石油連盟は29日、都内で創立70周年記念講演会を開催した。
冒頭、木藤俊一会長が挨拶し、「石油連盟は1955年11月に石油業界のさらなる発展を目指し、石油精製懇話会と石油元売懇話会が統合し設立された。以来、石油はわが国の基幹エネルギーとして日本の経済の発展と国民生活を支えるため、石油製品の安定供給に努めるとともに、経済効率性の向上と環境対応に全力を尽くしてきた」と先人の苦労に敬意を示したうえでカーボンニュートラル社会への挑戦に決意を示した。
なお、講演では400mハードルの日本記録保持者で世界陸上で銅メダルを2度獲得した為末大氏(Deportare Partners代表)が講演。競技経験を振り返り、今を楽しむこと(目の前のことを楽しむ)の重要性を語り、日本エネルギー経済研究所の小山堅専務理事・主席研究員が石油は世界規模の巨大なサプライチェーンに支えられ、国際問題の影響を受け、カーボンニュートラルという大きな変化に莫大な労力が必要であることを説明し、祝賀会へと移った。

 

石油通信社
 

グリーンLPガス推進官民検討会はこのほど、第9回会合を開催し、 LPガスのCN(カーボンニュートラル)化に向けたロードマップの更新版を提示したほか、グリーンLPガス開発プロジェクトの進捗状況の確認や同検討会傘下のWGの中間報告などを受けた。
このうちロードマップの更新については、2050年のLPガスCN化の目標は変えないものの、2024年3月に示した当初のロードマップに比べ、足下のLPガス需要を年間1400万トンから1199万トン(2024年度実績)に修正したため、2035年時点の国内需要が1250万トンから1110万トンに引き下げられた。2035年時点のCN比率16%は変更しない。一方で2035年時点のCN対策の内訳は、グリーンLPガスの輸入30~50%、グリーンLPガスの国内生産10~20%、カーポンクレジットの利用10%程度、高効率省エネ機器の普及15~20%、LPガスへの燃料転換の推進15~20%など幅を持たせた。これまでは輸入50%、生産10%、クレジット10%、省エネ化・燃転で30%だった。2040年はCCS(CO2回収・貯留)と利用を含めたCCUSを増やし2050年にCN化を目指す。
また、2035年時点で570万トンのCO2削減を見込んでいる。現行のロードマップは600万トンの削減を見込んでいた。
委員による意見交換では、橘川武郎座長が「更新後の内容がわかりにくい」と指摘。「ロードマップは本来、蓋然性があるもので、幅をもたせることにより意味合いが薄れる。すっきりしてほしい。需要が減ることを前提に見通しを策定していることにもがっかりだ」と語った。橘川座長は会合の冒頭、「次世代燃料の取り組みは思ったほど進んでいない。都市ガスは合成メタンの混合比率を下げる、液体燃料は合成燃料からバイオエタノール混合燃料へと一段階戻った状況にある。ところがLPガスは少し流れが違っており、LPガスそのものの燃料転換やカーボンクレジット、国内外でのグリーンLPガスの進展など、いろんな手立てが進んでいる」と今後のグリーンLPガスへの置き換え需要やLPガス需要そのものの拡大に期待感を示していた。

 

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出光興産九州支店と九州apollo会はこのほど、同会研修会と店主会を開催した。
九州apollo会の冒頭、同会の清家壽人会長(清家石油社長)は、「各地区アポロ会の活動は年々活発になってきている。今後も交流・懇親、情報共有、相互研鑽の場として、参加しやすい、参加しやすい会にしていきたい」と意気込みを示したうえで、「経済環境は今後も厳しいが、地域に必要不可欠なエネルギー拠点であり続けなければならない。地域の生活や移動用燃料を支えるコミュニティ拠点あるいはモビリティ拠点として進化していかなければならない。九州アポロ会会員各社も時に競争しながら、時に協力しながらアポロ会と石油業界を盛り上げて行ってほしい」と語った。
店主会では出光興産の酒井則明社長が挨拶し、「私は出光興産の勤務の中で半分以上、販売部門で仕事をしてきた。福岡支店(当時)時代は、新婚生活を過ごすなど思い出深い地だ。今またこうして特約販売店の皆様にご挨拶できて嬉しい」と語り、「エネルギー安全保障は極めて重要であり、近年頻発する自然災害時への対応において、石油に代わるものがあるだろうか。必要なエネルギーの選択肢の幅を少し広げ、様々なエネルギーが適材適所で使われるなど、日本固有の事情に根差した取り組みが重要だ。出光興産は、新しいエネルギーの選択肢を沢山持っていると考える。将来を見極めながら、取り組んでいきたい」と強調した。
続いて出光興産の小久保欣正常務執行役員が今年7月以降の販売部門の新体制とYOROZU推進課の各支店推進サポート担当を映像など交えながら紹介。出光興産九州支店の大江太郎支店長が「これからも地域に根ざして活動する特約販売店の皆様に寄り添い、九州オフィスのメンバーの成長にこだわり活動していきたい。エネルギーインフラとしての重要なネットワークであるSSを守り、カーボンニュートラル社会の到来に備えていこう」と挨拶し、店主会を締め括った。

 

 

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高市早苗首相は24日の所信表明演説で速やかに経済対策を策定し補正予算を編成することや、ガソリン税などの旧暫定税率の廃止に取り組む考えを表明した。ガソリン税の旧暫定税率廃止については、各党間の議論をふまえ、今国会での廃止法案の成立を目指すと表明。軽油引取税の旧暫定税率の廃止も早期の実現を目指すとの認識も示した一方、旧暫定税率廃止に対する代替財源の確保を進め、廃止までの間も補助金を活用することで引下げに対応すると表明した。
ガソリン税の旧暫定税率廃止を巡っては、今夏に野党側から法案が提出されており、これを修正しながら可決すれば早期成立が見込まれる。旧暫定税率は25.1円で既に10円は燃料油価格定額引下げ措置の補助金が支給されており、5円ずつ3段階で積み増して25.1円にし、小売価格に十分に反映されたタイミングで旧暫定税率を廃止することで、2008年4月の暫定税率廃止・復活のような急激な価格変動による物流やSS店頭での混乱を回避することが可能になる。
他方で補助金を積み増す局面では、段階的に5円ずつ小売価格が変動することになるため、価格変動幅が大きいと駆け込み需要が発生しやすい状況になる。そこで資源エネルギー庁では1ヵ月5円を価格変動の目安としていたが、法案成立後速やかに補助金の拡充を開始した場合も2~3週間に1回ずつの対応となり、12月上旬頃に25.1円に到達する見通しとなる。
旧暫定税率の廃止時期を巡っては当初、11月1日や12月1日が有力視されていたが、首班指名が遅れたため、大幅に遅れた。2026年1月1日でも可能だが、消費者に対しこの日に25.1円一気に下がるような伝わり方をしてしまうと、年末年始の繁忙期とSS店頭や物流の混乱が重なってしまうため、与党は2月1日を軸に調整したい考え。これに対し国民民主党など野党は、以前の与野党合意のもと年内の廃止を強く求めており、今後の動向が注目されるものの、消費者が混乱しないことを大前提に議論が進むことが望まれる。
なお、軽油引取税については、ガソリン税と同じタイミングで現在の補助金10円から15円、17.1円へと3段階で補助金を拡充し、2026年4月に旧暫定税率を廃止する措置がとられるものとみられる。

 

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