「き、聞こえてたのか!?何でそれは覚えてるんだよ~!」