この投稿は65回~第68回を編集したものです。

 

国家試験に向けた取り組み授業が増えてきた。消防に内定を貰った人の中には救命士の国家試験に不合格になったら内定が取り消しになる人もいたからぴりぴりした雰囲気になっていた。

 

2週間に一回の模試行われるようになった。合格点に達している人はバイトを再開していた。私はギリギリ合格点に達していなかった。毎日8時間近く勉強した。みんなも今まで以上に気合が入っていた。まるで私が入学した当初に求めていたものだった。

 

しかし、学校に来ない人が4人ほどいた。私は学校に来なくて大丈夫かと思った。

 

国家試験に向けてクラスが一つなっているなか学校に来なくなる人がいた。どこの学校でもいるらしい。たいていの理由は消防士の採用試験を落ちたからやる気をなくして現実逃避したが多いらしい。

 

 

 

 

 

坂口さんの説明をすると

・東大(文系)に入学したが「海猿」や「252 生存者あり」などの映画を見て人助けをする仕事がしたくなり中退をして救命士の学校に入ってきた。

・東大を辞めたことに後悔をしている感じがあった。

・座学の成績は良かったが、実技の授業がうまくいかないことが多かった。

・次第に模試の成績も下がっていた。

・体育会系の人が多いクラスになじめないことに悩んでいた。 

 

 

学校からの帰り道に坂口君が教習所から出てきた。何をしているのか聞くと今度受ける消防局はAT限定免許だと受験できないから、講習を受けているとのことだった

 

私は疑問に思った。「限定解除て一年の時にやっておけて言われましたよね。なんで今やっているんですか。模試の成績も俺より悪いじゃないですか。国試落ちたらどうするんですか」

 

 

坂口さんは「工業高校に面接だけで入るしか頭の無いお前が、東大に入った俺に何言ってんだ。中学入試だって主席だぞ。俺を採用しない消防がおかしいんだ。」と大きい声を出した。

 

私も反論をしたことで口論になったこと。いつの間にか警察官が数人来ていた。警察署に行き事情を話したが、口論だけとのことなので口頭注意で終わった。

 

椎名先生が迎えに来た。「うちの跳ね返りがすみません」と数人の警官に謝罪をした。

 

 

椎名先生から「坂口のことは任せろ、お前は自分のことだけやれ。しかし、他人の為に何かをできるとは成長したな。しかし、お前の代はいまいち団結がないな」と言われた。

 

次の日に学校の幹部陣に一件の説明をした。

 

私が出た数分後に坂口さんが会議室に入っていくところを見た。

坂口さんは運転免許を習得するために学校に来ていなかったことを責められた。国家試験の一週間前まで学校に来なかった。クラスの何人かは彼の受験を快く思っていなかった。

 

彼は試験に落ちました。東大(文系)に入学した人間でも勉強をしないと落ちるんだと思いました。

 

過去には戻れないからいつまでも過去の栄光に縛られていてはいけないということを学びました。

 

 

のちに坂口さんと話をする機会があった。中高一貫に首席で入学し、東大に入学した自分がどこの消防にも内定をもらえないことを受け入れることができず現実逃避をしていたと振り返っていた。 その後地方の国立大学に入り直して就職している。