広く綺麗で豪華な部屋。
おかしい、と思った。
何故なら、この広い部屋も、真っ白な壁も天井も、ガラス張りの丸テーブルも、黒い革製のソファも、綺麗な絨毯も、今僕が上半身だけ起き上がらせて座った状態でいるこのベッドも、僕の記憶には何一つ覚えのないものばかりだったからだ。
眠る前のことを思い出そうと、軽く瞼を閉じてゆっくりと記憶をたどろうとする。
ずきん。
頭を鈍器で殴りつけたかのような痛みがした。思いだすことを拒否するかのように。
それでも、思いだそうとすると先ほどよりも酷く痛みだす頭。
思いだすことをやめて見ると、その痛みは嘘のように消えて行った。