万城目 学さんと鹿の▲■ | 「灯りと温もり」の雑記帳

「灯りと温もり」の雑記帳

“高齢者” オヤジの雑記へようこそ。ご訪問に感謝致します。
平成29年元日に、ブログタイトルを「アメカジおやじの雑記帳」から「『灯りと温もり』の雑記帳」に変えました。

万城目 学さんは、私の好きな小説家のひとりです。
7~8年前に『鴨川ホルモー』でデビューして以降、万城目さんの これまでの著作活動は、平均すると年に一作品を書き上げている計算で、たとえば東野圭吾さんに比べると、そのペースは遅いと云えます・・・これは単純に比較できるものではないのだろうけど。
だから、万城目さんの最新作『とっぴんぱらりの風太郎』が単行本化された時も、私は9月末の発売を待ちに待って購入しました。

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万城目さんは物語の舞台を関西地方に求め、その深い歴史や神秘を題材にして作品を生み出し、氏の独特の世界観は『万城目ワールド』と云われています。 また、物語の “核” として描く『神』や『神事』を一級の娯楽に仕立て上げますが、決して神を冒涜しないし、畏敬の念を感じられるのが好いです。

万城目作品で唯一不満なのは、登場人物が明らかに関西の人間であっても、ほとんどが “標準語的” な言葉を話すことです。
方言や言葉遣いは人物像の描写で重要な要素だと想いますが、多様な関西の言葉を文章にしてしまうと、物語が読み手にテンポ良く伝わり難くなると判断してのことだろうか?

原作がそうだから、当然ながらTVドラマや映画になった作品で登場する役者さんのほとんどが標準語でしたので、関西の人間としては少なからぬ違和感がありました。

唯一『プリンセス トヨトミ』だけが、原作も映画も大阪弁が多く遣われたのは、物語の題材が “独立国・大阪” だから、土地柄の特異性を浮き彫りにするために、大阪弁が必要だったのかな?
それに大阪弁が全国的に よく知られた方言だから、登場する大阪人らが標準語を話していては奇異に映るから、大阪弁は外せなかったのかも知れません。

  

その万城目 学さんの小説『偉大なる、しゅららぼん』の映画化が発表されたのが今春でしたが、既に映画は完成していて(右上)、来年の3月8日に劇場公開されるので、今から楽しみです。
この作品は滋賀県が舞台で、彦根市や長浜市が撮影協力しているそうだけど、登場人物が話す言葉は原作と同様に、映画でも標準語ですねえ。

この小説を映画にしたら、『ハリー ポッター』『インディ・ジョーンズ』『十戒』を彷彿とさせる映像が観られる筈だけど、そこは日本映画だから、過大な期待をしないでおきますが、映画『鴨川ホルモー』で観られたような、巧みなCGには期待します。(監督は違う人だけど)
あと、物語で頻繁に描かれている、水路を小舟で移動する場面が美しい映像に仕上がっていることにも期待します。 福岡の柳川と並んで、滋賀の近江八幡の水郷めぐりは有名ですから。

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『鹿男あをによし』(上2枚)、『鴨川ホルモー』(左下)、『プリンセス トヨトミ』(右下)・・・必ず映像化されている万城目ワールドだから、『偉大なる、しゅららぼん』も読みながら映画のシーンを想像していました。

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その時に一番気になったのが、“グレート清子” (日出清子)のキャスティングでしたが、それを『深田恭子』さんが演じました。(下2枚)
私は深田さんの起用が気に入らないなんてことは全く無いのだけど、清子にしては「べっぴん過ぎる」と謂う感想です。
原作を読んでいる時に、私がイメージしていた清子は『藤山直美』さんを若くしたような容姿でしたので・・・。(藤山さん、ご免なさい)

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無論、50代半ばの藤山直美さんに清子役は無理だから、「映画化なら、演るのは誰だろう?」と興味を募らせていました。
他の主要人物では、『日出淡十郎 = 濱田 岳さん』『日出涼介 = 岡田将生さん』のキャスティングも、私のイメージとは外れていて、たとえば日出淡十郎は『塚地武雅』さんをイメージして読んでいました。
でも、濱田さんも岡田さんも、今 考えられる配役としては好演を期待できる俳優さんだし、お二人とも万城目作品の映画出演の実績があるから納得です。



 


話が変わって、 “奈良の鹿” に関して・・・
万城目 学さんの『鹿男あをによし』を読んだ時には明確なイメージが出来ていませんでしたが、後にフジテレビでドラマ化された際に、山寺宏一さんが演られた “鹿の声” を聴いて以来、奈良の鹿が山寺さんの声で・・・
  「さあ、神無月だ。 出番だよ、先生!」
・・・と話し掛けて来るような気がするのです。

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(奈良公園のアビー・ロード?)


