ベヒシュタインC型を弾くヴィルヘルム ケンプ

 

ジャケットの写真と中身は一致していない事も多いです!

スタインウェイを弾くケンプのジャケットの裏面は…1951/52年録音盤なので旧ソナタ全集からのドイツ廉価盤…ベヒシュタインを弾いています。 

 

ベヒシュタインE型の湾曲した鉄骨構造

 

ベートーヴェン ピアノソナタ第23番 熱情

 第一楽章 pf.W.ケンプ 1952年録音

  モノラル録音 盤が古いのでノイズ有ります

 

 音が良いと言われているグラモフォン旧レーベル

ベヒシュタインジャケットシリーズの新ステレオ盤(初期60年代バラ売り)迄 黄色に青の縁取りがチューリップになっているので 通称チューリップレーベルと呼ばれている。(ペラジャケでLP盤が1,800円の頃迄のもの)

 

ベートーベン ピアノソナタ第21番

 ワルトシュタイン 第三楽章 pf.W.ケンプ

   1951年 モノラル録音

 

ベヒシュタインの旧E型らしさは トリルのコロコロいう感じの音が総アグラフの響き、鉄骨のセクションでそのアグラフの形も違っており(おおまかに低音バス弦用、中音域用、高音域用で高音域用が一番大きな真鍮製のアグラフが付いていた←80年代の新設計のEN280の画像ではあるが…)その為、アグラフの境目で微妙に音質が変わるのがベヒシュタインの特徴で、リストの曲の創りとも関連している。

例 愛の夢 や ためいき の作り…中音域にメロディーラインが…を引き立たせる役割。

(リストのワイマールの館にはベヒシュタインのコンサートグランドピアノがあり、リストはその開発助言者の1人でも有った) その点が、スタインウェイとの設計の違いに…。

 

 リストハウスのベヒシュタインの響き

 

 

ベヒシュタインEN 1980年代の新型

弦の前後は余計な響きを止める厚いフェルトがある。

総アグラフ 高音部…真鍮製の金具

 

現在のベヒシュタインのD型コンサートグランドピアノを含むGPはスタインウェイと同じく弦の後にアリコート(デュプレックススカラー)の共鳴装置が付いている。

 

次高音〜アグラフは無くなり、下から弦を押し上げるブリッジと鉄骨からのカポ ダストロ バーによって鋼鉄弦を上から押さえて鉄骨共鳴…、弦の前後に共鳴装置を配した設計に変更。(画像左下の中音域アグラフの形が高音域用とは違う事も分かるかと…)

 

 

 ベヒシュタインによる旧全集YouTube

 YouTubeで ベートーヴェン ピアノソナタ ケンプで検索すると、新旧の全集が出てきます。

 …全部聴くのは大変、と思う方には初期のソナタ第1番から10番辺り迄と後期の第28番〜がお薦めです…



ハンブルク スタインウェイによる新全集 

日本のコンサートでスタインウェイを弾く若き日のケンプ(モノラルLPのジャケットに!)日本人の撮影した映像がドイツ再販のジャケットに採用された。

 東京文化会館…(又は武蔵野音大⁇)←客員教授でもあり、学生達の勉強の為にと、音大のベートーベンホールにて演奏会も行なわれた。

1964年の録音なので スタインウェイを弾く新ベートーヴェンピアノソナタ全集からになります(ジャケット表紙はベヒシュタインを弾くケンプでした‼︎)新録音ではハンブルク スタインウェイを使用。

 

ベートーヴェン ピアノソナタ第10番ト長調

 第一楽章 pf.W. ケンプ 1964年録音

 (盤は初版でペラジャケットで1,800円でしたが、盤が厚く音質が良いです…古いのでノイズ多めです!)

 ケンプの新録音の三大ソナタはYouTubeでも聴けると思うので、(後に出た厚いカートン入りの全集(少し廉価)は盤も薄くなり、音も日本で再加工⁉︎された様で⁈…固くて冷たいスタインウェイの響きとなり、違った印象のベートーヴェン像のケンプの演奏に聴こえて、余り好きでは無いです)


 余り有名では無い⁈ソナタで、旧設計のハンブルク スタインウェイの豊かで重厚な響きが堪能できるかと、 〜1970年代迄はSTEINWAY 親子(& SONS)の長男で有り、音響物理学者でコンサートピアニストでも有った テオドール(セオドア)スタインウェイの設計による鉄骨のピアノを使用(製番50万台位迄) 世界最高のピアノを自負していたハンブルク スタインウェイの素晴らしい高音域の鳴り(カポ ダストロ バー デュプレックス スケール 鉄骨とバックポスト支柱を繋いで響きをケース全体に伝えるベルサウンドシステム)からなる豊かで朗らかな響き。

 pf. W.ケンプ ピアノはハンブルク スタインウェイ使用

 

ドイツでのモノラル廉価盤はPポリドールレーベルでは無く、Hヘリオドールレーベルです!

