「野菜はすごい!」(藤田智著、2017年7月12日発行、実業之日本社、640円+税)

 「野菜ソムリエ必読!感動の野菜愛」

 「野菜は”健康にいい””栄養がある”ということは何となく知っているものの、なぜ栄養がある

のか、どのように育っているのか、またはその形状、色にどんな秘密があるのかなど、「野菜がすごい」という事実を知らない人が大半である。本書では野菜の原産地、栽培方法、品種改良など、野菜の秘密を、野菜博士である著者がやさしく、面白く解説する。」

 

 著者は、NHK「趣味の園芸 やさいの時間」(NHK Eテレ 日曜午前8時~)の講師として出演している、家庭菜園指導の第一人者です。私も時々見ています。この本(じっぴコンパクト文庫)は、市民農園で野菜を作っている方におすすめの本です。

 

 エッセンスを少し紹介します。

はじめに

  「野菜は食べるだけでなく、ぜひ自分で作ってみてほしいのです。野菜づくりの魅力は3つに集約できます。・収穫の喜びを自分で味わえる。・旬の野菜を栽培しながら季節の移り変わりを感じられる。・安心、安全で、新鮮なとれたて野菜が食べられる。・・・野菜づくりは、”スローライフ”であり”ロハス”。」

第1章 意外や意外な野菜のふるさと

 「日本で一般的に出回っている野菜は、なんと100~110種もあるのです。・・・私たち日本人が日々利用する野菜は、だいたい40~50種類です。」「日本生まれの野菜は、実は20数種しかないのです。・・・フキ、ウド、ヤマイモ、アサツキ、ミョウガ、サンショウ、ワサビ、クロクワイ、アシタバ、ミツバ、ツルナ。」

 ナス:「ナスを無農薬でつくる方法として、”散水栽培”というものがあります。ナスの原産地はインドですが、インドの気候は独特で、1日に1回はぬれネズミになるほどのスコールに見舞われます。ご自身の菜園で、このスコールを人工的に起こしてやってください。・・・アブラムシやハダニなどの害虫は、たまらず地表に落っこちてしまい、二度と株に上がれません。害虫の発生しやすい梅雨から夏にかけて、毎日夕方の手入れです。」

 ピーマン:「最近、カラーピーマンのことをパプリカというようになっています。これはハンガリー語ですが、トウガラシ全体を指した言葉です。日本に限っては、カラーピーマンをパプリカと呼ぶようにしたそうです。これは流通関係者が考えたものです。」

  スイカ:「交配後40日くらいで食べごろになります。スイカの場合、ちょっと面白い、食べごろ判定のやり方があります。交配後の毎日の平均気温を足していって900~1000度になったら食べごろーこれを積算温度といいます。」(私の農園のスイカは、人工受粉が6月10日だったので、7月20日前後が収穫時期となっています。ここ連日30度を超える暑さが続いているので、明日収穫しようと思っています。)

  イモ類:「ジャガイモとサトイモのベストな食べごろは収穫直後です。サツマイモが一番おいしい時期は、また異なります。実は、収穫してからずっと後、冬を越させた翌年の3月、芽が出る直前です。」

 トウモロコシ:「トウモロコシの花粉は半日ほどしか寿命がありません。そのうえ、いったいどういうわけか、雄穂(ゆうすい)と雌穂(しすい)の開花期が少しずれてしまうのです。・・・狭い家庭菜園でも、トウモロコシをつくろうと思ったら最低5~6本作ってください。そして必ず2列または3列に並べます。」「トウモロコシに代表されるイネ科植物は、”畑のクリーニングクロップ”といわれています。余分な栄養分などが土の中にあると、それをきれいにします。」

 キャベツ:「キャベツの最大の害虫は、モンシロチョウの幼虫です。・・・私がおすすめするのは、BT剤の使用です。これは、バチルス・チューリンゲンシス菌の頭文字をとったもので、アオムシなどの消化管をおかして駆除するものです。ナットウ菌の仲間で、生物農薬あるいは微生物農薬と呼び、人間にはまったく無害です。」(私の農園でも、夏~秋はこの方法を試してみたいと思っています。)

 

第2章「F1優等生VS.地方の野生児」、第3章「まいう~!」な野菜たち、は省略