今日は、その奈良の鹿の “フン” の事を書きます。
今から50年近く前に、吉永小百合さんが『天満橋から』と謂う曲を歌われました。
私も子供の頃に 「♬ 天満橋から お人形投げた ♩」と よく耳にしたし、当時のテレビで複数あった “のど自慢番組” で、この曲を歌う子共が何人も居た記憶があります 。
その『天満橋から』のレコードのカップリング曲が『奈良の春日野』と謂う楽曲だったのを、当時の私は知りませんでした。

それが今から25年くらい前に、明石家さんま さんやタモリさんが、『奈良の春日野』の歌詞をテレビで採り上げ、随分話題になりました。
歌詞が実に面白くて、あの “可憐な小百合さん” が これを歌っていたと謂う事実が何よりも衝撃的でした。

ご存知の方も多いでしょうが・・・
 「♬ 奈良の春日野 青芝に 腰を下ろせば 鹿のフン
  フンフンフン 黒豆や フンフンフン 黒豆や
  フンフンフンフン 黒豆や ♩」
・・・ですからねえ。

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このように、歌詞になるくらいに奈良公園周辺は鹿のフンだらけですから、奈良公園を訪れる観光客の方々は、芝に腰を下ろすなら新聞紙やシートを敷かれるか、ベンチに腰掛けることを お奨めします。
あと、鹿などの写真を撮る際に腰を落とし、芝に膝を突いてしまって、うっかり膝にフンを付着させぬよう、くれぐれも ご注意を!


ところで、歩道に残された犬のフンは注意力が散漫な人しか踏まないだろうけど、芝の上に無数に転がっている鹿のフンを踏まずに奈良公園を歩き廻るのは極めて困難です。 
それほど多い鹿のフンですが、腐臭など放っていませんし、フンの山が出来ているワケでもありません。

この奈良公園の鹿のフンに関して、今から半年ほど前の日本経済新聞に面白い記事が掲載されていました。 
それに拠ると、鹿一頭が排泄するフンは、一日に700g~1000gで、総計約1200頭の鹿が一日に840kg~1200kgを排泄することになり、年間だと300トンを超えるとのこと。
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なのに奈良公園の管理事務所では、来園者の出すゴミは収集するけど、鹿のフンは掃除していないのだそうです。

季節によっては鹿のフンが団子状になるそうですが、その “フン団子” の中に通称「フン虫」と呼ばれるコガネムシが入り込んでいたり、或は黒豆大のフンに “フン虫” が乗っかったりして、フンをエサにしているのだそうです。

日本に約150種類いる “フン虫” の内の、約50種類が奈良公園に棲息していて、これは他の地域で失われている “フン虫” の多様性が、奈良公園の鹿のフンに拠って保存されているのだそうな。

黒豆大のフンを “フン虫” が一日で分解してしまう上に、ハエがフンに産みつけた卵も食べてしまうから、ハエの発生も抑制されるし、 “フン虫” に分解されたフンは奈良公園内の芝の肥料になっているとのこと。

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本来、芝は刈らないと成長しないけど、鹿が食べることに拠って、芝がしっかり育つ好循環が生まれたし、鹿に食べられてからフンに混じって排泄された “芝の種” の殻は柔らかくなっているので、芝の発芽率までがグンと向上しているのだそうです。

更には、約79ヘクタールに及ぶ奈良公園の芝地の芝刈り作業を業者に委託した場合、年間で凡そ100億円も経費が懸かるところ、約1200頭の鹿が芝をせっせと食べてくれることで、芝刈り作業は不要なのだそうです。
『鹿と “フン虫” と芝の成育』の食物連鎖は良いこと尽くめなのですね。

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左下の写真は、無防備そうな鹿の横顔越しに、紅く染まった樹の葉を撮っただけなのに、十月の花札である『鹿と もみじ』を想わせる構図の写真になってしまいました。
花札と中途半端に似ている写真を見ていたら、次の機会には図柄とそっくりな写真を撮りたくなりました。
でも、鹿は私が望むポーズを なかなか取ってくれないからなあ・・・。


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