 

 

 

 

 参考、ヴィルヘルム バックハウスはベーゼンドルファーインペリアルでソナタ全集

を 新旧やはり2回録音しています。

 (ハンマークラフィアソナタのみ旧モノラル録音から…全録音完成前にバックハウスは亡くなられた為に)※バックハウスの西ドイツ テルデック社で録音した3大ソナタはベヒシュタインで録音している(ステレオ録音) ので、DECCA (London)レーベルのLP盤がベーゼンドルファー使用。

 
 
 

 

…tea time…☕︎

ベヒシュタインを潰したのは アメリカの計画的な…、

戦前はピアノと言えばベヒシュタイン、ブリュートナーで日本でもスタインウェイは余り入って居ませんでした。第二次世界大戦でドイツは壊滅的な被害に…。当時のアメリカ軍の使う地図にはアメリカ資本のドイツ工場には 印が付いていて(爆撃をさけろ!) と言う…つまり、NY本社のハンブルク スタインウェイは 製造部は一部破壊も有りましたが、木材倉庫は丸ごと残っていました。

ベヒシュタインやブリュートナーの工場は粉々に壊されました。 戦後いち早くピアノ製造を再開したのがスタインウェイであり、ベヒシュタインは大切な初代カール ベヒシュタインの作った設計図面も全て焼けてしまいました。生き残った製造員の中でコンサートグランド担当者で設計図の数値を 細かく(空で)覚えていたひとが居り、それを頼りで製造再開しましたが、(つまり戦後はコピーベヒシュタインやコピーブリュートナーとなって、音質が変わった…共に設計は初代のもので、1900年頃には完成して居た)さらに東西ドイツの壁の問題も起こり、ベルリン本社のベヒシュタインは再開が遅れました。ライプツィヒのブリュートナーは東ドイツに組み入れられ、工場地は没収となり、以降は国営デムッサ公団で製造を取り扱う事がベルリンの壁の崩壊迄続きました。ベヒシュタインには古典的な香りが、ブリュートナーにはロマンティック(ロマン派の音楽に向いた響きが) 一番設計の新しく(1930年代に設計の完成した)現代的な響きのするスタインウェイが戦後は世界に君臨する事になりました。そのスタインウェイも今はコーン セルマーカンパニーの一部として利益追求の為にコストダウン化がされてから2つ目の改良(改悪!)鉄骨となった。

 

鉄のカーテン ソビエトの音楽天才教育とドイツ製のピアノ

戦後、ピアノコンクールを圧巻していたのはソ連のモスクワ音楽院派のピアニストでした。

戦後のドサクサにロシア軍はドイツから文化材、

焼け残って使えるピアノは(脚とペダルはロシアでも作れるので) 脚とペダルは剥いだ、ベヒシュタインやブリュートナーのグランドピアノの本体のみを台車の上に重ねてロシア迄運びました。その為、モスクワ音楽院にはドイツ以上に優秀なピアノ、ベヒシュタインやブリュートナーが有り、そのピアノでの英才教育、ソ連圏で最高のピアノと言われたエストニア(🇪🇪エストニア国製)も組み入れ、芸術文化でヨーロッパ圏に勝ち続けていました。

ソビエト製のアップライトピアノは国内にも中古で〜20万円位で小型を見る事が有りますが、外装は木目の突板が剥がれている事が多く(接着剤が悪い) ピアノに使われているフェルトも品質が悪く(欧州製は高くて輸入困難)酷いピアノが多いです。(主に80年代のピアノブーム〜ソビエト崩壊時期に輸入されました)

東欧圏の中で品質が何とか保たれたのは東ドイツのブリュートナー、アウグスト フェルスター 、チェコのペトロフ とエストニア(現在も作られて居て主に中国、アメリカに輸出されている)

 

文化の破壊が他民族を支配する…がヨーロッパ世界で永く繰り広げられてきた歴史。

アメリカも例外では無く、唯一の例外は日本の京都の破壊は留まった事。日本人の性格、性質から京都、奈良の文化遺産の破壊は長く怨恨を残す…と言う判断から。

ベヒシュタイン及び破壊された街、西ベルリンではいち早くアメリカ化されて、近代的なビルが建ち並び、ベルリンドイツ語と言われる英語化…、例 フ(ル)ロイデ シェーネル ゲッテル フンケン→フロイデ シェーナー ゲッター フンケン…と、文化(言語)を支配する事が国を支配する…を実践。(英語を第二言語とされて居ないのも敗戦国で日本だけ?)