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石油元売各社の3月19日から25日までの仕切価格は、イラン情勢悪化によりホルムズ海峡が封鎖状態にあることで原油価格が高止まりしていることを受けて、各社とも全油種・前週比+9.5円を打ち出している。一方で政府はガソリンなどの燃料油価格激変緩和対策事業を復活させ、30.2円を元売などに支給した結果、ガソリンと軽油の実質卸値は▲20.7円、灯油と重油は現在の定額引下げ措置5.0円の終了と差し引きで▲15.7円となる。
資源エネルギー庁の補助金算定に使用する原油価格については、中東のドバイ原油から北海のブレント原油に変更。元売各社も同様に指標原油を変更したもよう。ホルムズ海峡封鎖で日本に中東からの原油が今後、ほとんど入ってこないことをふまえたものとみられる。
なお、資源エネルギー庁が石油情報センターに委託しているレギュラーガソリン全国平均価格(消費税含む)は、3月16日現在1ℓ当たり190.8円(前週比+29.0円)と1990年8月の調査開始以来過去最高値となったが、実質卸値の大幅値下げを受けて今後は政府が目標とする170円に近づくものとみられる。
石油元売各社の仕切価格大幅値上げを受けて、全国の生協灯油の価格も順次価格改定が行われている。そのほとんどが2ケタの大幅値上げとなっており、寒冷地などではまだまだ需要期である中で厳しい状況となっている。
他方で政府は来週から新たな燃料油価格激変緩和措置を開始する。灯油は原稿の補助金5.0円を廃止して新たに石油情報センターの全国平均価格などをもとに計算した補助金を元売などに支給し、燃料油の小売価格を一定程度に抑制する。
灯油についてもガソリンと同額の補助金が適用され、小売価格の下落が見込まれている。このため生協灯油も徐々に値下げとなる見通しだが、イラン情勢は解決の糸口が見えず、日本をはじめ世界の原油需給に影響を及ぼすホルムズ海峡の封鎖が続いているため、灯油価格はしばらく高止まりする見方が強まっている。
コスモエネルギーホールディングス、戸田建設、パイロットコーポレーションは10日、都内で女性活躍をテーマとした交流イベント「KYOBASHI Internatonal Women's Day~世界を知り、自らを描く。3社で考える、一歩先のキャリアと未来」を開催した。同イベントは国際女性デー(3月8日)の時期にあわせて東京都中央区京橋に本社を置く3社共同で開催され、当日は3社の社長など幹部、社員などがオンラインを含めて参加した。
基調講演では認定NPO法人REALsの瀬谷ルミ子理事長が「紛争地の再建プロセスに見る女性の参画―社会と組織を動かす共通解」をテーマに講演。再建プロセスに女性が参画するポイントと企業活動にも共通する部分について説明した。
瀬谷氏はまず、紛争地の和平合意には国・地域間の合意だけでなく、背景には民間レベルの草の根外交や市民団体レベルの非公式外交があると説明したうえで、紛争地での課題解決(戦闘員の武装解除と社会復帰の支援、戦闘員に家族を殺されるなどした被害者がどう受け入れるか)が重要で、再建プロセスには女性や子どもが一定程度参画しないと、(男性は戦闘で死傷することが多いため)紛争で生き残った多くの人のニーズが反映されず、争いが起きてしまうなど「紛争地で平和を築くのは大変、壊れるのは一瞬」との認識を示した。
さらに瀬谷氏は、紛争地の再建プロセス成功のポイントになるいくつかの割合を提示しながら、3つのカテゴリと8つの階段として非参画(操作・動員、誘導的関与)、形式的関与(事後報告、意見聴取、代表的配置・懐柔)、真の参画(パートナーシップ、権限移譲、主体的コントロール)を挙げ、マイノリティの数が少ないと「目立とうとしている」などの批判が集まりがちで、個人の失敗がマイノリティ全体の失敗としてとらえられてしまうと説明。女性活躍の仕組みが整備されている企業においても、こうした周囲の誤解を避けるなどのマイノリティの存在をしっかりと守る取り組みが重要だとも指摘。こうした考えを応用すれば、テロなども未然に防ぐことができるようになると説明。平和の担い手である人を育成し、育成した人が問題解決のための仕組みやコミュニティ作りに参画し、社会を変えていくことが重要で、これは企業にも共通すると指摘した。
