中国と台湾企業(6/14) | sakoのブログ

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中国経済への大打撃は不可避•••「世界最大の貿易国」の根幹だった台湾企業が相次いで脱中国を決めた背景



中国の「貿易」は台湾という外資に支えられている。たとえば「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業で、中国本土の企業は4社に過ぎない。そんな台湾企業の中国脱出が増えつつある。なにが起きているのか。ジャーナリストの邱海涛さんの著書『中国の台湾武力統一が始まる』(徳間書店)より一部をお届けするーー。(第1回)


■中国で稼いでいる「両面人」

中国本土の人々が中台経済問題について話すとき、「両面人」という言葉をよく使う。


これは中国本土で大きく稼ぎつつ、台湾独立を支持して中台統一を妨害しようとする二面性をもつ台湾の商人を指す。


このような「両面人」は決して少なくなく、中国本土では重要な経済投資を考慮しつつ、これらの人物への対応に頭を悩ませている。


たとえば、台湾3大工業グループの一つ、遠東グループの創始者である徐有庠(じょゆうしょう)と息子の徐旭東(じょきょくとう)は典型的な「両面人」と見なされている。


徐有庠は江蘇省の生まれで、1949年、国民党が台湾に撤退した際、資産をもって台湾に渡った。台湾で遠東グループを設立し、紡績、エネルギー、化学製品、建材、金融、電信など多岐にわたる分野で事業を展開し、現在では大手企業グループの地位を確立している。


■台湾独立を目指す民進党支持に転じている

財を成した徐有庠は、国民党政権を支持し、多額の政治資金を提供してきた。


徐有庠は2000年に死去したが、会社の経営を受け継いだ息子の徐旭東はのちに台湾独立を目指す民進党支持に転じ、2020年には32人の民進党候補者に合計4100万台湾ドルの政治資金を提供したと報じられている。


■中国で嫌われている民進党

民進党は中国本土でもっとも嫌われている。


人前で冗談でも「民進党にも良い点がある」などと言ったら、売国奴と見なされるほどだ。


2021年11月、台湾遠東グループの中国法人に、行政管理部門から5億元近い罰金が科された。その理由として、経営上の不正があったとされるが、台湾では、中国政府による圧力だという声も少なくない。


■「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業

いうまでもないが、中国は世界最大の貿易国だ。


WTOによれば、2021年の中国の輸出入総額は6兆510億ドルで、アメリカを29%上回り、日本の4倍にもなる強さを示している。


だが、この結果には中国本土の台湾企業が大きく貢献している。


2020年の中国の対外貿易輸出金額ランキングでは、上位10社のうち、フォックスコン、ASUS、クアンタ・コンピュータなど6社が台湾企業で、残り4社はクァーウェイ、中国石油天然ガス集団有限公司などの中国本土系企業だった。



つまり、10位の半数以上が台湾企業なのだ。


輸出金額ランキング100位では、台湾企業の存在が一層際立つ。前記の企業に加え、英業達、仁宝など、全体の3分の1に相当する31社が台湾企業なのである


■中国ではかつて「外資=台湾企業」だった

中国の改革開放政策は、1978年に鄧小平が提唱し、1980年代以降、人民公社の解体などとともに本格的に推進された。


当時の経済状況は非常に厳しかった。6億5000万人の農民は、衣食には困らないものの、土地が極端に少なく、働く場所が不足していた。社会問題として余剰労働力の処遇が急務となった。


都市部では、破綻寸前の国営企業が人員削減を迫られ、リストラ対象の労働者は4000万人に達していた。これらの人々も就職先を探していた。


そんななか、台湾企業が本土に進出してきた。1980年代当時、外資企業といえば、おもに台湾企業のことを指していた。香港企業も存在したが、規模では台湾企業に及ばなかった。


日本企業やアメリカ企業など、ほかの外資が進出してきたのは90年代後半になってからだ。


■「同じ中国人」の共感を利用して成功した

台湾企業は、日本企業から学んだ生産や品質管理のノウハウを活かし、「同じ中国人」という共感や認識を利用しながら、中国本土でビジネスを成功させた。


当時(1990年代以降も含めて)、中国本土で名を馳せた台湾企業としては、フォックスコン(ファウンドリー)、ASUS(パソコン)、クアンタ・コンピュータ(パソコン)、英業達(パソコン)、友達光電(TFT-LCD)、奇美電子(TFT-LCD)、頂新(食品)、統一(食品)、宝成(スポーツ用品)などがある。


