帝国劇場にて


 

ミュージカル
ジョジョの奇妙な冒険
ファントムブラッド



原作は

荒木飛呂彦の大人気コミックシリーズ
単行本は合計で100巻越え
シリーズ累計発行部数1億2000万部

全ての始まりとなる
第1部 ファントムブラッド



初見はネタバレなしに観て
驚きたいのがマイルールなんだけど

今回はあんなことがあったので
「複雑な演出プラン」とか
「スタッフ・キャストの安全確保」とは
どういうことかという興味もあり

原作となったコミック全44話を
前日に一気読みしてから臨みました

なんと今月いっぱい無料で読めるの


原作読んでみると確かにこの世界観を
一体どのように舞台化するのか
想像しにくい

どきどきしながら劇場へ



一言で感想を言うと
素晴らしかったラブラブ


想像をはるかに超えて完成度高い
初演でこのレベルってすごいこと


あの世界観を表現するのは
多少映像を使ってはいても
やはりマンパワー

波紋法は「こうきたか」っていう驚き

千と千尋を観たときの感動に近い


初演が遅れてしまったのは
単純に準備の日数不足なんだろうな

1月公演が27日に終了してから
2月6日に幕をあけるとすると
間はわずか9日
しかも新作

再演の千と千尋ですら間は11日
クアトロキャストで大変なこともあるだろうけど

1日でも多く上演したいのはわかる

ジョジョの命日も上演したかった
でも相当無理なスケジュールだった
ということかな

遅れてしまったのは残念だけど
ここまでの完成度で仕上げたのは
素晴らしいと思う





※以下ネタバレありの感想です






幕が上がると
一人の老人のモノローグから始まる

その老人が特殊メイクの仮面をとると
実はジョジョの仲間スピードワゴン

彼が語り部となって舞台が進む

しかも、その語りはラップ
テンポよくていきなり楽しくなっちゃう

演ずるYOUNG DAISさんは

ラッパーさんなんですね



そこからは呼吸を忘れて見入る


第一幕が終わってほっとひと息
内容は原作の#1から#16まで
いくつかの再構成はあるものの
かなり忠実だった

素朴な疑問として
ぶどうがりんごに変わってたのはなぜでしょう?

きっと何か演出上の理由があるに違いない



ただこのゆっくりペースだと
第二幕は最後までいけるのかな

ちょっと心配しながら迎えた第二幕
コンパクトにギュギュっとまとめて

でもエッセンスはおさえてわかりやすく
ちゃんと最後まで描いてた

第一幕で物語の始まりを丁寧に描いた
おかげで物語の骨子への理解が深まり
戦いが多い第二幕を夢中で観れる

絶妙なバランス感覚の構成に脱帽です


しかもしっかりミュージカルとして成立
原作より雅な雰囲気になってる


シンプルに見えて多機能な舞台セット
回って閉じて、また開く

火事のシーンは映像を駆使して大迫力
水のシーンなどは手動で工夫している

波紋法や腕が伸びるところの表現が
とっても面白い

観客の想像力を信頼してくれてる



ドーヴ・アチアさん作曲の
やや和テイストを感じる
耳なじみのよい音楽も素晴らしかった

初めて聞いたのになぜか耳に残る
ツボを知ってる方よね


伝説の騎士との対決シーンで登場した
大きな白い像は
日本のお祭りのねぶたの山車を連想

19世紀イギリスが舞台だけど
和風も意識してるのかなと感じた




ジョジョ役の松下優也さん
立ち姿がスッとして美しくお顔小さい
気品ある雰囲気がジョジョらしい


対するディオ役の宮野真守さん
マモ様の迫力ある存在感がすごい

いい子ぶってるとき
実の父親と対峙しているとき
悪の権化のようになってるとき
変幻自在の七色ボイス

フライング含めてアクションもよかった

舞台上では実際の炎を使ってるので
客席にいても暑いなぁと感じるほど
その状況でファー付きコートのマモ様
クールな表情を崩さない

これをシングルキャストで
やってのけるなんて常人じゃない


原作でもミュージカルでも
主役はジョジョなのかもしれない

でも私にはディオも主役に思えた

ジョジョとディオは光と影
切り離せない

ディオが魅力的だからより楽しめる

2人ともとてもかっこよかった



他の俳優さんたちはもちろん
アンサンブルの方々の動きがすごくて

例えば
ジョジョとツェペリの出会いのシーン

ジョジョを1人で肩の上にリフトする
方がいたように見えた

ほっそり見えても松下さんは180cm
そんなに軽いわけがない

そんなみなさまの活躍に支えられてる
素晴らしい舞台


できればもう1回観たいし
他の方にもすすめたいけど
大人気すぎてチケット完売

私はなんとかとれたけど2階席
でも2列目で通路脇だったので
結構観やすかった

まわりから聞こえてきた会話だと
原作ファンで初ミュージカルという人も
結構いたっぽい
どうやってチケット取ったんですかね?


