ソロ演奏が怖くなった時の対処法3選 | 河野一之のブログ

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ソロ演奏が怖くなった時の対処法

3選

まずはじめに、

全然「大丈夫」!このブログに出会った時点で問題の9割は解決しています。

 

これまでの音楽活動の中で曲中に出てくる短めのソロから大編成アンサブルを伴奏に15分以上の協奏曲を演奏するなど様々な機会に恵まれてきました。

英国では経験がありましたが、今年9月、初めて母国日本でのフルリサイタルをチューバとピアノのみで行い好評を頂くことができました。(伴奏者の清水さんには本当に感謝しています。)

あのソロになるとめちゃくちゃ緊張し、演奏を終わると絶望に打ちひしがれることばかりだったあの自分がです。

色々な身体的、メンタル的なトレーニングやトラウマの払拭を試みだいぶマシになりました。今でももちろん昔の悪い癖がでないと言ったら嘘になります。

でもあの時の自分を救う気持ちで今日はこのブログを書いてみます。

 

もくじ

1、それぞれ得意なことが違う

2、会場に敵はいないし、失敗しても死なない

3、経験値

まとめ

 

1、それぞれ得意なことが違う

料理の中でも和食が得意な人、さらにその中にも焼き、煮物、前菜、甘味、接客などそれぞれに得意分野が異なる人たちがたくさんいます。

 

楽器の演奏もそうです。

伴奏が得意な人、旋律が得意な人、そしてソロが得意な人とそれぞれです。

さらに少し現実的な話ですが、得意な事と好き&やりたい事は別な場合が多いです。

 

 

・得意な事というのはさして練習を行わなくてもひょいっとできてしまう事、しかもほぼ無意識なので得意な事と認識していない場合が多いです。

 

・好き、やりたい事というのは言葉のまま。情熱を傾けられたり時間を忘れて没頭してしまうものです。でも無意識的にひょいっとできてしまう事ではないので失敗もすごいしますが好きなので大丈夫です。

 

このソロの演奏が得意だった場合、たくさん練習はもちろんするでしょうが特に問題なくひょいっと結果を出す人がたくさんいます。

 

そう人たちと自分を比べないことが大切です。

 

自分には自分にしか生み出せない音楽があります、例えそれでコンテストで賞が取れなくても必ずあります。自分がソロを続けている中で褒めてもらえたり喜んでくださる人がいたはずです。

 

コンテストでどうしても勝ちたいのであれば別ですが、そういう人たちのために、自分のために演奏していればいいのです。

 

素晴らしいソリストたちを参考にするのは多いに勉強になりますが、その人たちや他の誰でも、誰かと自分を比べた時点で待っているのは答えのないループです。

 

自分は世界中に一人しかいないし、他の誰も自分にはなれません。

なので得意な誰かと比べず自分の良さや改善点を探すべきです。

 

曲に関してもそうです。

得意な曲と好きな曲は違うはずです、時には残念ながら・・・w

 

 

2、会場に敵はいないし、失敗しても死なない

これまでのソロ活動で、数十人〜1000人クラスのホールまでたくさんの機会の中演奏を行なってきました。

 

そんな中で大成功も大失敗もたくさんしてきました。

 

その失敗=思い通りにいかなかった時の瞬間的な記憶に、演奏している最中

 

お客さんからの評価を気にしている自分

 

に気づきました。

音をミスったり、ずれたりするとその瞬間瞬間「あっ!」、「今のは」などと考えてしまうのです。まさしく没=集中もできていませんし、音楽を表現している側が楽しんでいない音楽など果たして音楽なのでしょうか?という状況です。

 

これはお客さんという非日常の空間を誤認し、敵対してしまっています。

 

しかし、これは完全に誤解です。

 

お客様は演奏会という非日常を楽しみに来ています。またあなたがソロを吹くと知って来てくださっているお客様の気持ちは「どんな演奏をするんだろう」という好奇心=楽しみしかありません。

 

あなたを評価するためのものはコンテストやコンクールですが、演奏会でのソロはエンターテイメントであるはずです。

 

僕は過去にコンテストではないソロの演奏後、心無い人にひどい感想を言われた事が多々あります。そのせいでトラウマ的に集中もできなくなっていましたが考え方を変えました。

 

・僕の目の前にいるお客様はこの時間を楽しみに来ているだけ

・成功も失敗も決めているのは僕自身、失敗も含めてライヴであるし僕の表現

・完璧なんてあり得ないものを目指すのはやめよう

・またどれだけいい演奏をしても楽しめないお客様もいらっしゃるし、どれだけ良くない演奏をしても良かったとお喜びになられるお客様もいる。

その日その時お客様自身の感想を決められるのはお客様ご自身しかいない(お客様の何かにひっかかり感動していただける場合もあるし、その反対もある)

 

なのでトラウマは持っていたけれど、まず初めにこちらが発信する際に相手の評価を気にするのをやめました

 

準備にベストを、本番最中にベストを尽くす。それだけ、それで喜んでもらえればOK,そうでなければ今は仕方がない、また練習!

