先日
20年以上大好きな松たか子さんと
最近好きになった広瀬すずちゃんの
舞台を観てきました
先行抽選で外れて
二次抽選でなんとか手に入れたチケット
野田地図はいつも難しいので
やや身構えながら
面白かった
とても興奮してます
※ネタバレあり 閲覧注意※
思いのたけを勝手に綴ってます
全部個人的解釈と感想です
敬称略です
QUEENの
"LOVE OF MY LIFE"が頭の中から離れない
やっぱり野田秀樹は天才だ
QUEENの曲をモチーフに
ロミオとジュリエットを
源氏と平家の戦いに置換え
シベリア抑留に繋げていく
見ている間は
これまでみた野田地図の舞台の中で
初めてわかりやすいと感じた
私が進化しているのか
野田さんが民衆に歩み寄ってきたのか
しかし、、、
やはり一筋縄ではいかない
わかりやすい展開の奥に
詰め込まれたたくさんのメッセージ
全て受け止められたのか自信がない
一度観ただけでは消化しきれない
濃厚な舞台
15分の休憩をはさんで3時間の舞台
息するのも忘れて集中していた
あっという間だった
最後は涙腺崩壊
凛とした美しさで舞台を仕切る
安定感抜群の座長・松たか子
(もしかして座長は野田さんなのかな?)
包み込むような優しい声に導かれて
物語の世界へと吸い込まれる
ハジケる若さと美貌で
舞台に華を添える広瀬すず
はずむ肉体、張りのある声
初舞台だけど
なんの不安もなく見ていられた
ジュリエに尻に敷かれる
やや情けない感じのロウミオ
悲哀の中にもユーモアを感じさせる
上川隆也
一目で恋に落ちるのも納得の
端正で美しい志尊淳
迫力の怪演で脇を支える
竹中直人、橋本さとし、羽野晶紀
存在感の重さがハンパない
この3人がより一層Kabuki的
みな軽やかでしなやかな身のこなし
まるで重力がないかのよう
マシンガンのような早口と膨大なセリフ量
声量も要求される
きっと俳優さんにとってはかなり過酷な舞台
そして随所で効果的に使われる
QUEENの音楽
俳優のセリフの代わりに
ストーリーを語ったりして
フレディの声が迫ってくる
とてつもないギフトをいただいた気持ちです
◆感想
これは単なる悲恋の物語ではなく
戦争の悲惨さを訴えている
浅利慶太のミュージカル
「異国の丘」を思い出す
あれは本当に暗かった
また観たいとは思えない
ポップな言葉遊びと
Kabuki的なスタイリッシュな衣装と
美しい俳優陣で
重いテーマをオブラートに包みながら
「逆鱗」で回天を描いたときのように
野田さんは舞台をとおして
戦争を知らない世代に
忘れてはいけない歴史を
教えようとしている
シベリアに眠るたくさんの
「無名」の兵士への鎮魂歌
いや「無名」の兵士の魂の叫びの代弁
彼らにも名前はあったのだ
「無名」などと言ってはいけない
「ロミオとジュリエット」の名セリフが伏線
ああ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの
お父様と縁を切り、その名を捨てて
それが無理なら
せめて私を愛すると誓って
そうすれば、私はキャピュレットの
名を捨てましょう
でも名前は捨ててはいけないんだ
シベリアで
「名もなく」死んでいった彼らにも
伝えたい愛があったのだ
竹中演じる凡太郎が
30年もの長い間
ジュリエに伝えることを迷っていた
ロウミオの手紙
もう、あなたを愛してはいない
極寒の地で、寒さと飢えで
あなたを愛する力が残っていない
どうかもう一度
私にあなたを愛する力をください
尼寺で待ち続けたジュリエ
帰ることができずに
彼の地で朽ちてしまったロウミオ
こんな恋人たちが
あの時代にいったいどれほどいたのか
一番印象に残ったシーンは
面影ロウミオ(志尊)に抱きしめられた
面影ジュリエ(すず)は極上の笑顔
若い恋人たちのもっとも幸せな瞬間
