高市早苗首相は24日の所信表明演説で速やかに経済対策を策定し補正予算を編成することや、ガソリン税などの旧暫定税率の廃止に取り組む考えを表明した。ガソリン税の旧暫定税率廃止については、各党間の議論をふまえ、今国会での廃止法案の成立を目指すと表明。軽油引取税の旧暫定税率の廃止も早期の実現を目指すとの認識も示した一方、旧暫定税率廃止に対する代替財源の確保を進め、廃止までの間も補助金を活用することで引下げに対応すると表明した。
ガソリン税の旧暫定税率廃止を巡っては、今夏に野党側から法案が提出されており、これを修正しながら可決すれば早期成立が見込まれる。旧暫定税率は25.1円で既に10円は燃料油価格定額引下げ措置の補助金が支給されており、5円ずつ3段階で積み増して25.1円にし、小売価格に十分に反映されたタイミングで旧暫定税率を廃止することで、2008年4月の暫定税率廃止・復活のような急激な価格変動による物流やSS店頭での混乱を回避することが可能になる。
他方で補助金を積み増す局面では、段階的に5円ずつ小売価格が変動することになるため、価格変動幅が大きいと駆け込み需要が発生しやすい状況になる。そこで資源エネルギー庁では1ヵ月5円を価格変動の目安としていたが、法案成立後速やかに補助金の拡充を開始した場合も2~3週間に1回ずつの対応となり、12月上旬頃に25.1円に到達する見通しとなる。
旧暫定税率の廃止時期を巡っては当初、11月1日や12月1日が有力視されていたが、首班指名が遅れたため、大幅に遅れた。2026年1月1日でも可能だが、消費者に対しこの日に25.1円一気に下がるような伝わり方をしてしまうと、年末年始の繁忙期とSS店頭や物流の混乱が重なってしまうため、与党は2月1日を軸に調整したい考え。これに対し国民民主党など野党は、以前の与野党合意のもと年内の廃止を強く求めており、今後の動向が注目されるものの、消費者が混乱しないことを大前提に議論が進むことが望まれる。
なお、軽油引取税については、ガソリン税と同じタイミングで現在の補助金10円から15円、17.1円へと3段階で補助金を拡充し、2026年4月に旧暫定税率を廃止する措置がとられるものとみられる。
石油通信社