かつてはキングレコード(当時の製作はポリドールでした) 原盤製作は英デッカです。
現行のベヒシュタインのD型フルコンサートピアノでは無く、E 又は EN(エンペラー.ノワール)の280cm使用
録音に使われたベヒシュタインはロンドンでの録音なので、当時の新作のENでは無く、旧型のEの可能性も考えられます。
ロンドンのオケは弦のピッチの甘さが有り、それが独特の響き、広がりを感じさせるのも事実です。力強いオケでは無く、音の広がるオーケストラと一つ一つの音が明確な(凝縮された)ベヒシュタインの響きとの対比が、ピアノの音を美しく感じさせます。
第一楽章のピアノソロのカデンンツから
ホルヘ ボレ(ボレット)は、アメリカでは最後のヴィルトゥオーゾとも呼ばれていて、リストのピアノ曲全集のレコーディングが有名で(デジタルの再録音はベヒシュタインを使用して…未完成のうちに亡くなりました)
1962年から88年迄、ベヒシュタイン社は米ボールドウィン社の傘下に有り、ボールドウィンのアーチストだった彼は、カナダ ヨーロッパ等ではベヒシュタインのピアノを弾く事となった。(アメリカでのライブ録音盤はボールドウィンのSD-10使用が多い)
ライナーノーツ(解説)の中に、ボレは第三協奏曲のラフマニノフ自身の演奏を最低でも12回聴いており、(壮大で繊細な作曲家本人の演奏から学んだ事の体現の為に)第三協奏曲を14歳の時に弾き始めてから8年間温めて、22歳になってからステージで演奏したそうです。
彼は普段は米ボールドウィンを弾いているので、少しボールドウィンっぽさも感じられるのと…当時のロンドンはコンサートピッチ A=441Hz と低めで、フランス.ドイツの443Hz(ベルリンフィル カラヤンの来日時は444Hz) よりも低く、弦テンションも少し低い為か、ベヒシュタインぽさが減少して感じられる…太く重厚な低音は間違いなくベヒシュタインの響きであり、カンカン鳴る高音域も総アグラフ仕様のベヒシュタインの響き方で有り…。ピッチの低さから 旧型E っぽく聴こえるのが (それも良さでも有り…)
当時の新作のEN はもっと最高音域が突き抜けてカンカン響いたので…、それがピッチの問題なのか?旧型Eの為なのかは分かりませんが…。クリスタル(水晶)の様な響きと喩えられた新型のENよりも、真珠を転がす様な…の喩えのE型っぽさを感じます。色で喩えると透明よりは銀色の輝きを…。
スタインウェイやYAMAHAとは明らか違う響き方。
(当時のKAWAII EX(年産2台)はショパン国際ピアノコンクールのワルシャワの1,500人程度のホールでは良い響きでしたが、大きなホール日本の響きの悪い大ホールでは鳴らない) のでそれ程、使われていなかった。
KAWAIのEXの発表の時、(確か中道郁代さん?)水戸の市民会館 800人程へKAWAIがピアノを運んでEXを弾くと言うので、当日、水戸迄行き(無事チケットも未だ有って)聴いた時に、キャパ1,000人を超えない少しデッドなホールでは大変美しい響きに聴こえ、中ホールに良く合うピアノだなぁと思いました。その後、近くの旧 所沢市民会館や川口リリアのパイプオルガンのある中ホールにEXが納入されました。
このCDでは、旧型のベヒシュタインの美しい響きが堪能出来るのは事実で、
スタインウェイは鉄骨共鳴を使って音がポオーーンと響きますが、当時のベヒシュタインは鉄骨共鳴は廃しているので、ポォォ〜〜ン と少し頭でっかちに、そして若干のヴィブラートを伴って響きます。但し音の伸びは素晴らしいです。細かな音符の多いリストの曲が美しく響く様な設計で有るのです。
音を数字で表すと、A=440Hzの1オクターブ上の振動数は880Hzと2倍になるのですが、当時のベヒシュタインの弦割り設計では 882Hzと2振動分が高め(広め)に計算されていて、その分の音の揺れが人の声の様でも有り、1秒間に2回のヴィヴラートを生みます。当時、東西の両横綱と言われた、東ドイツのブリュートナーには4つ目の共鳴弦が1オクターヴ上又は同音に調律して有るので、オクターブは正しく調律されていないと困る事になります。(オクターブを弾いた時、上の音は共鳴弦を含めると3本+1+1の5本(2本の共鳴弦)が同音となり、ハンマーで打たれる弦を高めにすると