観客は若い男性が多いかと思いきや
小さなお子様から高齢の方まで
男女両方、多様性に満ちてた

まんべんなく人気があるってことかしら
すごい作品です



キャスト


ジョナサン・ジョースター:松下優也
英国貴族ジョースター家の一人息子で通称ジョジョ。〈謎の石仮面〉の闇の力を研究する

ディオ・ブランドー:宮野真守
スラム街出身で、両親の死後、ジョースター家の養子となる。ジョジョの宿命のライバル

エリナ・ペンドルトン:清水美依紗
ジョナサンの想い人。ディオとの死闘で負傷したジョジョを献身的に介抱する

スピードワゴン:YOUNG DAIS
貧民街の悪党だったが、ジョジョの高潔な魂に触れ、仲間となる

ウィル・A・ツェペリ:廣瀬友祐
〈謎の石仮面〉発掘隊唯一の生存者で、闇の力に対抗する〈波紋法〉をジョジョに伝授する

切り裂きジャック:河内大和
ロンドンに実在した殺人鬼。ディオの配下となりジョジョたちに襲い掛かる

ワンチェン:島田惇平
貧民街で暗躍する毒薬の密売人だったが、ディオの忠実な下僕となる

ダリオ・ブランドー:コング桑田
ディオの実父で小悪党。死の間際、ジョースター家に行くことをディオに薦める

ジョースター卿:別所哲也
誇り高き英国貴族でジョジョの父。ディオを養子として迎え入れる

 

 

クリエイティブ


原作:荒木飛呂彦
「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊)

演出・振付:長谷川 寧

音楽:ドーヴ・アチア

共同作曲:ロッド・ジャノワ

脚本・歌詞:元吉庸泰

 

 

上演時間

休憩入れて3時間半

 

 

あらすじ

この物語はメキシコから発掘された〈謎の石仮面〉にまつわる、2人の青年の数奇な運命を追う冒険譚

19世紀のイギリス

貴族一家の乗る馬車が崖から落ち、従者や妻は亡くなるが、夫であるジョースター卿(別所哲也)とその赤ちゃんは生き残った。通りがかって盗みを働いていたダリオ・ブランドー(コング桑田)を命の恩人と勘違いしたジョースター卿はダリオに感謝する。

12年後、赤ちゃんだった一人息子のジョナサン・ジョースター(松下優也)は、ジョジョの愛称で呼ばれ、本当の紳士になるため厳しく育てられていた。

命の恩人と勘違いされたダリオが病死し、その息子であるスラム街で生まれ育ったディオ・ブランドー(宮野真守)が、ジョースター家に養子として迎え入れられる。

2人は対等に育てられ逞しく成長していくが、ディオは、ジョジョの全てを奪おうと画策していた。
愛犬ダニーや友人たち、初恋の相手エリナ・ペンドルトン(清水美依紗)。

7年後、青年に成長した2人は協力して試合に勝ち、表面上は親しいように見える。しかしジョジョはディオを信じてないし、ディオはジョースター家の財産を狙い、ジョースター卿に毒を盛る。

ディオの邪悪な企みに気が付いたジョジョは、ロンドンの貧民街・食屍鬼街(オウガーストリート)に向かい、そこで仲間になったスピードワゴン(YOUNG DAIS)の協力を得て、解毒剤を手に入れ、ディオの陰謀に加担したワンチェン(島田惇平)を連れて屋敷に戻る。

絶体絶命となったディオは、ジョースター家に飾られている、闇の力を持つ〈謎の石仮面〉を利用し、半不死身な魔物となる。ディオから攻撃されたジョジョを守ろうとし、ジョースター卿は亡くなってしまい、ジョースター家は火事で灰と化す。

一命をとりとめたジョジョを手厚く看病してくれたのは、7年前インドに行ってしまったエリナだった。

圧倒的な力を手にしたディオに対抗するため、ジョジョは〈謎の石仮面〉を追い続けるウィル・A・ツェペリ(廣瀬友祐)の厳しい修行に耐えて〈波紋法〉を体得し、スピードワゴンとともにディオとの決着をつける旅に出る。

一方、ディオは切り裂きジャック(河内大和)や伝説の騎士たちなどを従え、ジョジョを待つ。
激しい戦いの末ツェペリは亡くなるも、ジョジョはなんとかディオを倒す。

翌年ジョジョはエリナと結婚し新婚旅行のために客船に乗り込む。
その船に、実はまだ生きていたディオが乗っていた。
死闘の末、船を爆破しジョジョもディオも消える。
エリナだけ近くで泣いてた赤ちゃんを抱いて船から逃れて生き残る。