でも改善点よりも少しだけ毎回良かった点を探す

 

これだけです。減点式ではなく、加点式にしましょう。

良かった所は自分の得意なところなはずです。そこを伸ばしましょう。

自分の不得意な箇所は、そこが得意な人が素晴らしい演奏をしているはずです。必要最低限の練習をし得意なところを存分に底なしに鍛えましょう!

 

しかも、失敗しても死にはしません。自分自身が「辞める!」と言わない限り永遠にまたチャンスは回ってきます。

 

3、経験値

ソロを吹く機会、吹かせてもらえる機会なんていうのは日本にいたらかなり少ないです。

 

また一般バンドに所属し、やらせてもらえるのを待っていたら10年に一曲歩かないかでしょう。

 

また自分から言わない限りほぼチャンスはないものです。

 

そういう環境に身を置いておいたらどうなるか、

ソロの経験値が圧倒的に少なくなります。

 

得意な人はいきなりできてしまったりしますが、好きだけど得意ではない人は経験値が必要です、そう僕自身もそうです。

 

音大時代は年に二回〜三回しかソロの本番が無かったですし、経験値の重要さはドラクエでは知っていましたが実生活では全くわかっていませんでした。

 

そして英国大学院、ほぼ月に1〜2回ソロを吹く機会がありましたし、同級生や先生方から意見をもらうという授業がありました。めちゃくちゃいい経験でした。

 

さらに僕のヒーローOystein Baadsvikはチュー史上初のソリストとして世界中を回っています。

 

彼に習えたのもとても大きかったです。

 

そして日本に帰ってきてからは隙あらばソロの機会を作り、現在では月に一度はソロの本番を作るようにしています。

 

そうしていると

 

・何が良かったか

・何が必要か

・何が改善できるか

・何がいらないか

・お客さんうけのいいもの

・自分の得意や不得意な曲

・etc

 

膨大な数の経験値が入ってきます。

失敗もしまくります。でもそれは必要な事です。全部初めからうまくいってたらやる意味を失います。

 

失敗もして、改善をし、また機会を探し、また挑みと何度も何度も繰り返します。

 

そうすることで、ソロを演奏するという事がだんだん特別なことではなくなってきます。(当時に比べたらです、いまだに緊張はします)

 

  • ソロの機会をこなしまくる

    成功と失敗を繰り返す

    その行為が特別な事では無くなる

    やり慣れてくる

    やりたい事がしやすくなる

    理想に近づく

 

とこういう風になります。

でも最初の経験値が圧倒的に少ないと成功体験も失敗体験も得る事ができず未経験に近い怖いままです。

 

なので失敗覚悟、または自分が全然簡単に感じるソロ曲を探し(popsなどなんでもいい )人前でソロを演奏しまくりましょう。場数を踏みましょう。経験値を増やしましょう。

 

まとめ

手が震えたり、口の中が乾燥したり、呼吸が浅くしか吸えなくなったり、目の前が真っ白になったり、記憶が飛んだり色んな恐怖体験をしました。

 

でも今だにソロは吹いています。今月末もソロの本番をいただきました。それは確かにあったトラウマと向き合い、

  • 自分がなぜ恐怖を感じるか

  • なぜ緊張をするか

  • 恐怖や緊張とはどういうものか

  • なぜ今この場に楽器を持って居るのか

  • ソロをやらせてもらえるとなった最初の気持ちはどうだったか

など色んな事を自分に問いかけました。そうすることで不明瞭だったものが明るみに出て

 

実はそんなに大した問題じゃなかった

大丈夫

 

という事に気がつきました。

 

僕よりチューバが上手い人は幾万人といるけれど、僕のチューバは僕にしかできない

それを楽しんで聞いてくださる人に、そして自分のために演奏をしていればいい

 

そんな風に考えられるようになりました。

 

もしあなたが今ソロを目前に恐怖を感じて居るのであればまず最初に

 

大丈夫!

 

そして2つ目にそんなに思い詰めるのは

 

あなたがそのソロに対して本当に真剣だからです。

 

どうでも良いと思っていたら緊張さえしません。

 

なので自分と向き合い、なぜなぜ?と質問をたくさんしてあげましょう。

髪に書き出すのも有効です。

 

また過去の失敗を思い出したら自分に教えてあげましょう。

その失敗は本気でやった上のただの経験です。その経験値を得た今の自分は次のソロでどうしましょうか。

本気でやって起きた失敗は悪い事ではありません。エジソンが電球を発明するまでした一万回の失敗、それを彼は電球がつかない方法を一万回知ったと言いました。

 

考え方です。目の向け方です。

 

実は自分自身の演奏に一番傷をつけられるのは自分自身です。

誰がなんと言おうと、

 

今のが私のベストです。今この瞬間で私を判断しないでください。

 

となれば問題はありません。

 

大丈夫、ソロ楽しいですよね、良い時間になります。

 

ご読了ありがとうございました。

 


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