2本の共鳴弦との音の狂いが生じて音が汚く感じます。…と大変 面倒臭い事になるので、新設計のフルコンサートグランドピアノ1型の鉄骨は4つのセクションとなり(弦割り)の一番上の最高音域のみに同音の共鳴弦付きと変更されました。←かつては5セクションの鉄骨で、共鳴弦は第4セクションは1オクターヴ高い共鳴弦、第5セクションは同音の共鳴弦でした。(初代の設計に戻したのかも知れません)
当時 スタインウェイは金管楽器的な響き方、ベヒシュタインは木管楽器的な響き…とも言われました。
アンプ McIntosh MAC1900 CD💿はSONY
soundvoice SD-0.4 + SONY 平面ツィーター
12センチ四方の小さな箱に10cmフルレンジユニットが入っています。今は倒産してしまった、埼玉のアイデン製のスピーカーが入っているとのことです。
MARANTZ やAIWA クライスラー 他にOEMされていたスピーカー専門の会社でした。1980年代にBOSE101MM 11.5センチフルレンジ一発のモニタースピーカーの世界的な大ヒットに…同サイズから日本人の得意な小型化 10cmフルレンジや10cm2wayの小型モニタースピーカーが各社から相次いで発表された時代です。
上に乗せただけの簡易10cm2wayとしました。
SONYのAPM-X5Aより外したツィーターです。
こんな小さなスピーカーでオーケストラの再生は⁈とも思っていましたが、さすがMade in Japan ‼︎
大変綺麗な響きをだします。音量的にはBOSE101MMの適正音量(一般的な日本の部屋サイズでは大きめな)が
国内向けに、少しこぢんまりと纏められた感じですが、繊細で美しい澄んだ響きがします。フルレンジユニットは音像の定位は良いのですが、高音域の伸びが今一歩(メインとなる中音域の響きにスポイルされてしまう傾向がある)でしたが、SONY平面ツィーターユニットのお陰もあるかと思います。
80人の大編成のオーディオの響きの再生には少し無理があるサイズかと思いますが、ピアノ協奏曲の中の大編成、オケ40〜50人程度の再生は思いの外、良かったです。オケの弦楽器の分離は もう一息ですが(スピーカーサイズからしても仕方が無い)管楽器のソロの美しさと定位には素晴らしいものが在ります。
第一楽章の冒頭の響き
10cm2wayでは流石に重低音の再生は無理なので…、
+重低再生にBOSEのエクストラベースシステム(正式な名前忘れました) 両チャンネル入力してのモノラル再生なのですが、右チャンネルのみの入力にしています(オケのベースの位置、JAZZでも殆どの録音はウッドベースは右側)
オーケストラの様な大編成の再生では、自然と言うよりは作為的な響きを感じさせます。(それがBOSEらしさ、良さでも有るのですが…) (逆位相接続なので左ch寄りでも大丈夫)
第二楽章冒頭の響き 繊細で美しいベヒシュタインの中高音域の響きの再現
…逆位相接続の提案…。
このシステムで最初聴いた感想では、ボレの弾くベヒシュタインの響きは、美しいが全体的にオーケストラに埋もれぎみに…、良く言えば、LPやCDとは違う、生でホールで聴いた時(1階のS席でも ピアノの音はCDで、聴くよりピアノの音が小さく聴こえる…CDやTVのマイク録音に比べて)
ALTECの38センチのウーファーの3WAYの大きな箱のスピーカーでは、ベースのウーファーのみ逆位相接続されている機種があります。…それを思い出して、スピーカーコードの+と−を接続端子に逆に繋ぎました。
その結果 ベース音は奥に少し引っ込む感じになり(奥行き感が増し 深い響き、録音ホールのステージの奥行きが増してコントラバスとチェロが少し後ろにさがった感じで定位は少し曖昧になりますが) BOSE101MM フルレンジの定位はしっかりして、ピアノの響きがオケに埋れ無くなり、弱音でも良く聞き取れます。特に第二楽章のピアノのソロ部分は聴きものです! 多分、旧型と思われるベヒシュタインの美しい響きと(スタインウェイとは違う重低音の響き)叙情的なボレのピアノが素晴らしいです。
逆位相とは…スピーカーコードを正しく接続すると、音に対してスピーカーのコーン紙は前に+動いてから
下がる凸凹凸凹運動の繰り返しで音を発生させます。逆位相接続では凹凸凹凸とスピーカーがマイナス、凹側、後ろに先に動き音を作ります。その為、音が前に出るのでは無く、後ろに下がった印象に聴こえます。