せっかく勉強のペースメーカーにと思ってブログ始めたのに、いつもの怠け癖でつい更新が遅くなってしまいました。

 

まず前回の1~7の英訳ですが。

 

1、肺癌10例が死亡した。

Ten patients with lung cancer died.

 

※日本語で「例」と出てきても、脊髄反射的にcasesとしないこと。例えばTwo cases of diabetesは、糖尿病患者2名の意味ではなく、糖尿病の「症例」が2例あるという意味。日本語の「例」はケースバイケースで使い分けましょう。他にもsampleのようなカタカナになっている英単語には特に注意が必要です。

 

 

2、ラットの毒性症状。

Toxic sign in rats.

 

※symptomは自覚症状、signは他覚症状(徴候)。動物は自覚することはないのでsignを使うべき。文脈によりtoxic findingでも可。なお、「症状別有害事象」はadverse events by symptom and signやadverse events by typeと書きましょう。日本語の「症状」にはsymptomとsignの両方が含まれることに注意。

 

 

3、糖尿病の治療。

Treatment of diabetes

4、インスリン療法。

Insulin therapy

 

※treatmentとtherapyの使い分け。これはそんなに難しくないですが、treatmentはある病気を治す方法の総称、therapyは具体的な治療方法。cancer treatmentの中に、surgeryやchemotherapy (抗癌剤治療)といった具体的な治療方法が含まれるというイメージでしょうか。technologyとtechniqueの使い分けなども同様な注意が必要です。

 

 

5、危篤状態。

Serious condition

 

※seriousかsevereの違い、seriousは容態(全身状態)や病気・事象の程度がひどいことをいい、severeは症状、徴候、反応などの程度がひどいことに使います。どちらが重いか軽いかという重症度の違いではなく、後にくる名詞が何であるかによって使い分けましょう。ここら辺のcollocationの問題を調べるには、google検索が非常に便利です。

 

 

6、1日15mgを3回に分けて7日間投与すること。

The recommended dosage is 15mg/day three times daily for 7 days.

 

※doseは投与量のこと、dosageは用法・用量を含んだより広い概念です。bag<baggage, mile<mileageのように、-ageがつくと集合・総体を表す単語になるんですね。なお「…すること」のような日本語の訳し方は色々あると思いますが、命令形で訳すより、the recommended dosage is...のように 訳すとスッキリ訳せる場合が多い気がします。

 

 

7、副作用。

adverse reaction

 

※専門用語としてはside effect よりも adverse reactionの方がよいでしょう。side effectも意図しない副次的な作用に使いますが、厳密には有害か否かは問わないので、「有害または意図しない作用」の意味で「副作用」というときは、adverse reactionがより適切です。 なお、complication(合併症)は「ある病気が原因となって起こる別の病気」、comorbidity(併存症)は「(関連性の有無を問わず)ある病気と同時に発生している別の病気」のことで、薬剤等の副作用とは意味が異なるので、注意してください。この辺りの問題は、ネットで調べるとより専門的な定義が出てくるので、上に書いたことは大まかなイメージとしてご理解ください。

 

 

今日はここまで。次回は類義語使い分け第2弾(動詞編)として、以下の1~3を検討します。

 

1、治験を実施する。

 

2、薬剤の有効性を評価する。

 

3、薬剤Bを1日2回マウスに投与する。

 

もう12時なのでそろそろ寝ます。それではおやすみなさい。

 

 

<参考文献>

「薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門講座」P32~45