日本は明治まではよかった、その後の日本が

おかしくなった、という司馬遼太郎史観には

ほとほと心底うんざりである。

明治維新の時から日本はおかしくなった。

明治という時代が戦前の東條英機その他を

つくったのである。

 

イギリスもフランスも広げ過ぎた植民地

経営に手いっぱいであり、日本にまで

手を伸ばす余裕はなかった。

内戦を続けていれば、つけいるスキを

与えただろうが。

 

天皇は住み慣れた京都から出るつもりは

なかった。それを強引に江戸(東京)に

移住させる。

皇室にとって迷惑でしかなかった。

天皇家の不幸な近代が始まる。

公武合体でも、天皇は京都の御所から

動く必要はない。

 

挙国一致政府で幕藩体制を残して、少しずつ

変えていけば、19世紀の終わりごろには、

日本共和国が成立したはずである。

(あるいは、日本連邦共和国。)

それこそが望ましい歴史だった。

変化を急がず、ムリのない政治、政権運営。

 

明治になるまで、ほとんどの日本人(百姓、

町人)は天皇を知らず、知ってはいても意識

することはなかった。

光格天皇になって、「院」から「天皇」に。

天皇号は900年近く絶えていた。

 

徳川、皇室、ふたつの君主制はない。

どちらかにするよりも、双方に〈君主〉を

やめてもらうということで「日本共和国」。