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好きな話

 黒人音楽にまつわる話の中で私が好きなのは、ブルースが広がったきっかけの話です。

 アフリカから奴隷としてアメリカにつれてこられた黒人は、過酷な強制労働をさせられるわけですが、その苦しみを紛らわせるために歌を歌っていました。

 大多数の白人は、「クロンボーの歌は調子っぱずれだな!」と相変わらずさげすんでいました。その頃の白人の世界には、クラッシック音楽の長調と短調の旋律しか聴いたことが無かったため、ブルースの旋律がオンチに聞こえたのです。

 しかし、白人の中にこの歌に魅せられる人たちが現れました。その人たちによってブルースが世界中に紹介され、現在のようにみんなが聴く音楽になりました。

 ブルースそのものの起源より、この広がったきっかけの話のほうが私は好きです。同じものを見て(聞いて)も、まったく違う結果をもたらす。先入観無しに物事を判断するように、戒めとしてこの話を自分に言い聞かせています。

 先入観無しに物事を判断するのは非常に難しいことですが、黒人奴隷の歌を”ステキ”だと思った白人になりたいと思います。