モーツァルト バイオリンソナタ第30.33.35番
1972年ウィーンでの録音
Vn. D.オイストラフ
チャイコフスキーのバイオリンコンチェルトやチゴイネルワイゼンで聴く、強靭な響きと オイストラフ節 …を想像すると 肩透かしに合います。
オイストラフのバイオリンの響きは健在ですが、
優しさ、慈愛に満ちたモーツァルトのバイオリンソナタ集です。
pf. P.B. スコダ(ベーゼンドルファー使用)
ピアノはウィーンでの録音なので、ムジークファラインの建物に本店のあるベーゼンドルファーのインペリアル290の旧型(97鍵あるうちの重低音の8鍵に黒い蓋を被せる)使用だと思われる。
モーツァルト バイオリンソナタ第35番Kv.379
Ⅰ. adagio
6L6GB真空管パワー・アンプは何時ものですが…
バイオリンの響きに⁇でしたので今回は真空管を替え
左球をSYLVANIA 6L6WGBに替えての視聴。サイズは小さくなりますが、
緑色の軍用高信頼管になります。
モーツァルト バイオリンソナタ第35番Kv.379
Ⅰ. adagio
オイストラフの押しの強さは後退して、慈愛に満ちたモーツァルトの演奏です。
繊細なバイオリンの響きの再生を得意とします。
(盤によっては神経質な響きに聴こえることも…)
モーツァルト バイオリンソナタ第35番
Ⅱ andantino
モーツァルトからの愛と勇気を…。
今回のCDの再生に このSYLVANIA球は良いです。
少し癖っぽいオイストラフのバイオリンもその点が若干スポイルされる感じで…、ピアノの響き、高音域にも軽やかさ.歯切れ良さ.華やかさが感じられて…。
自身が生で聴いた〜80年頃のベーゼンドルファーは
東京では渋谷の東邦生命ホールの275 、青山タワーホールの275で共に旧型のベーゼンドルファーでは有るが、東邦生命ホールのはタッチが重く、高音域がハガネの音のするピアノ。ホールと言っても多目的、社員研修、選挙の時の演説会場の為の⁈
(当時の田舎の市民会館同様にデッドな響き)
青山タワーホール自体は良く響くホールなので、それに合わせた調整で有るのと、逆に音が全体にモコモコする…と音色差が有り過ぎました。(低音域がモヤつき易いとも、モタつくとも言われます)
上野の東京文化会館にも275が有ったらしいですが、宣伝も無く、殆どコンサートでも使われない存在でした。
…と記しましたのは、前のブログの ロストロボーヴィッチとリヒテルのベートーヴェンのチェロソナタの旧ソ連録音のリヒテルの弾くピアノの音が特定出来ていなかったこと…。
この盤と比較する限りでは、リヒテルのピアノは旧型のベーゼンドルファーらしいと言う事です。細かなパッセージをあれだけ正確にそして美しく、時に軽やかに響かせて弾くリヒテルのテクニックは凄いの一言です‼︎ (前ブログからYouTubeで演奏の音が聴けます)
比較しては申し訳ないですが、スコダの弾くモーツァルトの16分音符の音の粒、細かなパッセージ等は音型が揃っていなくて…、(ややゴツゴツした感じ)旧型の
ベーゼンドルファーで弾くと大概がそうなり易いですが、ふわ〜っとした響きが音に纏わりつくので、それ程目立た無いというか、それも一つの個性として響きます。(人間的とも声楽的とも言われます)
リヒテルの高音域の細かなパッセージの均一性、明快さはベヒシュタインの総アグラフのピアノの響きを思わせました。唯、低音域での左右の手による二重奏時にバス弦の響きに92鍵97鍵⁈ の独特の響き方を感じて…ベーゼンドルファー⁇ と思ったり、リヒテルの強靭な指なら難なくベヒシュタインからでも、その響きは出せる⁈ 録音機材に使われる真空管も、良い意味で音楽の響きを美しく昇華させるので…。
今回このウィーンで1972年に録音したCDは当時の最高のベーゼンドルファーの響きを収めてある筈なので…。
宮沢 明子さんの言葉を借りると、弱音はしっとりとして美しく、低音は深い響きを待っている。ただ、しっかりした指を持って弾かいないと、ピアノに肩透かしを食わされる…と。
pを弾く時には軽やかなのですが、しっかりしたf ff を出そうとすると指に負担を感じる…高音域は細くカリカリした響きとなり、良く鋼ハガネの音のするピアノと言っていました。音楽ホールとしては狭い青山タワーホール(400人程)のキャパの為が 柔らかく美しいが、少しモワモワした響き。(日本の夏場の湿気に弱いピアノであるのは確かです。次にNY STEINWAYも同様に湿気が苦手です)