「どうして結婚するのですか?」
「好きだから。」「一緒に暮らしたいと思ったから。」
こういう答をする人は、結婚のことをよく考えていません。なので、あとからトラブルになりやすいですね。
だって、ただ好きだったら結婚しなくても、同棲でも何でも良いじゃありませんか。
言葉にはしなくても、こういう人は無意識に、結婚という制度に愛情の保障を求めています。
「結婚しているんだから、愛するのは当然でしょう。」
つまり結婚とは、愛情関係を保証するものだと思っています。
これが間違いです。
愛情というのは、それぞれの個人が自由に表現するものです。
どんなに法的に縛ろうとも、縛れるものではありません。
結婚という制度に、そういう役割りを期待することが間違っているのです。
もし結婚という制度を、双方の権利と義務の契約だと考えるなら、それは正しいです。
結婚することによって、双方に扶養する義務が生じます。子どもができれば、協力して養育しなければなりません。
ですから結婚というのは、単に一緒に暮らしたいからするというものではないのです。
これは単に制度です。権利と義務に関しての契約ですから、愛情がなくなろうとどうしようと、その契約は有効です。
そういうことを考えていないと、愛情がなくなったのに契約によって義務があることを苦痛に感じるのです。
そもそも無関係だとわかっていれば、苦痛に感じることはないでしょう。
あるいは最初から、そんな契約を結ばなかったかもしれません。
事実婚というのは、契約を結ばずに愛情関係だけで結びついた関係です。
もちろん、多少の契約はあるかもしれませんが、愛情がなくなって愛情関係が解消されれば、契約も解消される運命にあります。
私が言う事前に離婚届を書いておくというのも、愛情関係の消滅とともに、契約も解消できる権利を担保するものです。
なぜそういうことが求められるかというと、純粋に愛情だけで結びつきたいという欲求が、人の中にはあるからです。
保障を求めた時点で、純粋な愛情は死滅してしまうからです。
結婚という制度にしたがっても、保障を求める気持ちを持たないなら、純粋な愛情を持つことも可能です。
ですからまず、結婚に対して自分が、何を求めているかをよく考える必要があると思うのです。