100歳を迎え様とするピアノも(最近のモノよりも)キチンとしたOHを行えば元気です!(あと50年は…もしかすると100年保つ‼︎かも) 最高、最良の材料を持って作られて居たからです。

 

大阪吹田市 うたまくらピアノ工房

 時代を語るピアノの響き(コンサート)で

ED.SEILER のOH 完成のお披露目が有りました。

 

ED.SEILER 125  エドワード・サイラー 

 

初代の時から工房にデザイナーの有するピアノメーカーなので

優美さのなかに 現代的なシャープさと 当時としては大胆な色合い

(再塗装済ですが・・・)なかなか凝ったデザインになっています。

 

 

 鍵盤蓋を閉めると(普通の⁉︎)黒塗りのピアノ

1927年 ドイツ領リーグニッツ製(ポーランド名;レグニーサ)

 神奈川県や東京 そして 京都・大阪・兵庫・岡山県では 

割合有名で 古くから輸入されていました。

この楽器は丹後篠山市の小学校子供達に是非 本物の響きを…と

寄付されたものです。日本一湿度の高い町とも言われ、80年の歳月で内部のアクション

湿度の影響で壊れて、もう古いという事で破棄されてしまうものを救出⁉︎しました。

 

写真では見づらいですが 鍵盤下の足も透かし彫り型で

凝った造りです。    

鍵盤蓋の内側のみ艶出し木目のマドローナモデル

 

兵庫・岡山県では婦人連(主に医者の奥様)から 田舎の地域の学校へ

ピアノのプレゼント(寄贈)で浜松製よりも やはり本物をと選ばれていた

ようです(当時1000円位で家が建つ頃2000円程していました;

国産のアップライトピアノでも500円、東京製は800円位) 

戦後は神奈川県に輸入代理店があったのと1922年東京万博でゴールド

メダル受賞で、関東 東京・神奈川では割合売れていた

ドイツ製(土地はドイツ領ポーランド)のピアノです。

 

ドイツ領ポーランドのレグニーサの工場は戦後没収され 10年ほど

デンマークのコペンハーゲンに移って製造。その後1960年代には

南ドイツのキッチンゲンに近代的な工場を建設して今に至る。

 

                                           

音は 明るくて柔らかで軽やかなタッチ・・・国産で柔らかな音を求めると

モコモコした暗い音でタッチも鈍い明るい音だと・・・国産ではキンキンした金属的な音・・・と なかなか こう言う音のピアノは有りません。   

低音は太くて豊かに響きます・・・やはり欧州製のピアノの音です。

ザイラーの特質でもありますがバッハが良いです・・・モーツアルト 

ベートーヴェン~シューマン・・・ポーランドの血が混ざるから?

・・・思いのほかショパンが良いです(特にマヅルカは)…この楽器の

生まれた土地は元ポーランド・・純ドイツ製のピアノよりも良いのかも。 

 

特別製の鉄骨 1922年Tokio万博で

ゴールドメダル受賞記念モデル

 (この鉄骨は現在中国製で国内輸入代理店の東洋ピアノが調整するものにコピーされて居ますが、やはりドイツ製では無いので精度がイマイチてす)

image

鉄骨に刻まれて 数々の受賞歴;地名と メダルこういう精緻な 

鋳造鉄骨が造れることも 技術の高さを提示。

1922年 TOKIO 東京でゴールドメダルと有ります。その効果?

その後に、日本にも輸入された特別モデルの様です。

(国内で同時代の同サイズを他に2台見た方が有りますが、

ザイラーのエンブレムのみの普通の鉄骨でした。)

 

 

修理担当 utamakura_piano_atelier のInstagramから

本体分解をして精度の高い鋳造鉄骨が現れました。

駒ピンの交換 

 

 

低音部駒の剥がれ修理

 

 響鳴板の割れの修理

 

戦前は結構国内に輸入されていました。

そのなかでも特別バージョンのピアノに使用されたものでしょうか。

1923年製で普通の鉄骨のザイラーを弾いたことがありますから・・・・。 

 

ペダルアクションも 浜松のアポロ;東洋ピアノにて現在のものに

造り替えたもの再度構築。ザイラーのペダルアクションは 木材の摩擦と

梃子の応用だけの特殊なペダルシステムだたのでその踏み心地が 

今のものとは かなり違って慣れが必要。逆にザイラーの当時のペダル

に慣れてしまうと、現代のペダルでは踏みにくくなってしまうので 

現行品と同じ今のペダルアクションに交換。

 

 

ザイラーの数々の工夫のうちの一つ

・・・ザイラーのヴァイオリンテクニック

 グロトリアン-スタインヴィッヒにはバイオリンの胴体を真似たバイオリンテクニックが有りました。

この時代のザイラーでは響鳴板のエッジを オールドヴァイオリンのエッジの様に外周を少し

削ってあります;写真右端 ザイラーが模倣したのは ヴァイオリンの名器アマティーです。

ストラディバリ ガルネリに比べて 音量は劣るともいわれますが 室内楽には秀逸と

言われる アマティーの表板の エッジの形状を取り入れて 丸い音を目指しています。

(現在もGPには採用されています)室内楽には最高と言われる

バイオリンのアマティーの外構造をピアノの響鳴板にと入れたのがザイラーのバイオリンテクニックです。グロトリアン同様に 丸い響きを目指す工夫です。

 

グロトリアン スタインヴィッヒはヴァイオリンの胴体を真似た胴体付きの

響鳴板、ザイラーはエッジの形状を真似て その響きの再現に努めています。

尖ったエッジ部は響きの乱反射で音質を汚くする為。

それがピアノ的な不協和な協和とも言えますが、グロトリアン ザイラー は 

丸い弦の響き;ピアノも弦楽器であると主張するように 手間の掛かる

作業を響鳴板の製作にも取り入れています。

 

ザイラーの響鳴板の 削り方は 後のイタリアの手創りの名器

 タローネにも採用されています‼︎

 

参考:YouTubeリンク

 

 

 

こちらは中国工場部品使用の 販売国 現地組み立て品のSEILER 価格はドイツ製の1/2強~

 

 

本器の響きです 9年前の響き

 今回のOH前の響きです。

 

現在 大阪吹田市にて オリジナルを生かしたOH 完了展示してあります。

 ご試弾等 問い合わせください。ブログ「ごあいさつ」下に連絡先明記あります。

 

趣味が高じた 蓄音機 SP盤の販売へ | klavierhaus2000のブログ (ameblo.jp)

 

 

 

 

 

過去に販売しました SEILERです。

戦後 西ドイツ マイン川沿いのキッチンゲンにて創業以降は、

普通のドイツのピアノになっていますが・・・。(共にお嫁入済みです)

  

1974&1970年製 高さ110cmのチッペンデール猫足