こんばんわ

 

 

「アルハンブラの思い出」というクラシック・ギターの名曲があります。

 

今日はそのお話し。

 

 

その曲名を聞いただけで、思わずトレモロを伴ったメロディーが頭の中をよぎるのは、

 

それだけ印象深いからでしょう。

 

アルハンブラとはスペインのグラナダにある宮殿のことですが、

 

いったい「思い出」というのは、どんな意味があるのでしょうか。

 

 

イベリア半島南部アンダルシア地方は、

 

8世紀から15世紀にかけてイスラム人によって支配され、

 

アルハンブラ宮殿は13、14世紀、グラナダを都としたナスル王朝の時代に造られました。

 

小高い丘の上にある宮殿の名は、

 

アラビア語の「アル・ハムラー(赤いもの)」に由来し、

 

赤い城砦を意味するといいます。


その名の通り全体的に褐色かかった宮殿は、夜間にライトアップされると、

 

ヨーロッパで普通に見られる城砦とはまた一味違った、

 

幻想的な雰囲気をかもし出します。

 

 

キリスト教徒の逆襲であるレコンキスタで、

 

イスラム教徒がイベリア半島から駆逐されると、

 

この建物にもヨーロッパ風の手が加わわりました。

 

モスクは教会に変わり、礼拝堂や修道院も新たに造らました。

 

このため、アルハンブラ宮殿が一段と魅力的なのは、

 

ヨーロッパ調とアラビア風という異文化の融合にあるからかも知れない。

 

 

「アルハンブラの思い出」を作曲したフランシスコ・タレガは、

 

19世紀後半の人だから、

 

もちろん魅せられたのはライトアップされた風景などではなく、

 

実は、宮殿内パティオ(中庭)にあるライオンの噴水を気に止めたようです。

 

溢れ出る水を見て、彼はトレモロをイメージし、

 

作曲への意欲をかき立てたといわれます。

 

 

では、タレガが言う思い出とは何でしょう。

 

これに対する明確な答えはありません。

 

察するに、「思い出」というよりむしろ「思い」ではなかろうか。

 

宮殿、その周辺風景の美しさのみならず、

 

この宮殿が持つ歴史的な重みなどすべてに感動して、

 

すばらしいメロディーに「思い出」と名付けたに違いない気がします。