なお、後半のパネルディスカッションではコスモエネルギーホールディングスのルゾンカ典子常務執行役員CDOらが登壇。ルゾンカ氏は「真の参画を目指すには、自分ごととしてとらえ、自発的に向き合うかがポイントだ。当社がDX推進の行動指針に掲げているCosmo's 5C(Chance、Challenge、Change、Communicate、Commit)にも共通する」と強調した。
政府は、イラン情勢による原油価格急騰を受けて、来週から緊急的な燃料油価格激変緩和措置をスタートさせる。ガソリン税の暫定税率廃止にともない昨年12月末に終了していたガソリンに対する補助金を復活させ、軽油は現行の補助金17.1円/リットルに加えて支給、灯油と重油は現在の補助金5.0円を廃止し支給を開始、ジェット燃料も同様に現在の補助金4.0円を廃止し支給を開始する。新たな補助金の算出スキームは、以前の措置と同様に円建ての原油コストと石油情報センターに委託し調査している石油製品小売市況調査のレギュラーガソリン全国平均価格をもとに計算する。この価格をもとに新たなスキームを適用して補助金額を算出し、石油元売各社などに支給し仕切価格にそのまま反映させる形で間接的に小売価格の値下げを図ることになる。
3月9日現在のレギュラーガソリン全国平均価格は161.8円、石油元売各社の3月12日からの仕切価格(卸価格)は前週比26.0円値上げを通知しており、3月16日現在の価格は170円を大幅に超える見込みとなっているが、「2~3週間かけて全国平均価格を170円に抑えられるようにしたい」(エネ庁)としている。
また、イラン情勢によるホルムズ海峡封鎖など、日本が輸入する原油の原油輸入が大幅に減少する可能性をふまえ、民間備蓄15日分と国家備蓄30日分の放出も決めた。ペルシャ湾では、米国とイスラエルがイランを攻撃した2月末から約10日間、ホルムズ海峡を通航できないタンカーなどが無数に滞留している。中東~日本の航路が約20日間かかるとすると、ホルムズ海峡封鎖前に日本に向かったタンカーは3月20日までに到着し、その後は原油の輸入量が激減することになる。資源エネルギー庁ではこうした動きを受けて具体的なスキームを検討。まずは民間石油備蓄の義務量を70日分から55日分に引き下げる。民備基地は石油元売各社の製油所に隣接していることが多く、原油処理に必要な原油が不足した場合、速やかに対応できるようにした。
さらに3月下旬ごろから国家石油備蓄30日分の放出を実施。日本国内で石油備蓄制度(当初は民備のみ)が始まった1975年以降、海外の戦争や国内の災害などで民備は過去6回、国備は1回のみ実施している。国備の放出はロシアによるウクライナ侵攻で世界のエネルギー需給が不安定になった2022年4月にIEAの協調放出に呼応し初めて実施されている。当時は入札を実施し元売会社に払い下げられたが、今回はスピード感のある対応が求められるため、元売などとの随意契約で払い下げられる予定。
また、備蓄放出の間に原油の代替調達ルートなども検討。その後もホルムズ海峡の封鎖が続くなど、深刻な事態が続く場合は、さらなる備蓄放出も検討する。
もともとは日本が先行して単独で備蓄放出に踏み切る意向を示していたが、その後、IEA(国際エネルギー機関)も加盟国の協調放出を表明。放出規模は過去最大の4億バレルで今回の日本の備蓄放出もこの内数としてカウントされる。
なお、産油国共同備蓄は放出のスキームが存在せず、在庫はサウジアラビア、UAE、クウェートがそれぞれ管理し、市場での売買なども行っている。このため今回の備蓄放出の対象外となるが、有事の際などは日本に優先交渉権があるため、必要に応じて元売など民間企業が産油国と協議し、原油を調達することになる。
エネ庁によると、2025年12月末現在の石油備蓄量は、石油備蓄法の換算で254日分(製品換算7157万kl)、このうち国家備蓄は146日分(4112万kl)、民間備蓄は101日分(2848kl)、産油国共同備蓄は7日分(196万kl)。国備の民備は一部で製品備蓄が行われているが、民備の取り崩しは原油・製品を問わず実施。国備は製油所の安定操業のため、原油を優先的に放出する方針。