統計によると、1990年から2021年の間に、台湾企業8万社が中国本土で4万4577件のプロジェクトを実施、1940億ドルを投資し、8000万人の労働者を雇用した。


間接的な影響も含めると、台湾企業の進出により2億人以上が就職の機会を得たことになる。


これらのデータを見れば、改革開放初期に台湾企業が果たした経済的役割の重要性は明らかだろう。



■台湾企業の撤退が始まった

ところが、2008年頃から風向きが変わり、台湾企業は苦境に立たされるようになった。台湾企業は撤退を始め、次々と東南アジアやインドへ工場を移した。


そのおもな理由は次のようなものだ。


①労働力コストの増加。2007年に「中国労働契約法」が施行され、基本給が上昇し、福利厚生の基準も高まった。これは法律による強制実施であり、台湾企業にとっては製品コストの増加を意味した。1995年と比較して、コストは15倍に膨らんだ。

②外資企業に対する優遇税制の廃止。以前は外資企業の平均税率は13%だったが、新しい納税制度で本土系企業と同じ30%に引き上げられた。さらに、製品輸出時の税還付も17%から13%に引き下げられ、企業利益が減少した。


■6000社あった台湾企業が4000社に減少

③人民元の切り上げによる輸出取引コストの増加。

④インフレーションによるコスト増。原材料や燃料の購入価格指数は2003年から28ポイント上昇したが、工業製品出荷価格指数は0.8ポイントしか上がらず、利益が減少した。

⑤ビジネス拡大への制限。土地使用(工業用地)が厳しく制限され、環境保護対策も企業に課される審査項目となった。


これらの理由により、台湾企業の撤退が加速し、2015年にはピークに達した。


台湾企業が集中していた広東省東莞では、かつて6000社あった台湾企業が2015年には4000社に減少し、製造業を中心に、破産や海外移転で3分の1が消滅した。


とくに電子業界で破産した会社が多かった。


台湾当局の統計数字によると、1991年から2022年までの対中投資金額は2033億ドルで、31年間で平均年60億ドルである。しかし、2023年の対中投資金額は30億ドルにまで下がったという。



■「偽造品の横行」「企業技術の盗用」が問題に

台湾企業の破産や撤退によるトラブルは後を絶たなかった。企業が密かに工場売却を進めるなか、労働者たちがストライキを起こし、仕入れ先が支払いを求めて訪れるケースや、社長が夜逃げし、数千人の労働者が一夜にして失業する事態も発生した。


台湾人社長にとって、優遇税制の廃止や人民元の切り上げなどによる打撃に加え、増え続ける労働者のストライキも不安の一因となった。知的所有権の不備、偽造品の横行、企業技術の盗用も大きな問題だった。


さらに、ファーウェイ、レノボ、華星光電、京東方科技集団(BOE)など、中国本土の企業が国際競争力をつけ急成長してきたため、台湾企業のシェアが縮小した。


中華徴信所(CRIF)の調査では、2020年、有力な台湾企業1000社のうち、営業収入が前年比で増加した会社は半分に満たず、税引き前の利益も20%減少した。


■2509項目を輸入禁止にしていた

2023年4月、中国商務部は台湾の対中貿易制限措置に関する「貿易障壁」について正式に調査を開始した。対象は半導体、農産品、紡績製品、化学工業製品など2455項目に及んでいる。


2024年1月から調査の結果が少しずつ出ている。同年1月2日に「華夏経緯網」(中央政府系のサイト)は、中国商務部は長期間の調査を経て、台湾の対中貿易の制限措置をめぐる「貿易障壁」の事実があると認定したと報道した。



調査結果によると、台湾は大陸から農産品、卑金属および製品、紡績原料および製品などを含む2509項目にわたる産品と製品を輸入することを禁止しており、金額は44億8000万ドルに達している。


対抗措置として、大陸は台湾からプロピレン、パラキシレンなど12項目の商品を輸入する際、ECFAで優遇される税率の適用を中止する。


この対抗措置は、「台湾の化学工業にとって痛い打撃を与える」と大陸の有識者が言う。事態の推移によって、中国側は台湾側を相手取ってWTOに提訴することも考えているという。


「中台経済が共に繁栄する時代は終わった」という言葉が、いま双方の経済界で囁かれている。


https://news.livedoor.com/article/detail/26570181/


習近平時代が終わるまでに

動きがありそうですけど…