バスクラリネットソナタ / Luboš Sluka(ルボス・スルカ) | 国田健 -クラリネット・バスクラリネット覚え書き-

国田健 -クラリネット・バスクラリネット覚え書き-

オランダでクラリネットに加えて特にバスクラリネットの専門家として活動しています。また同時に日本のベンチャー音楽出版社ミューズ・プレスの一員としても活動しています!詳しいプロフィールは→https://ja.kenkunita.comからどうぞ!

今回はLuboš Slukaのバスクラリネットのソナタについてです。

 

これは初期に書かれたバスクラリネット曲の中でも自分のお気に入りの曲です。

前回、前々回と同様にチェコ人、彼らと同世代の作曲家、ホラーク関連の曲ですがこの曲はやや異なる雰囲気を持っています。この曲は素朴で、なにより美しいと思います。

 

スルカ(1928年、9月13日)はチェコのオポチュノの小さな町の生まれです。オポチュノは非常に自然が豊かな町で、彼は幼少期から合唱、演劇、オーケストラと様々な芸術に触れていました。曲中に感じられる素朴さは彼のこうした生い立ちが大きく関係しているとも言われています。

(写真はWikipediaより引用)

 

また第二次世界大戦後になって初めてロコフィエフ、ストラビンスキー、オネゲルなど、国外の作曲家の作品を初めて目にする機会を得ました。こうした出会いは彼の作風に大きく影響を与えたと言われています。1951年にはフランス6人組の一人、アルテュール・オネゲルの学生に選ばれ(パリ行きは政治的理由で中止となっている)、チェコ、ロシア、ポーランドなどで作品が入賞するなど国際的な活躍をしています。自分の知る限りではまだご存命のはずです。

 

肝心のバスクラリネットソナタですが、作曲されたのは1971年で同年に作曲されたファゴットソナタの編曲という形だったと思います。タイトルの上部にはプラハ音楽院時代の恩師である”Jaroslav Ridkyに宛てて”という記載があります。

 

 

曲の中間部にはホラークの指示で1オクターブ上げて吹いても良いという書き込みがありますがは自分はオリジナルの方が好きです。非常に素朴なメロディーと美しい和音が心にしみる曲だと思います。一音一音大切に吹きたくなる曲ですね。ちなみ2楽章もあるのですが自分は1楽章が好きで1楽章のみを抜粋で何回か演奏しています。

 

(2020年6月の演奏より)

 

また彼は他にバスクラリネットのための作品を残しています。

Sonata for bass clarinet and piano (1971)

D-S-C-H for bassclarinet and piano (1976)

Con animo for bassclarinet or violoncello and piano (1986)

Andante con moto for bassclarinet and piano (1989)

Songs and Ballads from Kladsko, for bass and piano (1984)

 

自分も全ての楽譜を持っているわけではないので、今後入手できるように調べてみようと思います!