すずが松たかに代わっても
面影ロウミオ(志尊)に抱きしめられた
松たかもステキな笑顔
若い頃の幸せな時間を思い出しているのか
志尊が上川に代わり
ロウミオ(上川)に抱きしめられた
ジュリエ(松たか)
笑顔だった松たかは泣き笑い
いや、泣いている
結局この2人は
愛し合えたのは5日間だけ
その後
野戦病院でのわずか432秒の再会
その後は
2度と再会することは叶わなかった
5日間の短い恋の後の
長い長いお互いの日々を思っての涙なのか
再会することは叶わなかったけど
お互いを思う愛は伝わっていたようにも思う
悲しい結末の中のかすかな希望
思うことが色々ありすぎて
舞台を観た夜はなかなか眠れなかった
とりあえず当日券と振替公演の
チケット抽選申し込んでみた
はたしてもう1回見れるのか
◆主なキャスト◆
それからの愁里愛(ジュリエ):松たか子
それからの瑯壬生(ロウミオ):上川隆也
源の愁里愛(ジュリエ)、面影:広瀬すず
平の瑯壬生(ロウミオ)、面影:志尊淳
平清盛、平の凡太郎:竹中直人
源義仲、頼朝、法皇、平のこけおどし:橋本さとし
ジュリエの母、ロウミオの母、マザーッテルサ:羽野晶紀
ジュリエの乳母Uber:野田秀樹
◆あらすじ◆
シェイクスピアの名作
「ロミオとジュリエット」を
12世紀の日本に置き換え
源氏と平家の争いに翻弄される
ジュリエとロウミオの悲恋の物語
実は死んでいなかった2人が
未来からやってきて
悲劇の運命を変えようと奮闘する
しかしやはり悲劇は起こってしまう
友人の水銀を殺した源義仲を
ロウミオが殺してしまう
都から追放されるロウミオ
どうにかしようともがく2人と
それからのジュリエ
なぜ運命は変えられなかったのか?
いや、運命は変えられた
でも別の運命に巻き込まれてしまったのだ
戦争という運命に
2人の心中の後
誰よりも平和を願ったロウミオのために
清盛は源氏との戦いをやめる
若い2人の死を悼んで
金の銅像が造られる
しばらくして2人は生き返る
しかし
心中の片割れだけが生き返ったことが
知られてはいけないと
どちらも外出を禁止される
お互いが生き返ったことを知ることもなく
ジュリエの墓に行きたくても
許されないロウミオは
外に出たくて
ロウミオの名を捨て
「平のへいへい」と名乗り
一兵卒として戦地へ行く
一方ジュリエも
ロウミオの墓に行くことは許されず
政略結婚を強いられるが
受け入れず
「尼寺へ行け」と言われ
尼寺へ行くとそこは野戦病院だった
平清盛は突然倒れてあの世に
流されていた源頼朝が帰ってくる
壇ノ浦の戦いで
安徳天皇の入水により
戦争は終結
捕まって殺されかけたロウミオは
すんでのところでマザーッテルサに
命を助けられる
しかしロウミオは目が見えなくなっていた
野戦病院で敵方を含め
収容された兵士の看病をするジュリエたち
そこには盲となったロウミオもいた
頼朝の命令により
ロウミオの首実験が始まる
連れてこられた乳母とジュリエが
兵士一人一人の顔を確認させられる
そしてついにロウミオが連れてこられた
「違います!」と叫び
そっとロウミオの手を握るジュリエ
目の見えないロウミオも
ジュリエの気配を感じる
でも名乗りあったら
ロウミオは殺されてしまう
束の間の再会
わずか432秒
ジュリエは鎌倉に連れ戻されてしまう
都へ帰れると信じたロウミオは
騙されてスベリアへ送られてしまう
極寒の地で待っていたのは
過酷な労働、わずかな食糧
いくら手紙を書いても
届けられることはなかった
x年後
源頼朝の死により恩赦があるが
名簿に「平のへいへい」はなく
ロウミオは帰れない
ロウミオの手紙を暗記して
都に帰った凡太郎は
30年後
七里ガ浜の尼寺で待つ
ジュリエのもとを訪ねる
(私の曖昧な記憶に基づいているので違うかも)