ED.SEILER 126,  1927年に日本の兵庫県篠山へ

 当時の黒艶塗装は10回以上ラッカーを塗って艶を出しています。彫刻の部分の少しくすんだ色がオリジナル。他は薄く塗装面を剥がしてからポリッシャーで磨き直して艶を戻しています。現在の傷の付きにくい強化ポリエステルの艶塗装にすると無垢板の上にプラスチックを貼る様な事となり、楽器としての振動を阻害してしまいます。


バッハ プレリュードハ長調 YouTubeから

 2026.6.16 再整備調律を施しました。



鍵盤蓋の内側の木目の美しい

鍵盤下の脚のデザインも凝っています。

当時は黒塗りも木目外装も同じ木材で作られていましたので全体をこの木目に改装する事も可能。

 

 ショパン ノクターン 作品9-2,

 2026.6.16 調律済み


 天板の内側の豪華なエンブレム 100年前のまま

SEILERの下にはドイツ帝国の紋章… 赤白のエンブレムはオーストリア帝国 ブルーの方がドイツ帝国のもの。オーストリア & ドイツ帝国内 リーグニッツ製(現ポーランド国内にて製造)

皇帝御用達という事でこの紋章使用が許された。

19世紀末のC.BECHSTEINの鍵盤蓋の内側にも

金色のこのエンブレムが有ります。(ベーゼンドルファーにはオーストリアの紋章が)


 この鋳造鉄骨の製造技術の高さは凄い!

チューニングピンの周りも同色ですが、1/3プレートと呼ばれる板剥き出し(総アグラフのBECHSTEINや旧型ベーゼンドルファーらと同じ。) 鉄骨風模様のある木目突き板にオリーブ系の塗装しています。(1970年代前半の110型も同様でした)

チューニングピンを直にピン板に打ち込む構造、

100年経っていますが、ピン板割れは起きず、今もA=442Hz の調律が維持出来ています。(前回調律は2025.5.11でしたので 1年持ちました…というか ピッチは下がらず、冬場は高音域のピッチは寧ろ上がっていました。(梅雨の時期は中央だけピッチが少し高めとなり、その為 乱れたかな⁈の感覚は存ましたが…、)調律の保持は優秀です。



1922年TOKIO 万博ゴールドメダル🎖️受賞

1922年に東京万博でゴールドメダル受賞と1924年チューリンでの受賞が新しく刻印(その1924年はザイラーの創業75周年にも当たりこのjubilee鉄骨が作られた様です)


ED.SEILERは1849年(ショパンの亡くなった年に)ドイツのベルリンにて創業はSTEINWAY C.BECHSTEINの1853年よりも早い。後に主工場をLiegnitz に作りました。(現ポーランド国内)

三重県菰野にある ピアノ歴史博物館には1870年代のもので この鉄骨デザインに似たザイラーが修復中でした。

この特別製の鉄骨のザイラーは自身のと菰野の2台しか国内で見ていません。他は よく見かける普通の鉄骨のザイラーのUPを5台程みています。(千葉の知人の同年代のザイラーはマホガニー半艶塗装でしたが、鉄骨は普通の鉄骨でした。)

現在中国製のシルバーライン(東洋ピアノで最終調整をしたもの)の126の鉄骨はこのザイラーのコピー鉄骨でしたが、鋳造鉄骨の製造技術が低くて 文字やメダルの凹凸も不明瞭で かえってチープに感じられるものでした。



 イタリアの作曲家 マスカーニも愛用しており

彼を代表するオペラ カバレリア ルスティカーナは ザイラーを 使って作曲されたそうです。



オリジナルのアクションは日本一湿度が高いと言われていた丹後篠山市に久しく在ったので痛みが激しくて 国産浜松製に総交換しています。

↓消音フェルトはドイツヤーン社製(レバー式)


国産斎藤アクション
今出川ハンマー

NY STEINWAYタイプ…柔らかなフェルトの卵型の後方は硬化剤を塗るアメリカ式



鉄骨に126 1X  鋳型1号より製造

響鳴板のエッジが凹型に削られている作り↑

ヴァイオリン🎻の名器アマティーの構造の模倣。

 こちらに持って来て7年程経ち 響鳴板に割れが出てしまい 一昨年全分解OHの修理に出しました。




柱は3枚合わせ構造 芯材は橅材 周りは松材

橅材は支える為 松材は音を全体に伝える為に

(この柱以外 外装材全て無垢板で作られています)

内側4本の柱には表側の鉄骨から鉄棒にて繋げられている構造(発明はS.STEINWAYですが、取り付け位置には違いが有ります)弦 鉄骨からの振動を楽器全体にいち早く伝える為の構造。国産ピアノにも採用されていますが、柱4本全ては珍しい。 画像左寄り中央の柱と鉄棒の接続には金属プレートを介して取り付けて有り、スタインウェイのGPサウンドベル構造や K130のup の構造に近い(ギリギリ特許侵害にはならない構造⁈…スタインウェイの場合は柱の左横(松材)に拍子木の様になって別付けされています。ザイラーは松材の柱の端に取り付けられています)

(響鳴板にも◯穴が必要で手間が掛かります…画像拡大してみて頂くと分かりやすいかと)

 

ザイラーは日本国内ではそれ程有名なメーカーでは無いのですが、当時は東京万博でゴールドメダル獲得していますので、輸入代理店のあった東京→神奈川では 見かける銘柄です。また岡山県付近でも数があります。(お医者様の奥様達のボランティア活動…ロータリークラブの様な…で、本物の楽器の音を子供達へと 寄贈活動(主に 拠点地域の小学校の講堂に寄付されたものが多く)

この楽器も そのうちの1台だった様です。

都内で庭付き一軒家2階3DK が凡そ1000円で購入出来た頃の 定価は2,000円程 今なら1億円⁈

 

 

 

参考 ED.SEILERの戦後GPの画像 エンブレム

 


 ザイラーの鉄骨

響鳴板のエッジを凹形に削るのは継承されていた様です。(戦後のup は時短で無くなりました)



響鳴板のエンブレム

ドイツ マイン州キッチンゲン 1957年工場建設1960年〜移転創業開始。ポーランド工場は東欧 共産国ポーランド建設時に没収されて、一時 デンマークのコペンハーゲンに移っていました。

 

現在は 浜松の東洋ピアノが輸入代理店となっていますが、純ドイツ製ゴールドラインは輸入されておらず、中国で作り最終調整を東洋ピアノで施したシルバーライン(ゴールドライン価格の1/2). と全て中国製造したブロンズライン(価格は1/3 )の輸入のみとなっています。

純ドイツ製のザイラーは1990年代でグロトリアン-スタインヴィッヒ(1838年創業)とケルンのKLAVIERHAUSでの販売価格が同額でした。ドイツの1級品ですが、スタインウェイ ベヒシュタインよりは1ランク下の価格帯になっていました。

ドイツ国内では2003年以降 ピアノ用木材の無期限伐採禁止の法律が施行され、チェコや中国〜ロシア国境の山の白松(ホワイトスプルース)材に頼っています。以降ドイツではピアノメーカーの半数が倒産してしまいました。(ブランド名を中国企業に買われて中国で作られているピアノも数有ります。) グロトリアンは昨年の1/31に倒産してしまいました) SEILERは中国への輸出(ドイツ製)が多かったので なんとか残っている様です。

 

過去ログへ…、