パッサカリア、とは、シャコンヌと似たようなフォルム・・

といわれる音楽の一種の形式で、繰り返し現れる低音の旋律の上に、

メロディーが次々と変化して展開してゆく・・という曲です。

つまりもともと変奏曲的な性格をもった曲なのです。

   この題名からすると、

バロック期、1685年生まれの「音楽の母」ことヘンデルの作品のメロディーを展開した変奏曲、のように見えます。

   原曲は確かに、ヘンデルのハープシコード組曲 第7番 HWV432の第6曲、

パッサカリアです。

そのメロディーを生かしてはいるのですが、そのメロディーを変奏する、

というより、その動機は単なる曲のきっかけだけで、

そのあとは変奏曲というよりは全くの創作といってよいオリジナルな楽曲が続きます。

   1864年、ノルウェーに生まれたヨハン・ハルヴォルセンは、

当時まだクリスチャニアと言っていた現首都のオスロとスウェーデンのストックホルムで教育を受け、

ヴァイオリニストとしてノルウェーのベルゲンでオーケストラに所属した後、

勉強と、プロとしての演奏の両方の活動を求めて、

多くの北欧出身の音楽家が留学するドイツのライプツィヒに居を移します。

その後も、スコットランドやフィンランド、ロシアやドイツ・ベルリン、そしてベルギーまで足を延ばして、

演奏活動の傍ら勉学に励みました。

最終的にはクリスチャニアに戻り、オーケストラの指揮者として長く活躍した人です。

   ノルウェーと言えば、代表的な作曲家は、エドワルド・グリーグですが、

ハルヴォルセンはグリーグの姪と結婚したので、義理の甥、という関係になります。

   ヴァイオリニスト、そして指揮者として活動したので、

 

作曲を開始したのは20代後半からと決して早くはありませんでしたが、

 

大作曲家を叔父に持つ環境で、

 

彼も祖国ノルウェーの題材を織り込んだ曲をたくさん残しました。

原曲にも負けない迫力のある「かっこいい」曲

   「ヘンデルの主題によるパッサカリア」は彼が33歳の1897年に作曲されています。

オリジナルの編成はヴァイオリンとヴィオラの二重奏というシンプルな編成で、

ヴァイオリン二丁や、ヴィオラ二丁、またはヴァイオリンとチェロの二重奏でも演奏されます。

   原曲のヘンデルの「パッサカリア」も迫力ある展開を見せる見事な曲ですが、

ハルヴォルセンの曲は、弦楽器二台という実にシンプルな編成・・

つまり音域が広く、

伴奏楽器として使いやすいピアノやチェンバロが参加していない・・・にも関わらず、

原曲にも負けない迫力のある、「かっこいい」曲となっています。

二台の弦楽器からこのような豊かな音楽が生まれるのか・・!と驚きを禁じえません。

   「ヘンデル」という有名人の名前を借り、

ヘンデルのパッサカリアの「ごく一部分」を作曲の動機として使ってはいますが、

内容的には、ほぼハルヴォルセンの創作、

しかし、その出来栄えは、弦楽器に精通したこの北欧の作曲家の力量を余すところなく示した傑作となっているのです。

 

 

 

 

 

 

楽譜を見ていただくとわかりますが一つのテーマが繰り返し様を変えて出てきます、

 

様は変わってもい一貫して和音の進行は同じです。

 

このバロックの音楽を学ぶのは、音楽理論の基礎なのでとても大事です。

 

見ての通りト短調で始まりト単調で終わります。

 

ト短調の1度、4度の次に2度のような和音を借用して、

 

次に転調する変ロ長調の属音に、持っていきます。

 

その変ロ長調の5度から1度に転調し、またト短調に戻るといったように、

 

借用和音を使い転調する変奏曲になってます。

 

そんなところも学び所なんで是非頭に入れとくといいと思います。